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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2012.11.27
1106217793.jpg有永イネ「かみのすまうところ。」(1)


この日
僕たちの長くて短い200年が始まった



■恋愛も就職もダメで地元に戻った、24歳男子の上乃みつき。宮大工の棟梁の孫に生まれながら、過去に木から落ちたことがトラウマとなり、高所恐怖症!弟の宮大工・光重朗に疎まれつつも、日々奮闘中!そんな時に現れた木の神・ニキに一目惚れをしてしまい…!?葛藤溢れる宮大工の世界へようこそ。ちょっと不思議な青春ストーリー、待望の第1巻登場です!

 「さらば、やさしいゆうづる」(→レビュー)や「最果てアーケード」(→レビュー)など、最近講談社でプッシュされている有永イネ先生の新作でございます。原作付きでの連載はあれど、オリジナルでの連載作の単行本化は本作が初めてでしょうか。
 
 描かれるのは、宮大工見習いの青年と、木の神の少女の物語。主人公の上乃みつきは、東京の大学に進学するも恋愛も就職もダメで地元に戻ってきた24歳の青年。宮大工の家系に生まれながら、幼い頃のトラウマで未だ高所恐怖症を引きずっており、後を継ぐのにためらいを持ったまま、日々何もせずダラダラと過ごしていました。そんなある日、大工の現場で出会った美少女に一目惚れ。少し古めかしい言葉遣いをしているが、そんなことはお構いなし。今の自分にとっては女神様…と思っていたら、本当に彼女は神様でした。木の神・ニキに「わたしを使って素晴らしい寺社を建てろ」と言われたみつきは、その日から宮大工になるための修行を始めるのですが…というお話。


かみのすまうところ
こちら左が木の神様・ニキさん。みつきが宮大工でないことも知らず、「自分を使って寺社を建てろ」と言ってしまったことから、物語は動き出す。


 神様が木から…しかも美少女…というとなんとなく「かんなぎ」を想起させました。とはいえ物語の内容自体は全く異なります。なんとなく、読んでいる時のイメージが被ったというだけで。
 
 高所恐怖症が原因で宮大工の道を半ば諦めていたニートな若者が、木の神様に一目惚れして家系である宮大工の道へ…はい、想像以上に惚れっぽくてダメな主人公でございます。主人公が男子というだけでなく、この惚れっぽさがいかにも男性向けマンガのキャラクターという感じがして、そこはかとなく男性向け作品の匂いが。また現場は基本的にお爺さんや男の若者だけなのですが、寺社建築に使われる材木にそれぞれ木の神様が宿っており、それらの姿が動物だったり美少女だったりと、これもまたあざといのですよ。ヒロインになるニキだけでなく、長野のケヤキ(600歳)がセーラー服美少女とかもうね、ごちそうさまでした。
 
 宮大工という題材ながら、キャッチーな美少女キャラに、真面目なのか不真面目なのかわからない主人公と、纏っている雰囲気は完全にコメディー。宮大工ならではの荘厳さなどは感じられず、基本的にほのぼのしています。ただシリアスなシーンとの切り替えはしっかりできており、感動フェーズはしっかりと確保。メリハリが効いています。物語の完結を迎えるのは、おそらく主人公が一人前になって、ニキの木を使って寺社を建てることなのですが、修業期間を考えると非常に長くなりそう。


かみのすまうところ1−2
見習いはじめとはいえ主人公はさすが代々宮大工という血筋であるので、材木を見抜く力などは備えており、その資質は高そう。なんとなくの感覚で良い木を見出します。このコマのセーラー服の少女は先程話に出てきた長野のケヤキ(600歳)。


一方すでに宮大工の道を歩んでいる弟は、実は血のつながらない家族であり、その関係は単純ではありません。主人公自身の成長と、家族関係、そして宮大工の世界を知ること…それぞれが巻を重ねるごとに変化・成熟し、物語はより味のあるものへと変わって行くのでしょう。現時点ではコメディ多めですが、やがて感動的な物語へと変貌して行く姿は想像に難くありません。現時点でも読みやすく面白いですが、今後増々面白くなりそうな一作。男女関係なく、おすすめしてみたいお話でした。


【男性へのガイド】
→男性もとりこめるようなキャッチーさが随所に。何よりヒロインの存在が大きいか。
【感想まとめ】
→こんな明るいお話も描けるのかとびっくり。過去作で感じていた難解さや独特の雰囲気は、これから連載が進むにつれて徐々に出てきて、物語の厚みを増してくれそうですね。楽しみな新作が登場しました。おすすめです。


作品DATA
■著者:有永イネ
■出版社:講談社
■レーベル:KC BE・LOVE
■掲載誌:BE・LOVE
■既刊1巻
■価格:562円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
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BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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