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Tag [続刊レビュー] 2012.08.18
作品紹介→恋の予感に、脳内会議は紛糾!?新感覚ラブパニック:水城せとな「脳内ポイズンベリー」1巻




1106176659.jpg水城せとな「脳内ポイズンベリー」(2)


どっちかが息ができてない


■2巻発売しております。
 櫻井いちこ(30)は、紆余曲折の末、飲み会で知り合った早乙女亮(23)と恋人同士に。しかし、いちこが送ろうとした一通のメールが波紋を呼んで…?早乙女の発言を巡って、いちこの脳内では会議が大紛糾!波瀾万丈の新感覚ラブパニック、第2幕スタート!


〜ほんっとめんどくさい二人だな〜
 2巻発売しています。大体1年に1冊くらいの刊行ペースでしょうか。マンガLOG収蔵庫のきくちさんとも話したのですが、このマンガの感想を端的に表すならば「とりあえず二人とも面倒くせーやつだな」という感じです(笑)2巻は少しは落ち着くかと思いきや、そんなんじゃ脳内は動かない…ということで、一層てんやわんや感は酷くなっています。1巻ラストもなんかよくわかんないタイミングでキレたりしていましたが、2巻も早々に酷いです。すれ違いを解消しようと迷っていたら、いきなり早乙女くんの元カノが登場。自然消滅したのかどうかを話し合う場になぜか巻き込まれることに。一段落したと思いきや、その後その元カノとバッタリ再会して押し倒され頭を強打、失神してしまうという。これでいちこが出した答えは…
 
 
脳内ポイズンベリー
距離を置く


 いやいやいや、もうここまでで散々合わないことわかってたじゃないですか!距離を置くじゃなくてもう別れても良いレベル。それでも関係をずるずると続けてしまうこの二人、物語に振り回されている感がすごいっす。これから二人の関係が良好になることはあるのか。最後は円満になったとしても、その過程が壮絶そうですな。
 
 しかし内面が見えるからといって、共感しやすくなるかと言えばそうではなく、早乙女くんについてもいちこについても、どちらもそんなに共感できないんですよね(笑)むしろ部分部分で共感できるのは、脳内の人間達だったりします。人間の性格の特徴を断片的に切り取ったような彼らは、どうしたってわかりやすい形で自分の感性に重なる場合が多くなるというか。そしてそれが寄り集まるといちこができるという…解せん。いやしっかし、楽しませるイベントをどんどん投入してくるので、本当に飽きが来ないです。面白い。


〜岸の登場回数が少ない…意外と過去を振り返らないタイプ?〜
 性格を細分化して登場させたことで、イマイチいちこがどういう人間かわかりにくい部分があります。決して無個性ではないと思うんですよ。押しに弱いとか、優柔不断とかそういう印象はありますが。そんな彼女の性格を、脳内の5人のイニシアチブから読み取ると…割とみんな拮抗しているか。ただ圧倒的に登場回数が少ないのが、過去を振り返る担当のご老人・岸さん。記憶するという部分を担当している彼の登場回数が少ない=いちこはあまり過去を振り返っていない…と考えられるかもしれません。ああ見えて、意外と過去は振り返らない前向きな性格なのかも。そんなことを考えながら読んでいると、一層楽しくなるのでした。


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