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Tag [新作レビュー] [オススメ] [読み切り/短編] 2012.09.29
1106195717.jpg穂積「式の前日」


さあて 歩いてやりますかー
ヴァージンロード



■読切り5編を収録。
 “ふたりきり”   それは、この世でもっとも切なく、もっとも尊い宝物。表題作「式の前日」ほか、5編を収録した、珠玉の“泣ける”読切り短編集。叙情と憧憬を鮮やかに紡ぐ俊英、ここにデビュー!!
 
 穂積先生のデビュー単行本になります。既に各所で話題になっているのでご存知の方も多いかもしれません。今年単行本デビューの新人漫画家さんの中では指折りの方だと思いますので、レビューに先立ってとりあえず名前を売っておこうかな、と。とりあえず何がすごいかというと、その完成度と作りこみ。表題作をはじめとした短編集が5編収録されているのですが、どれも面白い。どのお話もよく練られた手のこんだお話で、新人さんのデビュー単行本と構えながら読み始めると、ちょっとびっくりするかもしれないです。てか9/29現在、Amazonの価格が高騰しまくって1390円とかになってるんですが…
 
 それでは収録作を少しずつ紹介していきましょう。結婚式を前日に控えた二人の男女の一日の様子が描かれた「式の前日」。今は離れているお父さんと、7歳の女の子が一緒に家で休日を過ごす「あずさ2号で再会」。定年も見えつつある年齢の二人の双子が、高校時代に好きだった女の子の葬儀の帰り、居酒屋で会話に花を咲かせる「モノクロ兄弟」。妹の結婚式のため、好きでもなかった田舎に帰ってきた兄の姿を描く「夢見るかかし」。そして売れない漫画家と、その家に突然転がり込んできた親戚の女の子を描いた「10月の箱庭」。


式の前日1
大きな動きはなく、淡々と会話を重ねて物語を形作って行く。静かに、けれどしっかりと心に沁みます。


 こうしてあらすじを振り返ってみると、至極普通な設定であることがわかります。しかしこれには裏が。というのも、どの話も冒頭から伏線が貼られていて、最後にドンと種明かしをするような展開。そのため少しでも踏み込んであらすじを書いてしまうと、致命的なネタバラしになってしまう可能性があるのですよ。帯や裏表紙って大抵少しばかりあらすじが書いてあるものなのですが、それが一切なしというのも、そういう理由があるからかと思います。そしてあらすじを少しも書かなくても、手に取らせてしまうだけの力を持つ、表紙と帯なんですよ、またこれが。


式の前日
 個人的なお気に入りは表題作の「式の前日」。デビュー作であり投稿作でもある本作、最後に気持ち良く、そして切なく“してやられる”感覚がたまらなかったです。本当は色々と語りたいのですが、この驚きを味わってもらうには、とりあえずまっさらな状態で読んでもらうのが良さそうなんですよね。ああ、じれったい。
 

 なんだか褒めてばかりなのですが、ちょっと気になるところも。本作に収録されている短編集は基本的に全て物語を構成しているものは一緒。物語の中心には必ず大きな“別れ”があり、それを持ってくるのは必ず最後。そして前段は全てその“別れ”を生かすためだけに積み重ねる…そんな構成。そもそも新人さんでこんな構成をしちゃうってのが驚きではあるのですが、軒並み似たような文法で展開されるため、引き出しの多さは正直疑問符が付くところです。どこか型にはまっているというか、既に完成されすぎているというか。とはいえ単行本化を見据えて、意図的にやっているのだとしたらそれはもう…。無意識か、意図的なのか、それによって穂積先生という漫画家さんへの期待値は大きく変わってきます。とはいえ本作のみに絞れば、そんなことは別に関係ないわけで。とにもかくにも、この単行本はすごいですよ、と。もちろん、オススメです。


【男性へのガイド】
→絵柄は少女マンガというよりは、BL〜一般寄りの印象。お話はちょっとクサいところはありますが、だからといって男性は…ということには全くならず、読みやすい作品ではないかと思います。
【感想まとめ】
→これは抑えておいた方が良い漫画家さんだと思います。デビュー単行本としては出色の一冊で、恐らく今年の年末のムック本で話題になるはず。


作品DATA
■著者:穂積
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon
カテゴリ「flowers」コメント (2)トラックバック(0)TOP▲
コメント

10月1日にこちらのブログを見て、その日の帰りに購入しました。

新人さんなんですか?この人。すごいですね。
「式の前日」の”してやられる”ってこういう事だったんですね~。
いや~、そう来たか!!でしたよ!
次回作にも期待が膨らみます。
ご紹介ありがとうございました。
From: 千秋 * 2012/10/04 10:16 * URL * [Edit] *  top↑
書店に確認したところ、「式の前日」重版は10/15の予定だそうです。
問い合わせが多いようで、重版分の在庫まですぐになくなる可能性もあるとか。良い傾向ですね!(出版業界的に)

こちらは是非、読んでみたいものです。
From: 書店通い(週3) * 2012/10/07 09:24 * URL * [Edit] *  top↑

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