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Tag [続刊レビュー] 2012.08.10
作品紹介→鉢植えの根元に住む、手のひらサイズの女の子:群青「こいし恋いし」1巻



1106133071.jpg群青「こいし恋いし」(2)


いいえ さいごじゃない


■2巻発売、完結しています。
 長十郎と同じ学校の初等部に通いはじめ、人並みの生活に慣れてきた妖精の“こいし”。そんななか、長十郎たちの前に、こいしに良く似た妖精が現れる。その妖精はどうやら、こいしを探しているようで…!?植物系・学園ファンタジックストーリー、完結!
 

〜完結です〜
 2巻が発売され、完結しております。2巻で完結というのは想像通りでしたが、展開及び終わり方はなかなか想像できていませんでした。元々群青先生が「ファンタジー」そして「ラブコメ」と書いていたように、ファンシーながらもしっかりとラブコメとしての結末を見せたのはびっくり。1巻の表紙からはなかなか想像つかないですよね。2巻こそそういう表紙ですが、1巻だけ見ていたら、むしろまどかがメインヒロインじゃないかって思うではないですか。ずっと長十郎を思っているけれど、その想いは通じない。気づいてさえくれない。そんな彼女の想いは、ついに最後まで叶う事はありませんでした。


〜小さな物語と、感じた違和感〜
 主人公の幼なじみの異性という立ち位置は、ラブコメ的にはメインヒロイン当確と言えるポジション。しかしながら、長十郎は1巻での様子そのままに、まどかの気持ちに気がつく事もなく、ただただこいしを想い続けます。元々大切な物への執着が人一倍強かった長十郎。彼が、こいしがその姿を亡くしてもなお彼女を想い続けるという物語の展開・結末は、至極納得が行くものでありました。けれどもまどかサイドから見たらちょっと悲しくて、そして同時に、どこか違和感めいたものを感じたのでした。
 

こいし恋いし2−1
 まどかの想いが報われなかったのが悲しいのは、単純にまどか贔屓だからという部分がまずあります。そして同時に、彼女の想いが一切受け入れられなかったというその事実が、長十郎の外界との関係の築き方をそのまま表しているようで、それこそが自分の感じる違和感の源泉になっているような気がします。
 
 長十郎は、最初から最後までこいし一筋。一旦夢中になると、他のものに一切興味を持たなくなる彼は、0か100かの極端な関係性を築く人です。そして彼にとって、こいしは100で、まどかは0だった。それは物語の最初から最後まで変わる事はなかったし、まどかの想いが、長十郎の心を崩す事もありませんでした。幼い頃の渾身のビンタでさえも、「忘れた」でおしまい。彼にプラスの感情はおろか、傷さえ残すことができなかったのです。物語は一見、こいしの強い想いが長十郎との恋を叶えたように描かれていますが、長十郎という人物の描き出しを見ると、むしろそこで浮かぶのは、長十郎の強い執着心のみが物語の行方を決定しているかのような感覚。極端な話、この物語は長十郎とこいしさえいれば十二分に成り立つような気がします。なんていうか、閉じた関係のある種不健全なお話という印象がですね…。

 自分にとって長十郎があまり好きではない人物なのに、それでもこの物語を読ませるラブコメだと感じるのは、こいしがいるからに他なりません。執着の一方通行の感情に、こいしの少女的な感情を被せる事によって、お互いの関係が恋愛的なものに見えるように。また長十郎が、最後まで自己犠牲による他者への優しさを見せる事がなかったのに対して、こいしはきみまろの願いを叶えるために自らを犠牲にしていますし。


こいし恋いし2−2
ええ子なんですよ、この子は。


 というわけで、なんだか長十郎批判みたいな感じになっちゃいましたが、やっぱ長十郎はよくわかりません。ただそれを補って余り有る、こいしとまどかの女性二人。いやこの二人がいるからこそ、2巻もご紹介しているんですよ?ならそっちの魅力をちゃんと語れよって話ですが、いやここはこう語らずにはいられなかったのです。
 

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