
私は
いつかきっと
罰が当たる
■占い師は、中学生の美都にこう言った「二番目に好きな人と結婚するのがいい」
医療事務として働く美都は、飲み会の帰り道に想って想って想い続けた初恋の人・有島に再会、男女の仲に。念願叶った美都だったが、彼は既婚者で、美都にもすでに優しい夫がいて…。美都と夫、有島と妻。四者四様の視線と思惑が交錯する…。
いくえみ綾先生のフィール連載作でございます。いくえみ先生って一体いくつ連載持ってるんだろう…。「プリンシパル」(→レビュー)や「トーチソング・エコロジー」(→レビュー)とか連載中のような気がするのですが。祥伝社での刊行は「カズン」以来っぽいです…と思ったら、「そろえてちょうだい?」(→レビュー)なんてのがありましたね。
本作ですが、フィールらしく社会人の男女たちがメインを構成するお話。ただし一筋縄ではいかないのが、いくえみ綾作品ゆえという所でしょうか。描き出すのは、男女4人の底なしのW不倫のお話でございます。ヒロインは医療事務で働く既婚者の美都。ある日ファーストフード店で偶然、中学時代に想い続けた男性・有島に再会します。そして飲み屋へと流れ、最終的には男女の仲に。以来度々逢瀬を重ねるようになるのですが、二人にはとある事情が。それは、お互いに既婚者であるということ…というお話。

「二番目に好きな人と結婚すると良い」と、かつて占い師に言われたことを実行してしまったヒロイン。その占い師の予言は、果たして当たるのか…。
四者四様ということで、物語はそれぞれのパートナー含めて4人で展開されます。1話ごとにそれぞれの視点で描かれ、それぞれの物語が。不倫ということで明るい要素は皆無です。いくえみ作品にありがちな、過去の出来事とこれまで重ねて来た時間というものがそれぞれの人物の特徴を描き出すベースとなっており、時間軸はちょいちょい飛びがち。
どのキャラも淡々としていながら、お腹の中には黒いものを持っているという面白さがあります。お互いに、違和感は感じつつも大きな動きを起こすことがないという、この煮え切らなさがよけいに気持ち悪さを残して、読み終わった後になんとも言えない気持ちに。特に不倫している二人ではなく、それぞれのパートナーが黒髪の地味系キャラで、いかにもえぐいことしてきそうという予感が。特にヒロインの旦那さんは、既に妻の離婚を勘づきはじめており、これから爆弾落としてきそうな感じ。泥沼といいつつ、案外泥沼化するのは、ヒロインサイドの関係だけかもしれません。

携帯を盗み見る旦那さんの絵。この絵面といい、何とも言えない感じが。
いくえみ綾先生といえばいくえみ男子ですが、それっぽさを持っているのは不倫相手の有島のみ。旦那さんはそれほど、という感じです。典型的ないくえみ男子は、物語に面白さを与える大きな要素となるのですが、個人的にはあまり得意でなく。今回もいかにもモテそうないくえみ男子ですが、こういうキャラは結果的に得する美味しい役になるんじゃなかろうか、と。苦しみは、既に幼少期に経験している…という流れで。
【男性へのガイド】
→単純にエンタテインメントとして見るのであれば面白いと思うのですが、多少なりとも結婚に幻想を抱いていた自分としては、こういうの読むと多少参ったりもします(笑)そういう方はちょっと控えた方がよいのか、、、ってそれは男女関係ないか。
【感想まとめ】
→ またしても読むのにエネルギーを使いそうな作品が登場して参りましたが、さすが一度読み始めると俄然面白く、本作もオススメせざるを得ないところ。決して明るい内容のお話ではないですが、読み応えはありますので、興味のある方は是非とも手に取ってみては。
作品DATA
■著者:いくえみ綾
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻
■価格:933円+税
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