
だから
これでおあいこ
■それはまだ中学の頃、雨の中道端に1人の不良が倒れているのを発見した奈緒ですが、ヘタレのために絆創膏と傘だけ置いて、逃げてしまいます。そして時は過ぎ、高校入学。奈緒は偶然にもその不良と再会してしまいます。報復を恐れてビビりまくる奈緒ですが、彼の第一声は「結婚を前提にお付き合いしてください」というもので!?
目黒あむ先生の連載作でございます。渡辺カナ先生をはじめ、別マ期待の若手陣が、続々巻数付きの単行本を刊行していますね。目黒あむ先生はこれが3冊目の単行本になります。それではあらすじをご紹介。主人公の奈緒は、ちょっと内気な普通の女の子。まだ中学生のある夜、雨の中に倒れている不良を発見。怖かったので助けずに、絆創膏と傘だけ置いて立ち去りました。そんな助けた不良・鬼瀬さんが、ある日教室にやってきて自分を呼び出し…。殺されるかと思っていたら、なんと花束を渡されプロポーズをされてしまいます。逆らったら怖いので、思わず「はい」とOKしてしまうのですが…というお話。

誰もが恐れる不良・鬼瀬くん。しかしその正体は、ちょっと目つきが悪いだけの心優しい少年なのでした。
誰からも恐れられる不良は、実は純情で心優しい男の子でした…というよくある設定の学園恋愛物語。今回の相手役となる鬼瀬くんも、赤髪で目つきがキツいということから必要以上に恐れられ、動物を助けようと喧嘩をしたら尾ひれがついて、誰も話してこない…なんて状況に陥ってしまっている典型的な誤解系の不良キャラ(不良ではない)でございます。心優しいし、数少ない友達のことは本当によく気にかけますが、怖がられることを自覚しつつも、空気を読んで大人しくすることはできないので、ついつい暴走して誤解されがち。似ているのは、「となりの怪物くん」のハルでしょうか。あと彼、結構可愛い所があって、奈緒の保護者に会う時は髪を黒く染めていったり、メールは緊張するから敬語で送ったり、電話とかドキドキしちゃってなかなか取れなかったり…。その行動の全てが、なんとも可愛らしいのです。
一方のヒロイン・奈緒は、そんな人と付き合ってしまったから誤解が誤解を呼んで、友達作りに失敗。結果鬼瀬くんとばかり付き合うことになるのですが、やがて彼の優しさに気づき、ちゃんと対峙しなくては、と心を改めます。付き合うことに「はい」と応えたものの、自分に好きな人がいることを告白し、改めて友達として付き合うことに。彼女も大人しそうに見えて、鬼瀬くんと良い関係を築くなど、意外と肝が座っているような気がします。お互いに不器用ですが、器が広いイメージで、お互いのことを認め合っている関係。恋愛に発展しないのは、奈緒が鬼瀬くんではなく、親の代わりに育ててくれた叔父に恋心を抱いているから。

ヒロインの奈緒も、内気に見せてちゃんと自分の気持ちを伝えることのできる子。ほんわかしていますが、しっかりものの素敵なヒロインです。
この二人に、クラスで孤立しがちな男女二人が加わり、男女4人で物語は進みます。一人は群れる気のない一匹狼な女子・矢代さん。そしてもう一人が、誰にもトゲのある言葉を放ってしまう美少年・三咲くん。クラスで敬遠されがちなメンバーが4人揃うってのは、別マの看板の一つである「アオハライド」と同じメソッドで、がっちり売れ線ポジションをキープしています。この2人が本編に深く食い込んでくるのは、もうちょっと先かと思いますが、何はともあれ楽しみな人物配置。
目黒あむ先生の作品って、ふわふわで女の子らしいお話が多く、「柔らかくて甘い」印象ばかりだったのですが、今回は鬼瀬くんという強烈な不良キャラを投入することで、それが緩和された印象。彼の存在が良いスパイスとなっているのか、しっかり物語が地に足ついている感じを受けます。キャラクターにシチュエーションに、これといって本作オリジナルの要素は少ないため、突き抜けるまではいかないかもしれませんが、安定して人気を獲得しそうなお話ですね。恋愛要素が強くなり、また複数人が絡んだ時に物語がどう変化してくるのか、楽しみです。
【男性へのガイド】
→ふわふわ感が少し薄れたと言えど、やはり甘さは残っており、男性にお薦めするのは若干躊躇してしまいますな。
【感想まとめ】
→目黒あむ先生の作品的に、この鬼瀬くんというキャラは良い存在になってくれるのでは、と期待感高め。続きが楽しみですね。
作品DATA
■著者:目黒あむ
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税
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