
これからお前は
私の代わりに王女となるのだ!
■2巻発売しています。
ここは女が尊ばれ、男が卑しまれる女王が統べる国。貧しい漁村に住み、親なし子ながら元気に暮らすアルベールは女王の聖誕祭で湧く街で奴隷商人に攫われ、貴族の男に買われてしまう。連れて行かれた宮殿で裸に剥かれ、身綺麗にされたアルの前に現れたのは、なんと自分と瓜二つの“王女”だった…!!
2巻発売しました。シルフではよく見られる、企画原案ありの作品で、作画は雪広うたこ先生が担当しています。謳われている文句は“ロココ調マスカレードストーリー”とのことですが、正直ロココ調もマスカレードも意味を知らないので、よく伝わってきません。ということで(どういうことで?)、内容の方をご紹介しましょう。
舞台となるのは女が尊ばれ、男が卑しまれる世界。とある王女様の命により、世の中の全権を女性が握り男は金を稼ぐ事も許されていない、そんな世の中に生を受けた少年・アルベール。貧しい漁村で親なし子として育った彼は、興味本位で街に出た所、奴隷商人に捕まってしまいます。そんなピンチを助けてくれたのは、通りがかりの貴族の男。相場とはかけ離れた大金で買われたアルベールが連れて行かれたのは、なぜか王宮。そこで待っていたのは、自分と瓜二つのお姫さま…。そして彼女から、思いもよらぬ言葉をかけられることになります。「これからお前は私の代わりに王女となるのだ!」。買われた理由は他でもない、彼女の身代わり。果たしてアルベールの運命やいかに…。

もちろん女の子の格好はしっくりきます。ただ態度が男の子っぽいので、それが一つの萌えポイント。
本作を知ったのは、先日ご紹介したびっけ先生の「王国の子」(→レビュー)のアマゾンレビューに複数名前が挙っていたから。詳細は読んで頂ければわかるかと思いますが、簡単に言うと「王国の子」が本作のパクリであるという指摘が主立ったものです。どちらも「親なしの男の子が、跡継ぎ候補のお姫さまの身代わりになる」という設定。そのようなきっかけであるため、私もどうしても比較して読まざるを得なかったのですが、印象としては「全然別もの」という感じでした。
なんて言うんでしょうかね、「野球マンガで女の子が主人公のやつ」みたいな括りで、それをパクリって言うかね、と。どちらもシチュエーションは似てはいるものの、それに至る過程も、物語の背景も、そして雰囲気も全くもって異なっており、これをそんな風に語るのはあまりも乱暴でお粗末というか、同じ枠で括るのは双方の作品にとって失礼なんじゃないかと、個人的には思いました。
さて、雰囲気も全く別と言いましたが、こちらは「王国の子」に見られるような重厚感はあまりなく、どちらかというとコメディベースな感があります。常に命を狙われているというシチュエーションながら、あまり緊張感のあるシーンはなく、主人公のアルベールがドタバタ動き回ります。たぶん王室の内情をあまり知らないという部分も手伝っているのでしょう。とにかく好奇心旺盛で、いかにも“少年”といった感じがとってもキュート。
また彼の他も、オタク向けの萌えアレンジが施された濃いキャラが勢揃いしています。その筆頭となるのが、お姫さまの側近であるギィ。

とにかくハイテンション。何を隠そうドのつくロリコンで、対象を見つけると自分を見失うという危険人物。身代わりとはいえお姫さまとの絡みは少なく、どちらかというとギィとの絡みがメイン。そういう意味で、やはり原案付きシルフ作品らしく、女性向けの感は強めに出ております。
裏方としての身代わり期間が長いのかと思いきや、1巻最終版で思わぬ方向に倒れます。あと脇役が思わぬ形で再登場。2巻未読ですが2巻表紙を見ると、物語はさらに大きく広がりそうですね。果たして回収出来るのか気になる所ではありますが、様々な伏線が張られており、上手く転べばとんでもなく面白くなるかも。
追記:完結したと書いていましたが、未完です。すみません。
【男性へのガイド】
→女装男子という一点で推せる魅力はあるのですが、側近のロリコンとの絡みはやはり女性こそヨダレをたらせるものがあると思われ。
【感想まとめ】
→原案付きってなぜか今まで敬遠していたのですが、面白いですね。想像していたよりもコメディ要素多かったですが、普通に読み応えのある作品でした。
作品DATA
■著者:雪広うたこ/武蔵のぜん子
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ
■既刊2巻
■価格:580円+税
■購入する→Amazon