1巻レビュー→“少女”だった全ての人へ贈る物語:タカハシマコ/桜庭一樹「荒野の恋」1巻
関連作品紹介→なぜこの作品をオススメしてなかったのか…:タカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ」2巻
タカハシマコ/桜庭一樹「荒野の恋」(2)
恋ってなぁに?
■2巻発売しました。
すけこましで恋多き父とは逆に、奥手な少女・中学1年の荒野。初恋の相手でクラスメートの少年・神無月悠也は、皮肉にも父の再婚相手の連れ子として現れた。仲良く使用と努力する荒野だが、なぜか悠也は激しく拒絶する。しかし“家族”としての生活は、少しずつ近づけていく…。
〜「それは私と少女は言った」に比べて白い白い〜
オススメタグはつけないのに、必ず続刊はレビューしてしまうタカハシマコ×桜庭一樹タッグ作品。というわけで「荒野の恋」も当たり前のように買ってしまいましたとも。2巻は水色を基調とした涼しげな配色の1冊となっていて、書店の棚でも目を引きましたねー。
同日発売の、タカハシマコ先生の作品「それは私と少女は言った」(→レビュー)は既にレビューしておりますが、あちらに比べて本作は白い白い。正直この作品の初見の印象って「良い意味で悪趣味」で、どちらかというとブラック寄りだったのですが、先の「それは私と〜」との対比でとにかく白く見えてしまいます。多分ブラックに思えたのは、彼女を取り巻く環境が作り出していたものであって、ヒロイン自身は純粋なんですよね。もし1巻の時点で「それは私〜」と併せて読んでいたら、こちらはオススメにしていたかも。
〜変わらず恋するわけではなく、一人の少女として成長して恋愛をしていくお話なんだ〜
さて、そんなヒロインの純粋さというか少女らしさが良く出たのは、何も恋愛方面だけではありませんでした。というか1巻で仄かに芽生えはじめていた恋の兆しは、2巻ではさほど出ず成りを潜め、むしろ別の部分でこそ印象的ですらありました。特にそれが顕著だったのが、友達関係、そして家族関係。特に後妻さんとの関係で見られた変化でした。
荒野は後妻さんに対してはあまり良い印象を抱いておらず、態度も割と頑なでした。その傾向は2巻に入っても変わらず、この対立構造に変化が見られることはない(後妻さんはやがて家を捨てられて家を離れるんじゃないかくらい)に思っていたのですが、後妻さんの再三のアプローチによって…

態度は軟化。そして母親として関係を築くようになる。
最初この作品は、ヒロインが変わることなく一人の男の子相手に恋愛をしていくという恋物語だと勝手に思っていました(タイトルも恋愛を想起させているし)。けれども身体の変化といい、友達関係での変化といい、そして家族関係での変化の受容といい、むしろ積極的に成長・変化を迎合し、一人の人間としての成長譚になっているのかな、と(取り巻く問題は少女的ではあるけれど)。なんだか2巻で作品に対する印象変わりまくり。どこか毒づいた感はあるけれど、それでも前向きなお話なんだなぁ、とか。
〜百合っぽさ〜
そうそう、今回友達関係のお話でちょっとビックリな展開が…

百合
もうね、タカハシマコ先生だし、桜庭一樹先生だしと、普通にしてればなんの違和感も感じないこの展開。でも良く考えてください、これ「なかよし」連載なんですって。そもそもこのお話がなかよし連載しているのがすごいのですが、もうごく普通のように百合表現が出てきてしまうあたり、さすがです。なかよしといえば既に「野ばらの森の乙女たち」(→レビュー)なんてガチ百合作品が連載されていたりと、受け入れる下地は充分にあるわけですが。きっとこれからもごくごく当たり前のようにこういう展開が出てくるのでしょう。なかよしは一体どこに向かっているのだろう。
〜3巻が最終巻のようです〜
さて、本作ですが3巻が最終巻のようです。結構展開速いですが、一体どのような着地点になるのか。一癖も二癖もあるように見えますが、本筋の展開としてはかなり王道(だと思っています)。一応低年齢向け少女マンガということで、このまま真っ直ぐに行くのか。材料として「なかよしで行ける!」って思ったからには絶対に何かそういった要素があるはずで、序盤〜中盤がなかなか単純でないお話だったので、最後まとめの部分でそれが出てくるんじゃないかな、とか勝手に予想しています。何はともあれ最後まで楽しみですねー。3巻もレビューしますよ!
■購入する→Amazon
関連作品紹介→なぜこの作品をオススメしてなかったのか…:タカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ」2巻

