
どうしたら
もっと近づける…?
■現在2巻まで刊行中。
一度あるけば誰もが振り返る…そんな学校一の美少女・すいれんが気になるのは、硬派な空手男子・川澄。お互い気になるけれど、お互い異性が苦手な2人。純粋すぎて恋心にもまだ気づけない…。奥手すぎて、どちらからも声をかけられない…。ひらり、ふわりの恋物語が、はじまります…。
既に2巻まで発売されていて、来月末には3巻が刊行予定でございます本作。全くノーマークで手を付けていなかったのですが、昨年末だかに漫画LOG収蔵庫のきくちさんの購入日誌にあったのを見て手に取ったという経緯があります。いや、なんか他にもきっかけあった気がするんですけど、忘れてしまいました。というわけで読んでみたら、これが面白いではないですか!マーガレットらしくどこかぶっ飛んでいて、それでいてトキメキや情感が勢いによって霧散しているわけでもなく。既に2巻が出ていますが、今さらながらご紹介です。
物語のヒロインは、とにかくもう超絶なおっとり美少女・すいれん。しかし美少女であることが仇となり、男子たちの猛烈なアタックにより男性恐怖症となり、さらに女子達の彼女を守らんとする勢いにやられ、どことなく女子も苦手に…。結果ほとんど言葉を発することはなくなり、幼なじみの女子・あやに守られ日々を過ごしているのでした。そんな彼女は入学早々、男子たちに囲まれるというピンチに陥るのですが、そんな所を颯爽と助けてくれたのが、空手部の硬派なメガネ男子・川澄。以来すいれんは彼のことが気になるようになるのですが、川澄は他の男子と違って恋愛に興味を持っておらず…というお話。

この物語の一番の特徴は、何よりヒロインの口数が少ないということにあるでしょう。1巻あたりだいたい10回行かないくらい。恐ろしいほど少ないです。鳴かない動物みたいなイメージ。ちなみに意思を伝える際には言葉よりも、うなずきか首を横に振るかで伝え、しかもその機微をしっかりと友達が読み取ってくれるので、思いの外生活には支障がないようです。
そして、そしてですよ…!相手役の川澄くんもまた女子と会話するのが苦手なんです。この二人が言葉を交わすシーンは2巻までで5回あるかないかくらいじゃないですか?本当にレア。そんなんで恋愛できるのかって話ですが、それがゆっくりながらちゃんと意識しあってて面白い。周囲の友達のフォローが非常に手厚いために進展しやすいシチュエーションが生まれるようにはなっているのですが、それでもなお二人が近づくには時間が必要です。あとだんだんと友達に守られっぱなしだったすいれんが、自らの意思で川澄くんに近づこうとするのが、娘の成長を見守るようで心配ながらも微笑ましいのです。

数少ない、会話シーン。いや、言葉返してないんだけども…。無表情、無口の応酬ですが、段々と感情が表に出るように。そんな二人にニヤニヤを禁じ得ない。
ヒロインの口数が少ないというのは、初っぱなの印象付けは簡単ではあるものの、往々にして自ら動いてくれないので、作者泣かせと聞いたりします。あと言葉で心情描写できないので、表情にかかる比率が多くなってくるんですよね。ヒロインのすいれんは言葉が少ないだけでなく、割と序盤無表情だったのですが、物語が進むにつれて表情が豊かになってきます。その表情がかわいいんだ、また。単に恋愛面での進展だけでなく、ヒロイン自身の変化を楽しめるという意味で、二度美味しい本作。この「変化を楽しむ」という視点は、相手役の川澄くんにも当て嵌めることができて、この先二人が絡んでどんなケミストリーを見せてくれるのか、非常に楽しみでございます。
【男性へのガイド】
→一風変わった恋愛物語。進行自体は少女漫画ではあるものの、男子視点、女子視点、友達視点、どこからでも楽しむことができるので、受け入れる間口は広い作品かと思います。
【感想まとめ】
→マーガレットらしさを備えつつも、ペースはゆっくりじっくり。とてもツボな作品に出会えました。これからの進展が楽しみな作品です。
作品DATA
■著者:森下suu
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊2巻
■価格:400円+税
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