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Tag [続刊レビュー] 2012.11.18
作品紹介→軽妙で濃密…落語界を舞台に描く人情落とし噺:雲田はるこ「昭和元禄 落語心中」
2巻レビュー→なおも濃く、深く、小気味よく…:雲田はるこ「昭和元禄落語心中」2巻
作者他作品→気になる相手は子持ちのバツイチ…けれども守ってあげたい:雲田はるこ「野ばら」



1106205928.jpg雲田はるこ「昭和元禄落語心中」(3)


今度会う時は
地獄ね



■3巻発売しました。
 貧乏どん底二人暮らしの菊比古(後の八雲)と助六。荒れた暮らしをしてるってぇのに、売れっ子の助六、菊比古は焦るばかり。ところがそんな菊比古にも、芸の目が開く時がやって来る。二つ目から真打へ。上りッ調子の芸とは裏腹、菊比古と助六、菊比古とみよ吉、この関係やいかに……!?
 
 
〜東京メトロ メトロビジョン〜
 3巻発売しています。もう10月ですから、レビューのお届けが少々遅れてしまいました…。この3巻の発売に際しては、編集部サイドでも力を入れていたようで、東京メトロのメトロビジョンCMが作成されていました。メトロビジョンというのは、電車の中にあるテレビみたいなやつです。私も毎日東京メトロを利用しているのでこのCMを目にする機会は何度かあったのですが、女性向けのマンガ作品がこうして広告になることって少ないので、なんだか不思議な感覚でした。こちらは今もITANのHPで見ることができます。
 
 ちなみにこちらの広告の掲載料は、メトロのHPを見ると1週間で60万円。いやーわかってはいますが、なかなかお高い。この料金をペイするには、単行本をおよそ1000冊売らないといけない計算になります。広告制作費などもかかっているでしょうから、もう少し上乗せでしょうか?広告効果がどの程度かはわかりませんが、ともあれ話題になったというだけで、既に良い試みであったのかもしれません。


〜一皮むけた菊比古と、助六の想い〜
 さて、CMの話だけでだいぶ時間を食ってしまいましたが、本編のお話をしましょう。物語は引き続き八雲と助六篇が続きます。2巻まではどちらかというと、助六の才能の前に菊比古が遅れをとっているような印象がありました。助六の落語の才能はやはり本物で、いつだって客を一番笑わせるのは彼でした。一方菊比古は、自分の落語というものを見つけられずに、どこか伸びきれない感じ。そんな彼でしたが、舞台での女装がきっかけとなり、客の目を引く喜びを覚え、自分にとっての落語の在り方というものを見出します。彼にとっての落語とは…
 

昭和元禄落語心中3−1
テメエの居場所をこさえる為
ここにいても大丈夫だと思う為
自分が自分でいるため



 この日を境に、彼の中で手応えがあったのか、自信を持って落語に臨めるように。飛躍のきっかけの一つとなります。こうして心に決めるというか、腹を据えることができると、全然違うんですよね。ようやく助六と胸を張って横に並べる感じになったわけですが、この二人の落語に対するスタンスというのが全く異なっていて、改めて面白いなぁ、と。
 
 菊比古の落語に対する考え方は、先程出てきたように「自分の居場所を作るため」「自分が自分でいるため」…菊比古にとっての落語とは、どこまでも自分のためのものであるという印象を受けます。一方の助六は、その根底には「生きるため」「八雲になるため」という名分はあるものの…
 

昭和元禄落語心中3−2
落語に生き残る道を作ってやりたい


 そのアプローチは、「客のため」「落語のため」というもので、とにかく外を向いています。「落語を変える」とまで言い放つ彼の存在は、落語よりも大きい枠であるような印象。一方菊比古は、「自分の居場所を作るため」と、落語という存在に守られているような印象を受けます。これだけ見ていると、菊比古よりも助六の方が大物感があるのですが、この行く先は菊比古が八雲を襲名し、大名人となる結末。八雲のこれからの生き様というものが、壮絶なのではないかと予感させるものがあります。大名人になるには、まだまだ何かが足りない。そしてその一つのきっかけとなりそうな出来事が、助六とみよ吉の恋でしょうか。
 
 
〜同時に二人を失うことになる〜 
 みよ吉のことを心から愛していた菊比古ですが、落語に生かされていると言っても過言ではない彼にとって、師匠の言いつけを破ってまで彼女を手に入れる覚悟はありませんでした。そしてそのみよ吉が選んだのは、助六。このことが、彼の生き方を決定付けてしまったのか、その後彼は、落語という世界の中で孤独に生き続けることになります。1巻でも明らかになっていたように、彼は頑なに弟子を取らず、伝統的な落語を貫き続けていますが、それはまるで「落語を生き残らせたい」と言っていた助六の生き方を否定するかのよう。はてさてこの後どのような展開が待っているのか、引き続き目が離せません。


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レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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