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Tag [続刊レビュー] 2012.12.22
作品紹介→*新作レビュー*雨隠ギド「まぼろしにふれてよ」
2巻レビュー→転校生がツンツンかわいい:雨隠ギド「まぼろしにふれてよ」2巻



1106223914.jpg雨隠ギド「まぼろしにふれてよ」(3)


ふれられるのを待ってる


■3巻発売、完結しました。
 狸筆の正体は、幼いひとこをかばってくれた狸だった。どうしてモノってこんなにけなげなんだろうね…。初めて過去と向き合ったひとこは、からかさ様に託された傘に名前を付け、心のままに愛してみようと決める。ところがその直後くろが消え、真加村も姿を消してしまう。ひとりになったひとこの前に現れた、テンコウセイの驚きの正体とは…!?


〜完結です〜
 3巻で完結しました。コツコツと巻数を重ねて、ようやく完結した感覚なのですが、まだたった3巻なんですよね。ウイングスコミックスってどうしても刊行ペースが遅くて歯がゆいイメージがあるのですが、この作品も例に漏れずでございました…。好きなんですが、さすがにこれだけ間が空くと、内容を忘れていたりするんですよね。なお2巻で覚えていたことは、タヌキのお嬢さんがツンツンかわいかったってことぐらいです(ひどい)。あ、あと「テンコウセイに気をつけて」ですね!


〜テンコウセイの正体〜
 そのテンコウセイですが、「転校生」ではなく「天狐星」ということでした。そして3巻、早々にその「天狐星」の正体が明らかになりました。天狐星であったのは…
 
 
まぼろしにふれてよ3−1
先生


 …誰?いや、すみません。割とガチで忘れていたので1巻から読み直してみたら、いやいや随所で驚くほど怪しげに描かれているではないですか。ポジションは顧問の先生というものでありながら、クロの親戚と紹介していたり、野原で寝屋としているような感じもあり…。全くの無警戒だったことが恥ずかしい。しかもテンコウセイというワードは、1巻の第2話で既に登場しており、この物語が最初からこの結末を狙って描かれていたものだと、容易に想像が付きます。こうして時間をかけつつも、あるべき所に落ちた物語をこうして読むことができるというのは、やっぱり幸せなことですよね。3巻まとめて読んでみたら、きっとまた違った発見とかがありそうで、今度の年末時間のある時に、是非ともじっくり読み返して見たいと思いました。
 
 
〜モノは使ってこそ〜
 さて、そんな計画的というか、割と一貫して描かれた物語であった本作ですが、そのメッセージは至ってシンプルなものでした。まず象徴的に描かれるのは、人間が使っている「モノ」と人間の関係性なわけですが、それについては明確に作者さん自身の考え方のようなものが描かれていました
 
 
まぼろしにふれてよ3−2
モノは使い込んで、壊すまで使い切る


 モノにとっては、使われることこそが、人間と関係する唯一の手段なのです。だから人間は、遠慮して使わずにおくのではなく、使って使って壊れるまで使ってあげるのが良い、と。
 
 ただ本作で描きたかったのは、「モノをちゃんと使いましょう」なんて教科書的なマナーメッセージではなくて、もっと人間の感情的な部分に迫るもののような気がします。モノと人間の関係で浮き彫りになるのは、「モノは使うべき」というところよりもむしろ、「使われないモノは孤独で寂しい」という部分ではないでしょうか。つまるところ、関係を持たなくちゃ意味がないし、寂しいし、悲しいし、切ない…というような。その結果生まれた孤独の象徴というのが、他でもない「天狐星」だったんじゃなかろうか、と。孤独を抱えたテンコウセイは、その孤独さをこじらせて、結果的に「世界をいじくる」という形でこの世の中と関わりを持とうとしたのでした。ただ最終的に、テンコウセイは孤独ではありませんでした。小手先の関係性ではなく、根源的に何かとつながるという意味では、彼にかけられた呪いそのものが、まさに母である狐との関係性そのものなのです。真加村との一連のエピドードもそうですよね。この「モノと人間」というわかりやすい関係から領域を拡げ、だんだんと関係性というものが輪郭をなくし概念的になっていくという拡げ方が、とにかく上手い。シンプルで、だけど心の奥深い所に触れてくるような、そんな感覚。関係を持つことを本作では「ふれる」という言葉で表しています。ちょうど作品タイトルに帰結するんですよね。完結したこのタイミングで改めて、「まぼろしにふれてよ」オススメします。


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かくかくしかじか
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レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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