作品紹介→吉田秋生「海街Diary」
4巻レビュー→何が良いか悪いかは、わからないけれど:吉田秋生「海街Diary」4巻
吉田秋生「海街diary(5) 群青」
あんなありがたいことはなかったちゅうのに
後悔先立たずやな
■5巻発売しました。
お彼岸の頃、香田家に響いた一本の電話。それは、すずの叔母と名乗る女性からのものだった。ずっとすずを探していたという彼女。会った事も無い親類の登場で、戸惑うすずに三姉妹は…。家族の「絆」と美しい鎌倉の景観を情緒豊かに描いた、大人気シリーズ第5巻!
〜鎌倉観光をしてきた話〜
去年の秋口頃に鎌倉観光をしてきたんですが、江の電に乗ってちょこちょこと各駅に降りて、散策をしてきました。別に聖地巡礼的な目的で行ったのではないのですが、結果的にこのお話の舞台となっている駅にも降り立つことが多く、その上で物語を読み返してみると、情景が浮かんできてより味わい深さを感じられたり…。スマホに写真が残っていたので、ちょっとだけアップを…(あんまり誰かに見せる機会もないので)

江の電で鎌倉駅を出発

由比ケ浜の海辺

長谷駅。ここに風太が住んでいるんでしたっけ。大仏様を見に行く観光客がたくさんでした。

極楽寺駅
極楽寺はすず達の最寄り駅で、作中でも度々この駅舎が描かれています。この駅は本作だけでなく、人気ドラマの「最後から2番目の恋」の舞台にもなっていて、その聖地巡礼の観光客の方が非常に多かったです。周囲を見ても、山に囲まれた何も無い静かな場所、という感じなのですが、駅の人の出入りはたくさん。特に30代〜40代と思しき女性の姿が多かったです。行ったのは休日なのですが、平日はまた違った感じなんですかね。ちなみにドラマの「最後から2番目の恋」も、なかなか面白かったですよ。
〜すこし引いた視点から眺め考える“死”〜
さて、ゆっくりと巻を重ねて4冊目となった本作。今回は叔母が突然現れたりと、相変わらず何かしらの出来事が多い状況にありましたが、その中でも個人的に印象に残った出来事といえば、海猫食堂のおばさんが亡くなった事でしょうか。やたらと人の死や別れというものがクローズアップされがちなイメージのある本作ですが、物語の中で人が亡くなるのはそう多くありません。すずの場合両親がすでに亡くなっており、それに際しての感情の揺れ動きというものは多分に描かれることはありましたが、今回は一歩引いた位置から、人の死に関わることになりました。
彼女の場合、一度父を亡くしているからか人の死の匂いというものに敏感で、今回もおばさんの薬を見て即座にそれを察知。以後、人の死と向き合わざるを得なくなります。人の死と向き合う事というのは非常に重く疲れることですが、様々な人の様々な対応・姿勢を見て、彼女自身得たものも大きかったのではないでしょうか。お金を通して死を見つめる佳乃、ナースとして直に向き合う幸、そして中でも、病気のことを知りつつも気丈に振る舞ったマサ。彼の姿が本当に意外で、今回めっちゃ株が上がりましたよ。みんな色々と考えながら生きているのだなぁ、と。
おばさんが亡くなったダメージは、さすがに特に近しい存在というわけでもなかったので、大きなものではありませんでした。そしてこんな事実に勇気づけられるのです。

お店の味はひきつがれる
おばさんは亡くなってしまいましたが、このようにして、彼女の生きた証が残されるのでした。これは何もレシピに限ったことではなく、例えばすずと香田家3姉妹とのつながりも、彼女達の父親が生きた証であるわけで。人の死は、必ず何か形を残すものなのでしょう。それがどういう形で残るかは、その人がどのように生きてきたかが出る、と。さて、自分はどんな形になるのでしょう。
〜それぞれの進路を決める友情〜
物語の中盤〜後半では、オクトパスのメンバー達がそれぞれ自分の進路についてあれこれと考えを巡らせている状況でした。サッカークラブですから、専らの悩みはやっぱりサッカーなわけで。中でもサッカーにおける「自分の進むべき道」について悩んでいたのが、すずと多田くんでした。すずは「高校ではサッカーをしない」、一方の多田くんは「オクトパスをやめる」という決断をそれぞれしましたが、どちらも友達の説得によって撤回されました。多田くんには、風太が物腰柔らかい等身大の言葉で説得をし、すずには、同じ女子メンバーであるみぽりんが、すずに憧れている子どもの話をして説得。どちらも彼・彼女らしい説得の仕方で、二人とも本当に良い仲間を持ったものだ、と感動しました。進路に、多大に友人の意見が影響してくる、こういう関係、すごく好きです。
そんな中5巻を迎えるわけですが、さて、また1年後ぐらいですかね。何気に佳乃さんの恋模様が(恋愛になるのかも含め)気になるのですが、やっぱりなにより気になるのは長女の恋模様ですわ。色々と考えすぎ、背負いすぎな彼女も、そろそろ目一杯幸せになっていいはず。そろそろ本作でも、温かいだけではなくで、楽しい嬉しい展開が見たいところです。
■購入する→Amazon
4巻レビュー→何が良いか悪いかは、わからないけれど:吉田秋生「海街Diary」4巻