恋ってなぁに?
■2巻発売しました。
すけこましで恋多き父とは逆に、奥手な少女・中学1年の荒野。初恋の相手でクラスメートの少年・神無月悠也は、皮肉にも父の再婚相手の連れ子として現れた。仲良く使用と努力する荒野だが、なぜか悠也は激しく拒絶する。しかし“家族”としての生活は、少しずつ近づけていく…。
〜「それは私と少女は言った」に比べて白い白い〜
オススメタグはつけないのに、必ず続刊はレビューしてしまうタカハシマコ×桜庭一樹タッグ作品。というわけで「荒野の恋」も当たり前のように買ってしまいましたとも。2巻は水色を基調とした涼しげな配色の1冊となっていて、書店の棚でも目を引きましたねー。
同日発売の、タカハシマコ先生の作品「それは私と少女は言った」(→レビュー)は既にレビューしておりますが、あちらに比べて本作は白い白い。正直この作品の初見の印象って「良い意味で悪趣味」で、どちらかというとブラック寄りだったのですが、先の「それは私と〜」との対比でとにかく白く見えてしまいます。多分ブラックに思えたのは、彼女を取り巻く環境が作り出していたものであって、ヒロイン自身は純粋なんですよね。もし1巻の時点で「それは私〜」と併せて読んでいたら、こちらはオススメにしていたかも。
〜変わらず恋するわけではなく、一人の少女として成長して恋愛をしていくお話なんだ〜
さて、そんなヒロインの純粋さというか少女らしさが良く出たのは、何も恋愛方面だけではありませんでした。というか1巻で仄かに芽生えはじめていた恋の兆しは、2巻ではさほど出ず成りを潜め、むしろ別の部分でこそ印象的ですらありました。特にそれが顕著だったのが、友達関係、そして家族関係。特に後妻さんとの関係で見られた変化でした。
荒野は後妻さんに対してはあまり良い印象を抱いておらず、態度も割と頑なでした。その傾向は2巻に入っても変わらず、この対立構造に変化が見られることはない(後妻さんはやがて家を捨てられて家を離れるんじゃないかくらい)に思っていたのですが、後妻さんの再三のアプローチによって…

態度は軟化。そして母親として関係を築くようになる。
最初この作品は、ヒロインが変わることなく一人の男の子相手に恋愛をしていくという恋物語だと勝手に思っていました(タイトルも恋愛を想起させているし)。けれども身体の変化といい、友達関係での変化といい、そして家族関係での変化の受容といい、むしろ積極的に成長・変化を迎合し、一人の人間としての成長譚になっているのかな、と(取り巻く問題は少女的ではあるけれど)。なんだか2巻で作品に対する印象変わりまくり。どこか毒づいた感はあるけれど、それでも前向きなお話なんだなぁ、とか。
〜百合っぽさ〜
そうそう、今回友達関係のお話でちょっとビックリな展開が…

百合
もうね、タカハシマコ先生だし、桜庭一樹先生だしと、普通にしてればなんの違和感も感じないこの展開。でも良く考えてください、これ「なかよし」連載なんですって。そもそもこのお話がなかよし連載しているのがすごいのですが、もうごく普通のように百合表現が出てきてしまうあたり、さすがです。なかよしといえば既に「野ばらの森の乙女たち」(→レビュー)なんてガチ百合作品が連載されていたりと、受け入れる下地は充分にあるわけですが。きっとこれからもごくごく当たり前のようにこういう展開が出てくるのでしょう。なかよしは一体どこに向かっているのだろう。
〜3巻が最終巻のようです〜
さて、本作ですが3巻が最終巻のようです。結構展開速いですが、一体どのような着地点になるのか。一癖も二癖もあるように見えますが、本筋の展開としてはかなり王道(だと思っています)。一応低年齢向け少女マンガということで、このまま真っ直ぐに行くのか。材料として「なかよしで行ける!」って思ったからには絶対に何かそういった要素があるはずで、序盤〜中盤がなかなか単純でないお話だったので、最後まとめの部分でそれが出てくるんじゃないかな、とか勝手に予想しています。何はともあれ最後まで楽しみですねー。3巻もレビューしますよ!
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