このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] 2013.02.27
1106218169.jpg森下suu「日々蝶々」(2)


どうしたら
もっと近づける…?



■現在2巻まで刊行中。
 一度あるけば誰もが振り返る…そんな学校一の美少女・すいれんが気になるのは、硬派な空手男子・川澄。お互い気になるけれど、お互い異性が苦手な2人。純粋すぎて恋心にもまだ気づけない…。奥手すぎて、どちらからも声をかけられない…。ひらり、ふわりの恋物語が、はじまります…。

 既に2巻まで発売されていて、来月末には3巻が刊行予定でございます本作。全くノーマークで手を付けていなかったのですが、昨年末だかに漫画LOG収蔵庫のきくちさんの購入日誌にあったのを見て手に取ったという経緯があります。いや、なんか他にもきっかけあった気がするんですけど、忘れてしまいました。というわけで読んでみたら、これが面白いではないですか!マーガレットらしくどこかぶっ飛んでいて、それでいてトキメキや情感が勢いによって霧散しているわけでもなく。既に2巻が出ていますが、今さらながらご紹介です。
 
 物語のヒロインは、とにかくもう超絶なおっとり美少女・すいれん。しかし美少女であることが仇となり、男子たちの猛烈なアタックにより男性恐怖症となり、さらに女子達の彼女を守らんとする勢いにやられ、どことなく女子も苦手に…。結果ほとんど言葉を発することはなくなり、幼なじみの女子・あやに守られ日々を過ごしているのでした。そんな彼女は入学早々、男子たちに囲まれるというピンチに陥るのですが、そんな所を颯爽と助けてくれたのが、空手部の硬派なメガネ男子・川澄。以来すいれんは彼のことが気になるようになるのですが、川澄は他の男子と違って恋愛に興味を持っておらず…というお話。


日々蝶々1
 この物語の一番の特徴は、何よりヒロインの口数が少ないということにあるでしょう。1巻あたりだいたい10回行かないくらい。恐ろしいほど少ないです。鳴かない動物みたいなイメージ。ちなみに意思を伝える際には言葉よりも、うなずきか首を横に振るかで伝え、しかもその機微をしっかりと友達が読み取ってくれるので、思いの外生活には支障がないようです。
 
 そして、そしてですよ…!相手役の川澄くんもまた女子と会話するのが苦手なんです。この二人が言葉を交わすシーンは2巻までで5回あるかないかくらいじゃないですか?本当にレア。そんなんで恋愛できるのかって話ですが、それがゆっくりながらちゃんと意識しあってて面白い。周囲の友達のフォローが非常に手厚いために進展しやすいシチュエーションが生まれるようにはなっているのですが、それでもなお二人が近づくには時間が必要です。あとだんだんと友達に守られっぱなしだったすいれんが、自らの意思で川澄くんに近づこうとするのが、娘の成長を見守るようで心配ながらも微笑ましいのです。


日々蝶々1−2
数少ない、会話シーン。いや、言葉返してないんだけども…。無表情、無口の応酬ですが、段々と感情が表に出るように。そんな二人にニヤニヤを禁じ得ない。


 ヒロインの口数が少ないというのは、初っぱなの印象付けは簡単ではあるものの、往々にして自ら動いてくれないので、作者泣かせと聞いたりします。あと言葉で心情描写できないので、表情にかかる比率が多くなってくるんですよね。ヒロインのすいれんは言葉が少ないだけでなく、割と序盤無表情だったのですが、物語が進むにつれて表情が豊かになってきます。その表情がかわいいんだ、また。単に恋愛面での進展だけでなく、ヒロイン自身の変化を楽しめるという意味で、二度美味しい本作。この「変化を楽しむ」という視点は、相手役の川澄くんにも当て嵌めることができて、この先二人が絡んでどんなケミストリーを見せてくれるのか、非常に楽しみでございます。
 
 
【男性へのガイド】
→一風変わった恋愛物語。進行自体は少女漫画ではあるものの、男子視点、女子視点、友達視点、どこからでも楽しむことができるので、受け入れる間口は広い作品かと思います。
【感想まとめ】
→マーガレットらしさを備えつつも、ペースはゆっくりじっくり。とてもツボな作品に出会えました。これからの進展が楽しみな作品です。


作品DATA
■著者:森下suu
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊2巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「マーガレット」コメント (1)トラックバック(0)TOP▲
コメント

超せっかち&おしゃべりの私にはこの二人の口数等の少なさに
毎回、「キーっ!」となるのですが、
もうあかん、と思うと、すいれんがやっとしゃべってくれたり、
ちょっとかわすみ!とキレそうになるとさっと動いてくれたり・・・
なんだか目が離せない漫画なんですね、これが。

というか、とにかく川澄くんが超好みなんです。(笑)
From: とよ * 2013/03/01 12:36 * URL * [Edit] *  top↑

管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。