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Tag [続刊レビュー] 2013.01.19
1巻レビュー→自分が幸せになれないと決め込んでいるあなたへ:西炯子「姉の結婚」1巻
2巻レビュー→“なりたい自分”と“なりたくない自分”:西炯子「姉の結婚」2巻
作者他作品レビュー→笑いと涙の芸道一直線コメディ!:西炯子「兄さんと僕」
崖っぷち28歳とロリふわ22歳の凸凹婦警コンビが行く!:西炯子「ふわふわポリス」
オトナの情事×コドモの事情:西炯子「恋と軍艦」1巻
「娚の一生」2巻
恥ずかしい青春全開の弓道部ライフ:西炯子「ひらひらひゅ~ん」




1106218120.jpg西炯子「姉の結婚」(4)


愛じゃダメなの
愛では生きてゆけないの



■4巻発売しています。
 40歳を目前に控え、はじめて正式なプロポーズをされた岩谷ヨリ。結婚するのか、しないのか。真木との関係は続けるのか、終わらせるのか?ヨリが辿り着いた結論は…。悩み、迷う、女性たちに贈る、アラフォー男女の恋と人生、第4巻!!
 

〜4巻発売しています〜
 3巻のレビューをしていなかったので久々の記事になりますね。追って読んでいたのですが、なかなか重たい雰囲気になって参りました。3巻で川原さんがヨリに正式にプロポーズ。そしてヨリが選んだ答えは…
 

姉の結婚4−1
結婚する


 別に川原さんと結婚したいわけではなく、ただただ今の“愛人”という立場に耐えられなかった。これもまた、真木の妻になりたいという想いが根底にあるわけではなく、現在の宙ぶらりんの状態から脱却したいから。そこには「誰とどうなりたい」なんていう想いはなく、今ある中途半端な状態から少しでも抜け出したかったから、という印象が強いです。「どうしたいか」ではなく「どうすべきか」。その心持ちを自分だけが持っているのであれば、心苦しいものですが…というか、実際心苦しさはあったのですが、一方の川原さんも同じような心持ちでありました。
 

姉の結婚4−2
恋愛と結婚は別。愛している人ではなかった。


 こりゃあなかなか。互いに迷走した感が。二人の関係は、真木との情事を藤野先生に目撃されたことで、ほぼご破談となりましたが、これでは遅かれ早かれこうなっていたのでは、とも思えます。本当に結婚したいのであれば、必至に追いすがるはずなんですよね。けれども破談となった際、ヨリは追いすがるどころかどこか冷静で、それ以降も落ち込むことはあれど、この破談を悲しむことはありませんでした。あくまでこれは、ヨリにとって「不倫の清算」という位置付けのイベントでした。結婚を一時決意させるほどに苦しかった“愛人”という立場から抜け出して以降、どのように二人の関係が再構築されていくのでしょうか。


 
〜軍艦島と恋愛物語〜
 物語後半では「土佐島」という島が登場しますが、これのモデルとなっているのは明らかに軍艦島ですよね。かつて炭鉱として栄えた島で、現在は建物だけが残り無人島となっている島です。自分もいつか行ってみたい所なのですが、まさかこんな場所が女性向け恋愛漫画の舞台になるとは、思っても見ませんでした。その島の風貌と恋愛は、明らかにミスマッチ。しかし使い方如何で、如何様にも物語を彩る舞台へと変化するのです。ヨリが岩間に芽吹く緑を見て涙を流すシーン、なかなか感動的でありました。ここで涙を流したヨリは、それまでわからなかった「自分がどうしたいか」ということを見出す事ができたのでしょうか。5巻、最初の彼女の行動に、要注目です。


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。