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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.07.21
1106176662.jpgサトーユキエ「愛しの可愛い子ちゃん」(1)


今のおまえって
すげぇ可愛いい



■勉強はできるし、部活でも全国大会出場、生徒会活動もこなす十朗澤潮(じゅうろうさわうしお)は、女子高の王子様。彼女に憧れる生徒達は数知れず、いつも周囲からの注目を浴びている。しかし近寄りがたい雰囲気とは裏腹に、その内面は純情で乙女。幼い頃からずっと一途に想い続けるその相手は…。オムニバスで贈る、潮を巡って織り成される切なく愛しいストーリー。

 サトーユキエ先生のオリジナル連載になります。本当に待ち遠しかったです。原作付きの「ハナミズキ」(→レビュー)を挟んで、オリジナル作品が単行本になるのは実に3年ぶりでしょうか?「子供だって大人になる」(→レビュー)が本当に良くて、ずっとずっと待っていたのですが、ついに登場、そしてなんと巻数付き!ちょっとした驚きと共に発売された本作は、待った甲斐があったと思える内容でした。
 
 物語は、一人の女子高生の姿を中心に描かれます。その女子高生とは、とあるお嬢様女子校に通う・十朗澤潮。身長170センチオーバーの彼女は、端正な顔立ちに加え勉強・部活でも好成績を残し、さらに生徒会活動までこなすという学園の王子様。憧れの眼差しは向けられるものの、どこか近寄りがたい雰囲気のある彼女ですが、その内面は恋する普通の女の子。


愛しの可愛い子ちゃん1-1
お隣に住む同い年の男の子に想いを寄せており、彼の言動に一喜一憂していたりします。意外と乙女なその姿が、なんとも可愛らしい。中心に据えるのに納得のキャラクターでございます。


 物語はそんな彼女の傍にいる人物たち(メインヒロインの潮の学校の仲良したちと、優がいつもつるんでいるメンバー)の視点から、1話完結のオムニバス形式で進行。想いを寄せられる男の子や、クラスで一番の仲良し、そして彼女に憧れる女の子まで、置かれている状況・関係は様々です。それぞれの瞳から映る潮の姿と、その想い。それぞれに色の違う、青春の様々な想いを丁寧に描き出して行きます。
 
 実際だれが一番可愛いかというと、間違いなくメインヒロインの潮なんですよ。ただそれはあまりにも明白すぎるし、周囲の面々がまた味のある物語を紡ぐんです。「子供だって大人になる」でもそうだったのですが、叶う事のない想いや不満を突如抱えてしまい、それに向き合い消化していく過程というのを描くのが、本当に上手というか印象的。


愛しの可愛い子ちゃん1-2
全ての話で救いは提示されているものの、1話目以外は感情の総量は喜びよりも悲しみや怒りといったネガティブな感情の方が多く、表紙から来る印象とは裏腹に結構ビターでしっとりとしたお話が多いです。


 個人的にお気に入りだったのは、2話目「私のお姫さま」(作中では第1話扱い)。お嬢様学校や潮への反骨心のある、白ギャルっぽい見ための女の子が主人公なのですが、意外と文学少女であったり、情に厚いところがあったりと段々と明らかになる隠れた一面が可愛くて可愛くて。女の子っぽいキャラはたくさん登場してきますが、一番内面が女の子っぽいのは案外彼女なんじゃなかろうか、と。良い意味で夢を見ている感が素敵でした。


【男性へのガイド】
→男性視点の話もあるので、それなりに楽しめる人はいるかと思います。女性向けの感は強いですが。
【感想まとめ】
→表紙とタイトル見た時はどうしちゃったのかと思いましたが、読んでみて安心。そして面白かったです。2巻以降どう転がすのかわかりませんが、とにかく楽しみですねー。


作品DATA
■著者:サトーユキエ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんマスコットコミックスクッキー
■掲載誌:Cookie
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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