あんなありがたいことはなかったちゅうのに
後悔先立たずやな
■5巻発売しました。
お彼岸の頃、香田家に響いた一本の電話。それは、すずの叔母と名乗る女性からのものだった。ずっとすずを探していたという彼女。会った事も無い親類の登場で、戸惑うすずに三姉妹は…。家族の「絆」と美しい鎌倉の景観を情緒豊かに描いた、大人気シリーズ第5巻!
〜鎌倉観光をしてきた話〜
去年の秋口頃に鎌倉観光をしてきたんですが、江の電に乗ってちょこちょこと各駅に降りて、散策をしてきました。別に聖地巡礼的な目的で行ったのではないのですが、結果的にこのお話の舞台となっている駅にも降り立つことが多く、その上で物語を読み返してみると、情景が浮かんできてより味わい深さを感じられたり…。スマホに写真が残っていたので、ちょっとだけアップを…(あんまり誰かに見せる機会もないので)

江の電で鎌倉駅を出発

由比ケ浜の海辺

長谷駅。ここに風太が住んでいるんでしたっけ。大仏様を見に行く観光客がたくさんでした。

極楽寺駅
極楽寺はすず達の最寄り駅で、作中でも度々この駅舎が描かれています。この駅は本作だけでなく、人気ドラマの「最後から2番目の恋」の舞台にもなっていて、その聖地巡礼の観光客の方が非常に多かったです。周囲を見ても、山に囲まれた何も無い静かな場所、という感じなのですが、駅の人の出入りはたくさん。特に30代〜40代と思しき女性の姿が多かったです。行ったのは休日なのですが、平日はまた違った感じなんですかね。ちなみにドラマの「最後から2番目の恋」も、なかなか面白かったですよ。
〜すこし引いた視点から眺め考える“死”〜
さて、ゆっくりと巻を重ねて4冊目となった本作。今回は叔母が突然現れたりと、相変わらず何かしらの出来事が多い状況にありましたが、その中でも個人的に印象に残った出来事といえば、海猫食堂のおばさんが亡くなった事でしょうか。やたらと人の死や別れというものがクローズアップされがちなイメージのある本作ですが、物語の中で人が亡くなるのはそう多くありません。すずの場合両親がすでに亡くなっており、それに際しての感情の揺れ動きというものは多分に描かれることはありましたが、今回は一歩引いた位置から、人の死に関わることになりました。
彼女の場合、一度父を亡くしているからか人の死の匂いというものに敏感で、今回もおばさんの薬を見て即座にそれを察知。以後、人の死と向き合わざるを得なくなります。人の死と向き合う事というのは非常に重く疲れることですが、様々な人の様々な対応・姿勢を見て、彼女自身得たものも大きかったのではないでしょうか。お金を通して死を見つめる佳乃、ナースとして直に向き合う幸、そして中でも、病気のことを知りつつも気丈に振る舞ったマサ。彼の姿が本当に意外で、今回めっちゃ株が上がりましたよ。みんな色々と考えながら生きているのだなぁ、と。
おばさんが亡くなったダメージは、さすがに特に近しい存在というわけでもなかったので、大きなものではありませんでした。そしてこんな事実に勇気づけられるのです。

お店の味はひきつがれる
おばさんは亡くなってしまいましたが、このようにして、彼女の生きた証が残されるのでした。これは何もレシピに限ったことではなく、例えばすずと香田家3姉妹とのつながりも、彼女達の父親が生きた証であるわけで。人の死は、必ず何か形を残すものなのでしょう。それがどういう形で残るかは、その人がどのように生きてきたかが出る、と。さて、自分はどんな形になるのでしょう。
〜それぞれの進路を決める友情〜
物語の中盤〜後半では、オクトパスのメンバー達がそれぞれ自分の進路についてあれこれと考えを巡らせている状況でした。サッカークラブですから、専らの悩みはやっぱりサッカーなわけで。中でもサッカーにおける「自分の進むべき道」について悩んでいたのが、すずと多田くんでした。すずは「高校ではサッカーをしない」、一方の多田くんは「オクトパスをやめる」という決断をそれぞれしましたが、どちらも友達の説得によって撤回されました。多田くんには、風太が物腰柔らかい等身大の言葉で説得をし、すずには、同じ女子メンバーであるみぽりんが、すずに憧れている子どもの話をして説得。どちらも彼・彼女らしい説得の仕方で、二人とも本当に良い仲間を持ったものだ、と感動しました。進路に、多大に友人の意見が影響してくる、こういう関係、すごく好きです。
そんな中5巻を迎えるわけですが、さて、また1年後ぐらいですかね。何気に佳乃さんの恋模様が(恋愛になるのかも含め)気になるのですが、やっぱりなにより気になるのは長女の恋模様ですわ。色々と考えすぎ、背負いすぎな彼女も、そろそろ目一杯幸せになっていいはず。そろそろ本作でも、温かいだけではなくで、楽しい嬉しい展開が見たいところです。
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