作品紹介→寂しき魔女に幸せ運ぶ、気まぐれな猫たち:奈々巻かなこ「港町猫町」
2巻レビュー→あなたの寂しさに、そっと寄り添ってくれる猫はいますか?:奈々巻かなこ「港町猫町」2巻
奈々巻かなこ「港町猫町」(3)
もしもいつか
一緒にいることができなくなっても
猫は人間が
大好きなんだよ
■3巻発売、完結しました。
ショーウインドーの写真集をのぞきこむ猫が一匹。元恋人のリイに、写真の港町が、その猫・ルーの故郷だと教えられたアシュウは…!?“魔女”と呼ばれる寂しさを抱えた女性が、少年の姿をした猫と暮らすという不思議な港町の物語。シリーズ6編を収録した完結巻!!
〜完結しました〜
久々の新刊でしたが、3巻にて完結となりました。1巻を読んだのはもう何年前になるでしょうか。非常に感動したのを覚えているのですが、この3巻もあの時の感覚そのままに、しっとりと優しい感動を届けてくれました。なかなか話題にならない本作ですが、完結したこのタイミングで、是非ともチェックしていない方にはチェックしていただきたいな、と思います。
〜続きものを描く力〜
本作は元々1話完結のスタイルで進行していたのですが、後半になるにつれ、続き物としてのエピソードが登場してくるようになりました。特に3巻に関しては、1巻〜2巻で登場した物語の完結エピソードが描かれることに。続きものを描き上げる力もあることを、まざまざと見せつけられる形となりました。
3巻で特に印象的だったのは、やはり続き物であった「うそつき亭」と「猫が返ってこない日」の二つでしょうか。
「うそつき亭」は女優をドロップアウトして猫町へとやってきた、カノとシャラの物語の完結エピソード。3巻では2話が収録されていましたが、特に「うそつき亭」では、猫を想う寂しき女性の心情がメインで落とし込まれており、あくまでこの作品が「寂しき女性」を描いた物語であることを強く実感させました。猫サイド、女性サイド両面の物語があるのですが、個人的にはやはり女性の心情を中心に描いたものの方が、より寂しさや切なさのようなものが感じられて俄然好みです。本作は、港町に残してきたシャラのことを日々想いながら悩むカノの姿が描かれます。

「戻る」と言ったのに、いつまでも戻れず、手紙を書く…最後には町に戻ることが出来るも、そこにシャラの姿はなく…しかし…。もうこれ、やってることは恋人のそれなんですよね。猫と人間の恋物語。人間の男女であったら、依存度が強すぎて胃もたれしそうな内容も、相手が猫だとそれが中和されて、良質の感動物語に。ステキなお話でした。
〜「猫が帰ってこない日」〜
「猫が帰ってこない日」は、今までの物語とは異なり、猫が人間の元を離れて行くというものでした。

気まぐれな別れではなく、本当の意味での“旅立ち”です。相思相愛の猫と人間の場合いつだって先に離れて行くのは人間の方ですが、猫にも旅立つときがあるのです。このお話は猫の視点で描かれているのですが、受けた印象は、猫を愛する人間が、猫との別れを納得させるために描いた「人間のための物語」という感が。そりゃあマンガなんですから、そんなことは当たり前…とはいえ、それを差し引いても先の感覚が強く、特にこの物語に関しては、猫を飼っている人こそが感動できる物語なのではないかなぁ、と。奈々巻先生自身も猫を飼っているようなのですが、とにかく猫愛が強いというか。ちょっと猫を飼っている方に感想を聞いてみたい気持ちになりました。
というわけで、猫好き、猫飼いの方にオススメしたい本作。繰り返しになりますが、完結したこのタイミングで、是非ともチェックを!
■購入する→Amazon
2巻レビュー→あなたの寂しさに、そっと寄り添ってくれる猫はいますか?:奈々巻かなこ「港町猫町」2巻

もしもいつか
一緒にいることができなくなっても
猫は人間が
大好きなんだよ
■3巻発売、完結しました。
ショーウインドーの写真集をのぞきこむ猫が一匹。元恋人のリイに、写真の港町が、その猫・ルーの故郷だと教えられたアシュウは…!?“魔女”と呼ばれる寂しさを抱えた女性が、少年の姿をした猫と暮らすという不思議な港町の物語。シリーズ6編を収録した完結巻!!
〜完結しました〜
久々の新刊でしたが、3巻にて完結となりました。1巻を読んだのはもう何年前になるでしょうか。非常に感動したのを覚えているのですが、この3巻もあの時の感覚そのままに、しっとりと優しい感動を届けてくれました。なかなか話題にならない本作ですが、完結したこのタイミングで、是非ともチェックしていない方にはチェックしていただきたいな、と思います。
〜続きものを描く力〜
本作は元々1話完結のスタイルで進行していたのですが、後半になるにつれ、続き物としてのエピソードが登場してくるようになりました。特に3巻に関しては、1巻〜2巻で登場した物語の完結エピソードが描かれることに。続きものを描き上げる力もあることを、まざまざと見せつけられる形となりました。
3巻で特に印象的だったのは、やはり続き物であった「うそつき亭」と「猫が返ってこない日」の二つでしょうか。
「うそつき亭」は女優をドロップアウトして猫町へとやってきた、カノとシャラの物語の完結エピソード。3巻では2話が収録されていましたが、特に「うそつき亭」では、猫を想う寂しき女性の心情がメインで落とし込まれており、あくまでこの作品が「寂しき女性」を描いた物語であることを強く実感させました。猫サイド、女性サイド両面の物語があるのですが、個人的にはやはり女性の心情を中心に描いたものの方が、より寂しさや切なさのようなものが感じられて俄然好みです。本作は、港町に残してきたシャラのことを日々想いながら悩むカノの姿が描かれます。

「戻る」と言ったのに、いつまでも戻れず、手紙を書く…最後には町に戻ることが出来るも、そこにシャラの姿はなく…しかし…。もうこれ、やってることは恋人のそれなんですよね。猫と人間の恋物語。人間の男女であったら、依存度が強すぎて胃もたれしそうな内容も、相手が猫だとそれが中和されて、良質の感動物語に。ステキなお話でした。
〜「猫が帰ってこない日」〜
「猫が帰ってこない日」は、今までの物語とは異なり、猫が人間の元を離れて行くというものでした。

気まぐれな別れではなく、本当の意味での“旅立ち”です。相思相愛の猫と人間の場合いつだって先に離れて行くのは人間の方ですが、猫にも旅立つときがあるのです。このお話は猫の視点で描かれているのですが、受けた印象は、猫を愛する人間が、猫との別れを納得させるために描いた「人間のための物語」という感が。そりゃあマンガなんですから、そんなことは当たり前…とはいえ、それを差し引いても先の感覚が強く、特にこの物語に関しては、猫を飼っている人こそが感動できる物語なのではないかなぁ、と。奈々巻先生自身も猫を飼っているようなのですが、とにかく猫愛が強いというか。ちょっと猫を飼っている方に感想を聞いてみたい気持ちになりました。
というわけで、猫好き、猫飼いの方にオススメしたい本作。繰り返しになりますが、完結したこのタイミングで、是非ともチェックを!
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