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Tag [新作レビュー] 2009.03.26
kiminoirubasyo.jpgひずき優/奈義みちこ「キミのいる場所 ―REAL×FAKE」(上)


駆け引きとか打算とか無さそうな
桐生が……あたしには
特別に見えて…
あたしも……あたしもそこに行きたい



■上下巻同時発売です。
 上辺だけの友達付き合いにうんざりし、醒めた毎日を送っているミツハ。今彼女が気になっているのが、同じクラスの桐生。誰ともつるまずに、一人自分をしっかり持っているように見える彼に、ミツハは憧れていた。そんなある日、町で偶然桐生を見かけ、チャンスとばかりに近づくが、さらりと突き放されてしまう。それでも興味の止まないミツハは、桐生を追いかけるが、その拍子に彼の腕にある傷跡を見てしまう。リストカット…見てはいけないものだった…けれど、どうしようもなく彼に惹かれていく…果たしてミツハの運命は?
 
 コバルト文庫ロマン大賞を受賞した作品(→キミのいる場所―REAL×FAKE (コバルト文庫))のコミカライズです。上下巻同時発売ですが私は下巻買ってません。すみません。さて、では内容の方はと言いますと、上辺だけの人間関係醒めたヒロイン・ミツハが、いつも孤独ながら、悠然としているクラスメイト・桐生に近づこうとすることからトラブルに巻き込まれていくというお話。物語は二人だけで進行していくのではなく、ミツハのメル友で社会人(らしい)のハルと、桐生と何か因縁のある、危ない噂の尽きない謎の男・アサクラが関わってくることで、危ない方向へとヒロインが流されていきます。ただ描きたいのはそういった物語の動きではなく、思春期独特の尖った自意識みたいなもの。タイトルに「キミの居場所」とありますが、まさにヒロインが探しているのは「自分の居場所」だったりするわけで、物語のラストは、どうしようもなく暗く堕ちていくか、もしくはそういった次元からの脱却のどちらかに持っていくのでしょう、多分。


キミのいる場所
どんな展開であろうと、結局こういう所に帰結するんじゃないでしょうか?


 キーマンの桐生くんですが、リスカに家庭問題、危ない友達に暗い過去と不幸のオンパレード。まぁこういうのは自意識系統のお話には欠かせないわけで、これもまさに自意識系ど真ん中のお話だと思います。私も中学ぐらいの時には桜井亜美の作品を夢中で読んだりしてましたが、さすがに最近は受け付けなくなってきたなぁ…歳かな。最近ではこの手の話は珍しくなりつつあるようにあると思うのですが、それでもやっぱりこういうのに心酔する十代は、流行り廃りに関係なくいつの時代にもいるんでしょうね。


【オトコ向け度:☆☆   】
→男女ではなくその人のメンタリティの問題。自意識系の方には良いのではないでしょうか。
【私的お薦め度:☆☆   】
→年齢的に受け付けなくなってきてますね。多分過去にこういうのが好きだった人ほど、後々になって批判してる気がするんですがどうでしょう。作品としては、別にマンガにする必要はないよなぁ、と。ましてやマーガレットで、というのは意外。


作品DATA
■著者:ひずき優/奈義みちこ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成20年No.13~)+書き下ろし
■全2巻
■価格:各400円+税

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