
「
心は迷信だと思う?」
「……思わない!」
■女の子の若葉と男の子の青葉。二人は双子の小学5年生。そんな二人と仲が良いのが、最近モテだした男子の千尋に、しっかり者で背が一番高い「でかまり」こと小鞠、そして一番背が小さいまっちん。笑って、悩んで、ケンカして
仲良し小学生5人組の日常を描いたお話です。小学生ならではの悩みや楽しみを、優しく楽しく温かく描いた作品になっています。小学校高学年ということで、恋をしたり性について悩んだり、進路について考えてみたりと、変わりたくないけど変わっていかざるを得ない子供達の様子が描き出されます。その時なりのモンダイを話に絡めてくるのですが、登場人物それぞれに対し、上手い具合に距離を取って話を展開。その空気感が良いんですよね。モテ男子が自分より背の高い女の子に恋をしていたり、しっかり者の女の子が、一丁前に大人の男の人に恋をして悩んだり、一番小さく頼り無さげな男の子が、最も核心をついた考えをしていたり。キャラの配置と動かし方が絶妙に上手い。小学生の日常を描いた作品はたくさんあるのですが、自分達が実際に経験した小学校生活のエッセンスを抜き取って、生かしている感じはこれが一番強い。リアルとは違うんですがね。

仲良し5人組の中でも双子は一番ヤンチャ。
後半には、進学校からの転校生や、保健室登校をしている女子などを投入し、話を動かします。特に後半はほとんどエリート転校生・速水くん絡みで話が展開。家庭問題や転入前の学校での問題など、様々な要因から若干ひねくれてしまった彼。2巻以降では彼の変化が描かれていくのでしょう。
しかしなんだかそのくだりを読んでいる時、自分が試されているような気がしてなりませんでした。その性格からやけに反抗的な態度をとる速水くんなのですが、どういう気持ちで読んでいるかでその人のオトナ度が判るんじゃないかなぁ、と。読み方としては大体、「こいつは嫌なヤツだ!」か、「ふむ、正してあげんとなぁ」か、「うんうん、こんな子もいるよね」の3通りだと思うのですが、後ろになるにつれてオトナ度が増えるように思います。「この子はダメだなぁ、ちゃんと正してあげないと」なんて思った自分はまだまだだなぁ、と。ありのままを受け入れてあげて、無理に正そうしない。そんな大人になりたいものです。皆さんはどうなのかわかりませんが、私は小学生の日常を描いた作品では、いつも大人との関わりあいに注目して読んでいます。だからこんなコト考えたのかもしれません。
【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→読みやすいと思います。日常ものが好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→日常ものは好きです。小学生視点でなく、全体を包み込むように話が展開されるので、良い感じ。面白いと思います。
作品DATA
■著者:御徒町鳩
■出版社:新書館
■レーベル:WIGSコミックス
■掲載誌:Wings('08年2月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税