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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.06.09
1106155277.jpgいくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)


ほら
苑のうたをまとってる



■しがない役者、清武迪。本業はイマイチ。バイトに明け暮れ貧乏生活。そんな日々の中、最近何故か、頭の中で聴いたことのない歌が鳴っている。そしてアパートの隣の部屋には、高校時代の同級生だった日下苑が引っ越してきて…!?そして彼女によりそう謎の少女とは…。この世の片隅で鳴る、不思議な失恋歌。

 「潔く柔く」(→レビュー)などを描かれているいくえみ綾先生のWebスピカでの連載作になります。本作の前は「いとしのニーナ」(→レビュー)を連載しており、結構久々の単行本です。表紙を見ると男性2人が仲よさそうにベンチに・・・ 。パッと見BL作品ですが、内容はBLではございませんのでご安心(ご注意?)を。
 
 主人公は、売れない役者をやっている清武迪(すすむ)。エキストラやちょい役をこなす日々でなかなか芽が出ない中、頼りにしていた先輩が自殺か事故か、急死。あまりにも突然の出来事に驚いていると、今度は隣に高校の同級生だった女性・日下苑が越してくる。別に仲が良かったわけではない。けれども良く知っている。というのも彼女は、高校時代に親友だった高遠峻へ日々告白をする、ストーカーめいたファンだったのだ。日下は現在歌手をやって生活をしているとか。そして一緒にいるのは彼女の子供…?いや違う、どうやらその姿が見えているのは迪だけのようだ。これは一体!?何の具合か、目まぐるしく動き始めた彼の毎日は…!?


トーチソングエコロジー1
久々の再会。友人というわけではないが、長い時間会っていなかったこと、そして大人になったことで割と普通に話せる。彼女は歌手、そして主人公は売れない役者。どちらも似たような境遇にいる。


 幽霊ものというとちょっと違うか。とりあえず最初に言っておくと、多分これ面白くなると思います。というのも本作、1巻にして既に2人の故人が重要人物として配置されることになり、要するに死と残された者の感情を描き出す類いのお話。これは、非常に評判の良かった「潔く柔く」などと同じで、たぶんこういうテーマであれば確実に“読める”作品に仕上げてくるだろうな、というワクワク感があります。


トーチソングエコロジー1−2
死した人物を映し出す媒介が物語によって異なってくるのですが、本作の場合はそれが"自分にしか見えない子供の霊(?)”だということ。


 それぞれ別の意味で想いを強く持っていた、共通の知り合い(しかも故人)がいる男女が、偶然にも隣の部屋に。さてどうなる。共通の知り合いが生きていれば不変だったかもしれないその関係が、死という逃れようのない事実と、しばらくの断絶、そして人生の苦みを味わうことで全く新しい関係を作り上げるように。もしかしたら恋愛に発展するかもしれませんし…というか、してほしいですし。
 
 けれどもタイトルから考えると、オチは違うのかしら。たぶんこれ、「トーチソング・トリロジー」から取っているのかな、と思います。ゲイネタもそこからなんでしょう、きっと。何はともあれ物語が転がりはじめた1巻。けれども目的地は明確でなく、逆に言えば好きに転がせる、その独特のユルさもまた魅力の一つ。どこに着いたって大丈夫、転がりはじめの道中で、既に充分面白い。さぁさぁ、楽しみな新作が登場してきましたよ。


【男性へのガイド】
→いくえみ綾作品がお好きであればまず間違いなく大丈夫。是非とも読んでみてください。
【感想まとめ】
→スピカ連載なので刊行ペースが遅いのがもどかしい…というくらいには楽しみです。別紙で連載中の「プリンシパル」(→レビュー)よりかは、こちらの方が俄然好みですかねー。良い意味で脱力しており、かといって押さえる所はちゃんと押さえている感じが。


■作者他作品レビュー
いくえみ綾「そろえてちょうだい?」
摩訶不思議な少年少女のワンダフルデイズ:いくえみ綾「爛爛」


作品DATA
■著者:いくえみ綾
■出版社:幻冬舎
■レーベル:Birz Comics スピカ
■掲載誌:スピカ
■既刊1巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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