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Tag [続刊レビュー] 2012.07.25
作品紹介→バイト青年×未亡人×執着霊の奇妙で純情な三角関係:河内遙「夏雪ランデブー」1巻
2巻レビュー→今年の新作のイチオシは、やっぱりコレ:河内遙「夏雪ランデブー」2巻
3巻レビュー→多分 ぼく以外は全て正しい:河内遙「夏雪ランデブー」3巻
関連作品レビュー→「真空片戀パック」「へび苺の缶詰」「ラブメイク」


1106142814.jpg河内遙「夏雪ランデブー」(4)


伝わる熱がたのしい
死ぬまで生きていく
この奇跡



■4巻発売、完結しました。
 葉月は想い人・六花に告白するが、亡き夫の霊・島尾からは邪魔される日々。島尾に「成仏するなら協力する」と身体を貸したはいいが、島尾が作った絵本世界に飛ばされてしまう。一方、生身の体を得た島尾は、六花と一夜を過ごし“生前の島尾”の痕跡を残しながら姿を消す。葉月の中身が島尾ではないかと確証を得ぬまま、六花は島尾を追って山中に入り…。
 

〜完結、そしてアニメ化〜
 4巻発売していたのにまるで気づかず、今更ながらやっとこさ読みました。そしたらびっくり、アニメ化していて、しかも本編は完結しているじゃないですか!なんだか流れに完全に取り残された感じで不思議な感覚でございますとも。アニメはまさに今放送中ということで、ちょっと驚き。ノイタミナ枠というのはわかりますが、フィールヤング系で「うさぎドロップ」以外にアニメ化する作品があるなんて想像もつきませんもの。こうなったら流れで「&」(→レビュー)とかもどうですか?さすがにそれはないか。


〜自分のことを想う島尾と、店長のために泣く葉月〜 
 さて、本編の話へと入りましょう。4巻に入っても未だ葉月は島尾に体を乗っ取られたまま。いつかは戻るのかと思いきや、最後まで葉月に返されることなく物語はクライマックスへと突入していきましたね。店長は介さず、繰り広げられるのは島尾の回想と、島尾と葉月の対話。その中で、島尾と葉月の対比として印象的だったのが、葉月が生き霊となって島尾の前に現れた時。島尾が店長を諦めず、「一人にさせるくらいなら連れて行きたい」と言い放った彼に対して、葉月は
 

夏雪ランデブー4−1
店長のことを想い泣く


 店長自身がどのような想いで居るかは別として、島尾が自分の想い・願いを最大限優先させて動くのに対し、葉月はあくまで店長本意。もちろんその先に自分の願いが成就する結果は待っているのですが、この時の涙から、その言葉に偽りはないはず。こうなったとき、やはり店長を幸せに出来るのはどちらかと言ったら、葉月だと思うんですよね。島尾にもそういう気持ちはある、もしくはあったはずだと思うのですが、未練を残して死んでしまったという今の状況がそうさせなかったのでしょうか。


〜花は咲く時が来たら咲く〜
 そんな島尾に対して、店長はやはり違和感を覚えます。
 
 
あの日あのままのあの人は
 もういない

 あの日あのとき「一緒にいられるなら」と願ったあの時の島尾の姿は、もうそこにはありませんでした。そして店長は強い罪悪感を抱きつつも、葉月を選ぶ事を伝えます。その時に選んだ言葉がなかなか島尾にはきついものでした。


夏雪ランデブー4-2
花は咲くときがきたら咲く
春は来る時に来る

 
 時間は常に流れ、物事はかならず変化しあるべき所へと流れて行く。咲くときが来たら花は咲くし、春は来る時に来る。そして花は枯れるときに枯れ、人は死ぬ時が来たら死ぬ。今ある中で唯一の不自然、それが島尾君。その彼に、彼がかつて言い放った言葉をもってして葬り去る。これ以上パンチ力のある言葉があるでしょうか。これを言われたら、もう何も言えないですよ。これによって島尾もついに諦めることに。「どんな形でもいいから一緒にいたい」という店長の言葉に縛られ、最後は再び店長の言葉によって諦めさせられる。なんだかんだ言って、一番可哀想なのは島尾かもしれません。

 タイトルの「夏雪ランデブー」も夏なのに雪と、季節に対して違和感のある存在が落とし込まれています。字面や響きがキレイで受け入れてしまいがちですが、よくよく考えるとひと際違和感がありますよね。ここで示す雪は、他ならぬ島尾のことを指しているのではないのかな、と印象的なタイトルの意味が少しだけだけ分かった気がした言葉でした。


〜おじいちゃんって呼んでごらん?〜
 しかしながら私自身は、島尾というキャラクターを最後までなんだか好きになれなかったです。店長からあの言葉を言い放たれた後、それでもなお「風や水のつもりになって待ってる」とか「おばあさんになるまで思い出さなかったとしても、それならそれでいいんだ」とか言ったところや、最後に葉月と店長の孫(?)に対して「『おじいちゃん』と呼んでごらん?」と言ったところ。発言のそれぞれが、RADWIMPSの「me me she」とすごく重なって見えました
 




 島尾を最後までやっぱりどこか好きになれなかったのは、この執着めいた感じがね。ずっと待ってるところとか。島尾をつなぎとめてしまったのは他でもない店長ですし、島尾を自らの血肉としてまでも一緒に生きていきたいと決意したのは葉月なわけですが、やっぱり最後決めるのは島尾なわけで。それでも最後、やっとこれで解放されたことで救いが見えたのは良かったです。彼が救われた(成仏できたのかは)のかはわかりませんが。こういった結末はあまり想像していなかったので、なんだかちょっとビックリというか、不思議な気持ちです。何はともあれ、最初から最後までとにかく面白かったです!フィーヤンでの次回作、あるかわかりませんが、あると信じて楽しみに待っています! 
 
 
 
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From:  * 2013/06/21 22:45 *  * [Edit] *  top↑

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