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2009.03.27
07198947.jpg高野苺「夢みる太陽」(1)


「夢を持つこと」
あいつらにも それぞれ夢がある
まぁそれは
これから見つけてきゃいいよ



■3巻発売。
 父の再婚で、新しい母親が出来、最近弟も生まれた。しかし、しま奈は家に居場所がないと感じている。こんなの楽しくない。そしてついに家出を決行する。しかし行くあてのないしま奈は、とりあえず公園へ。そこで出会ったのが着物の怪しい男・藤原虎。すぐにしま奈が家出人だと気づいた虎は、格安で住むところを紹介してくれると言う。しかし、そこへ入居するにはある条件が…!?
 
 しま奈は条件をクリアし晴れて入居することに。ところがそこは、虎に加え、同じ高校の男子二人が暮らす一軒家だった。風体は怪しげだが検察官をしている虎に、カンフーバカの同級生・善、優しくて太陽のような先輩・朝陽。そんな3人と、ヒロイン・しま奈の同居生活をえがいた同居コメディです。最初は家出人として暮らしていたしま奈でしたが、後日虎と共に父親の了承を得て、晴れて同居できることに。ここまですんなり行ったのは、虎の父親がしま奈の父親と過去に縁があったため。それまでは夢なんて考えもしなかったしま奈が、入居条件として出された「夢をみつけること」という言葉に触発され、同居人と共に日々前向きに成長していく姿を描いていきます。


夢見る太陽
ノリだけで展開させず、描くべきところはちゃんと描く。それがこの作品の魅力だと思います。


 基本はハイテンションなコメディが展開されますが、時折真剣なやりとりが混ぜ込まれます。それが普通時の雰囲気と対照的で、なかなか良い。また登場人物が皆々明るく、読んでいて楽しいですね。朝陽先輩に恋するしま奈に、しま奈が好きな善、そして片想いの相手がいる朝陽先輩。それを虎と、元同居人の美紅が見守るという構図でスタート。ストーリー自体は少々無理がある気がしないでもないのですが、あらかじめ「脚色強めなんだよ」と考えておけば違和感なく読めます。ポイントポイントで、しっかり"気持ち"を描いているってのも効いているんでしょうね。


【オトコ向け度:☆☆   】
→ノリ自体は少女漫画のソレですが、まずまず読みやすくはあります。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→明るく楽しく読めるコメディです。ただそれじゃないってのが良い所。


作品DATA
■著者:高野苺
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成19年11月号~連載中)
■既刊3巻

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コメント

うんこ
From: はなの * 2011/11/14 08:52 * URL * [Edit] *  top↑

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