
救世主が現れた
そう信じて疑わなかったのです
この時までは
■雪平乃愛・15歳。絵を描く事が大好きな乃愛は、憧れの“あの人”を描きたい一心で進路を決定。絵のことになると暴走しがちな乃愛を受けとめられる、幼なじみの尚久と一緒に、聖リンネル学園高校に入学することに。だけど、夢にまで見た“あの人”
しばの結花のオリジナル連載作になります。前回連載「ランウェイの恋人」(→レビュー)は原作付きで全3巻。今作は、オリジナル連載としては初めて巻数が付いた作品となります。小学館は巻数付くまで時間がかかるイメージですが、しばの先生もそれに漏れず。おめでたいことです。
さて、本作ですが、一人のアーティスティックな少女を軸とした青春恋愛物語になっています。ヒロインは、絵を描くのが大好き&大得意な少女・乃愛。ある日一目惚れした“憧れの人”を追って、聖リンネル学園に入学します。その憧れの人とは、生徒会長で学園の理事長の息子でもあるスーパーおぼっちゃま・麻生先輩。絵の事になると暴走しがちな乃愛は、入学式で挨拶をしている彼に「(絵のモデルになって欲しいので)服を脱いでくれませんか?」と爆弾発言をしてしまいます。早々に嫌われたと思った矢先、今度は育った家が火事で焼失。祖父母が経営していた学生アパートを手放さなくてはならないことに。まさに踏んだり蹴ったりなスタートの学生生活でしたが、そんな彼女に一筋の希望の光が。なんと嫌われたと思っていた麻生先輩から、「モデルをやってもいい」との話があり、彼女の高校生活は動き出す・・・というお話。

乃愛は基本明るい。あとアホキャラなのか、デフォルメ多いです。
あらまし紹介を読んでも「どういうお話なの?」って感じる方もおられるかもしれませんが、私もよくわかってないです。別に難解なお話というわけではなく、単純にゴールが見えないという。ざっくりと言うならば、ヒロインの乃愛の恋愛模様を描いて行くお話で、そのお相手が生徒会長で理事長の息子の麻生先輩、そして幼なじみの男の子・尚久。そのお話を転がすために、絵であったり、家事で学生アパートがなくなってしまったり、学生アパートの住人たちにスポットが当てられたり…といったイベントが加えられているイメージです。なので最終的には麻生先輩ないし尚久とくっついてめでたしめでたしとなるはずなのですが、如何せんサイドストーリーの数が多くまたそれなりにインパクトが強いため、どこに軸を置いて読んだら良いのかがわからなったりするかも。それと伏線結構張っているのですが、回収出来るのかちょっと心配。なんてあくまでこれは個人的な感想なので、他の方がどう読んだかはわかりませんが。
「ランウェイの恋人」は原作付きで、スローテンポな中進んで行くお話となっていましたが、今回は非常にハイテンポで進んで行きます。ヒロイン自身が非常に活発で、とにかく前へ前へというような性格の子であるため、それがひとつ大きな推進力になっています。元々しばの先生の描くお話は、抑揚があまりなく一定のテンポで進んで行く印象。であれば、ハイテンポでサクサク読み進められるというのは一つ大きな特長と言えるでしょうし、賑やかな雰囲気は静かに落ち着きがちなベツコミの中でもひと際目立ちそう。このハイテンポ&ごった煮感は、むしろりぼんやマーガレットとかに連載されていた方がしっくり来そうですね。一応語りは振り返る形で、これからネガティブなイベントが多々ありそうなのですが、それがこのお話にどう作用してくるのかは全く想像つかず。変に悲恋にしすぎても、余計に物語を混沌とさせるだけでしょうし、なんとか乃愛の快活さは保ったまま物語が進んで欲しいものです。
【男性へのガイド】
→これは男性厳しいんじゃ。生徒会長で理事長な息子が相手役でも大丈夫という方は。
【感想まとめ】
→目的が見えず色々な要素を詰め込んでいるので、ちょいとチグハグな感じは否めません。ノリ自体はすごく良いので、ポジティブな雰囲気で進めればまた一味違ってくるのかも。
作品DATA
■著者:しばの結花
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ
■既刊1巻
■価格:400円+税
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