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Tag [新作レビュー] [オススメ] [読み切り/短編] 2012.06.17
1106155281.jpgねむようこ「午前3時の不協和音」


そんな明日は
ちょっといいよね



■人気シリーズのスピンオフ作品集が大登場!
 鬼営業の輪島に訪れた恋の予感…。
 堂本と真野の別れ話の顛末…。
 宮下に未だ未練残るアキホ…。
 結婚について考えさせられる瀧…。
 ももことたまこ、ふたりの“今”…。
 みんなは知らない、それぞれの日常がここに!
 
 「午前3時の危険地帯」(→レビュー)、「午前3時の無法地帯」(→レビュー)のスピンオフ作品がこの度発売されました。シリーズ通算8冊目ですか、ついこの間鮮烈デビューしたばかりという印象だったのですが、今やすっかり実績のある看板漫画家さんですね。スピンオフのタイトルは「不協和音」。デザイン事務所の面々にスポットを当て、1話読切りで進んでいく様子は、それぞれの個性と噛み合なさとも相まって「不協和音」という言葉が実に相応しい内容となっています。スポットが当てられるのは、冒頭にも登場した脇役の面々。時系列は、全てがシリーズ完結後というわけではなく、シリーズ中のものもあったり。
 
 シリーズ完結後のスピンオフとかその後を描いた物語って、あまり買うことないのですが、本作はなんとなく手に取ってみた結果、買って大正解でした。すごく面白かったです。たまこがヒロインの「危険地帯」がややスロースタートで煮え切らないことが多く、若干不満というか、不完全燃焼感を抱えていた所に、1話完結でその度にスパっと答えめいたものを導いてくれるこの気持ち良さたるや。ねむようこ先生、連載ももちろん面白いのですが、なんせ読切りが素晴らしいのですよ。


午前3時の不協和音
ももことたまこのその後のお話は幸せそのもの。もちろん悩みがないわけではないですが、基本幸せモードで、にやにやしてきます。


 どのお話も違ったテイストでそれぞれ面白かったのですが、特にお気に入りだったのは、宮下の元カノのアキホのその後を描いた「empty heart」、そして瀧が結婚について考えさせられる「ウェディングマーチ」でしょうか。
 
 「empty heart」は、宮下に振られて以降、自分自身を見つめ「見ためだけよくて空っぽ」というコンプレックスをより強めた所アキホがいる所がスタート。「かわいいね」と寄ってきては「かわいいだけだね」と離れて行く。そんな彼女に一筋の希望を与えるのが、デザイン事務所の田辺くんのちょっとしたマイブーム。


午前3時の不協和音2
田辺くんとアキホ、見ためは全く正反対。けれども柔和なイメージの田辺くんの空気は、ややきつめのアキホとはバランスが取れていて、ある意味好印象ですらあります。

 
 このお話、“空っぽな私”というものを否定しないで、むしろ受け入れるという形を取っているのですが、それがものすごく新鮮で、同時に切なくて。受け入れることはできても、手放しでそれができるかというとそうではないはずで、きっとそこには少しの諦めと悲しみが隠されているはず。希望に溢れる終わりに見せて、その実ちょっと苦みを含んだその着地。苦みが含まれているからこそ、あそこまでファンシーなモチーフを持ってきたんだろうな、と。ってネタバレをするまいとだいぶ抽象的な表現になってしまいましたが、とにかくこれがすごく良かった。希望と絶望を少しずつ味わうことの出来る、なんとも味わい深いお話となっていました。

 「ウェディングマーチ」もちょっと苦みを含んだオトナなお話。こちらはちょっとSFというか、ファンタジックな要素を取り入れた物語になっています。唯一そういった要素を落とし込んでいる分、特に目立つというのもあるのですが、シリアスパートとコミカルパートの出し入れが絶妙で、なんか最後めっちゃ良い話に思えてしまうのがくやしいというか(笑)
 
 本編を読んでいる方で、かつ現在進行形で恋愛をしている方はむしろ、真野ちゃんと堂本の「大人の事情」や「きのうと今日とそれから」の方が好きかもしれません。登場するフレーズ一つ一つが、どれも温度が通っているというか、実際の恋愛でも思えることだったりするので。え、輪島さんの話題が出てない?いいよ、あの人は放っといた方がきっと輝くんだから。てかちょっと幸せそうな感じになりそうで羨ましかったです、はい。


【男性へのガイド】
→男性メインの物語もあり、割と男女どちらも楽しめるないようになっているんじゃないかと思います。なんてそもそもシリーズ既読の人じゃないと買わないでしょうし、その辺を考慮する必要はないのか。
【感想まとめ】
→基本的にはシリーズ既読者向け。多分みんな満足しているんじゃなかろうか。色々な感情を楽しむことの出来る素敵な作品でした。


■作者他作品レビュー
「パンドラ」
「ペンとチョコレート」
「東京無印女子物語」
「少年少女」
「とりあえず地球が滅びる前に」


作品DATA
■著者:ねむようこ
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング
■全1巻
■価格:933円+税


■購入する→Amazon


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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