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Tag [新作レビュー] 2012.12.15
1106229183.jpg水谷フーカ「満ちても欠けても」(1)


ところで…
ラジオ好きですか?



■ビールを空けるプシーって音。ジューってお肉が焼ける音。ただ見るよりも。聞いている人の中で膨らんでいく「音の世界」。午後11時、AM1431、ラジオ雛菊「ミッドナイトムーン(MNM)」。ここには音だけのメディア、ラジオを愛する人たちがいる。満月の夜も、あなたに届けたいメッセージ。想いを込めて、ささやきます。

 「GAME OVER」(→レビュー)や「14歳の恋」などを描いている水谷フーカ先生の、KISSでの連載作になります。ここ最近のKISSは他誌で活躍されている旬な作家さんを続々と起用するイメージがあるのですが、ついに水谷フーカ先生まで…!本作で描かれるのは、都内にある大きくもなく小さくもないとあるラジオ局を舞台にしたお話。アナウンサーとして入社して6年目の天羽日向がMCを務めているのが、午後11時から放送されている「ミッドナイトムーン」という番組。彼女の他、ディレクター、放送作家、AD、ミキサーの5人で番組を作っています。それぞれがそれぞれに、ラジオに対する熱い想いを持っていて、信念を持って仕事に打ち込んでいる。ひとりひとりの“あなた”とつながるラジオの世界を、少しだけ覗いてみませんか…?


満ちても欠けても1−1
 KISSの作品らしく、ワンテーマ据えて展開する作品。FM局ではなくてAM局をチョイスするというところに、ラジオ愛とストイックさのようなものを感じます。物語は、ラジオ局に務める人物に1話ずつスポットを当てていって展開する形式。「ミッドナイトムーン」のMCを皮切りに、ミキサー、局のカフェの店員(隠れハガキ職人)、放送作家、見習いアナウンサー、ディレクターと、様々な職種・立場の視点から、ラジオという存在が描かれていきます。とにもかくにも共通しているのは、有り余るラジオ愛。水谷フーカ先生というと、どうしたって恋愛方面での物語展開を期待してしまうところですが、ラジオ愛が前面に出過ぎているがために、そういった要素は他作品に比べると若干弱めになっています。
 
 それでも時折放り込まれる恋愛描写はなかなかの破壊力で、赤面ポイントはしっかりと確保されています。視点の切り替えによって、どうしても個々人の心情描写を深くすることができないのですが、巻を重ねた2巻や、キャラ視点切り替えの2周目なんてことがあったら、一気にそっち方面での面白さも増すはず。メインMCのヒロイン・天羽さんと、気難しいディレクター・伊庭さんの恋模様が主軸となっているのですが、天羽さんの鈍感っぷりと伊庭さんの不器用さがなんともいい味出しており、これからの展開が非常に楽しみです。



満ちても欠けても1-2
 1巻での個人的なお気に入りは、局内カフェ店員の古屋さんのお話でしょうか。外向けには気丈でクールなお姉さんキャラを出していながら、ハガキ職人として活動していて、採用されればテンションアップというかわいらしさを持っています。可愛らしくしたい、甘えたいという願望を内に秘めつつも、なかなかそれを外に出すことができずやきもきするというキャラ像は、これまでの水谷フーカ作品のキャラに通ずるものもあり、ニヤニヤ楽しむことができました。あとAM局の番組で恋愛の話を投稿するって辺も、ちょっと面白かったなぁと。
 
 仕事を初めてからはめっきりラジオを聴かなくなってしまいましたが、学生時代は結構聞いていました。久々に「ハガキ職人」という言葉を目にして、なんだか懐かしさを感じてしまいました。ラジオに一番ハマっていたのは、大学受験期から大学入学頃でしょうか。「あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE」とか、ハマりすぎて録音していた覚えが(笑)ブログ更新のお供に、久々にラジオを聴いてみるのも悪くないかな、なんて気持ちにさせてくれる作品でした。 

 そうそう、それとこれ、装丁が凝っているというか、表紙のどこにもバーコードがないんです。シュリンクが予めされていて、そこに記載さてているんですよね。表紙の質感も良い感じ。これからこういうの増えてくるんでしょうか。


【男性へのガイド】
→水谷フーカ先生の作品がお好きな男性って結構いると思っているんですが、どうなんでしょう。テーマはとっつきやすいですが、トゲのないお仕事ものとして、若干もの足りなく感じる方もおられるかもしれません。
【感想まとめ】
→恋愛ものかと思ったら、しっかりお仕事ものとして描いてきました。1巻はお仕事色強めで、ラジオ好きには嬉しい内容。2巻以降キャラ描写がより深いものになって、双方のバランスが取れたらなお面白くなりそうです。


作品DATA
■著者:水谷フーカ
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:638円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
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王国の子
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
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期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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