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2012.08.18
1106057205.jpg野崎ふみこ「ホスピめし みんなのごはん」(1)


食事は栄養だけじゃない
カロリーだけでもない
心が通ってはじめて食事と言えるのかもしれません



■3巻発売、完結しました。
 真山総合病院に勤務する小西麦子は、この病院の病棟管理栄養士。病棟管理栄養士の仕事はというと…入院患者さんの食事内容と栄養状態の把握、報告、外来患者さんも含めた栄養相談などなど…。食べる事は生きる事。ひとりひとりに合った食事をご用意…患者さん達を、「食」で全力サポートします。果たして彼らの「食べる」を回復させることはできるのか?
 
 病院食にスポットを当てた作品、その名も「ホスピめし」ご存知ない方も多いかと思いますが、何気に3巻まで出ている人気作です(たぶん)。レーベルはJOURコミックス(JOURすてきな主婦たちという雑誌のレーベルです)。当ブログでは同じレーベルで、図書館司書にスポットを当てた「夜明けの図書館」(→レビュー)をご紹介した事がありますが、割と地味ながら味のある事柄にスポットを当ててくる印象があります。こちらは病院の病棟管理栄養士をしているヒロインが、患者さんや身の回りの人物で体調を崩している人を、病院食によって立ち直らせていくというお話になっています。
 
 病院食マンガというと料理マンガなんてものをイメージするかもしれませんが、さすがに病院食でグルメは難しく、味だとか見ためだとか隠し味だとか、そういった色は抑えめ。主眼が置かれるのは患者の症状を改善することであって、グルメというよりは、食事療法を通した医療マンガと言った方がしっくり来るかもしれません。


ホスピめし
栄養学的な見地からの解説があったり、割とためになります。とはいえ病院食だからといって栄養学一辺倒なアプローチということもなく、食事の習慣や思い出と言ったメンタル的な部分でのケアも行います。
 

 料理マンガはなんか悩みとか問題が、料理を食べる事で全部解決する節がありますが(偏見)、この作品ではそういうことはありません。病院食はあくまでアプローチの一つであって、医療行為の中の一つという位置付け。そのため結果患者を元気づけたのは病院食ではなく、他の何か、なんて結末もしばしばあります。切り札としてではなく、きっかけとして。そういう感覚は割とリアルというか、無駄にドラマチックにせずに地に足ついたお話になっているな、と好印象です。また1話読切り形式で、また恋愛要素も特になし。ということで、万人向けの非常に読みやすい作品でございます。
 
 私は幼い頃病弱で何度か入院したことがあるのですが、当時の病院食ってあんまりおいしくなかった思い出があるんですよね。今はもっと美味しくなっているんでしょうか。とりあえず味が薄くてやわらかかった思い出ばかりです。この作品を読むと、病院食に興味が出る事はないでしょうが、とりあえず食生活に気を使ってみようかな、なんて気持ちにさせてくれます。ちなみに今日の夕食はラーメンでした(全然ダメ)
 

【男性へのガイド】
→敢えて男性にという感じでもないですが、本作は基本的に老若男女誰でも読めるような作品かと。図書館とかに置いてあってもいいんでは…というのは言い過ぎか?
【感想まとめ】
→こういう作品は教育マンガ的位置付けで、読んでて安心するというか、安心して身を任せていられる感覚があります。読みやすい良い作品だと思います。


作品DATA
■著者:野崎ふみこ
■出版社:双葉社
■レーベル:JOUR COMICS
■掲載誌:JOURすてきな主婦たち
■全3巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazon

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