このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2009.03.27
07217982.jpg藤原ゆう「TRAMP.」(1)


"自分"と
"仲間"を信じるんだ
君との出逢いも…ボクの宝だ



■生まれてからずっとイイコトなしだったアルト。15歳で職もなく、両親とも死別、今はひとりで暮らしている。そんなある日、海賊にさらわれてしまう。ワケも分からずにいると、海賊はアルトのことを「トランプ」だと言う。体には生まれ持ったクローバーのアザがあったが、それが「トランプ」の証なのだという。伝説の大海賊の血を引くものには皆体に痣があり、スペード、ダイヤ、クラブ、ハートが揃ったとき、伝説の海賊の財宝への道が開かれるのだという。最初はワケがわからなかったアルトだったが、個性的な海賊の面々と過ごすうち、自分の進みたい道が見えてきた。オレ…旅…行きます。海賊達の間で伝説となった、一つの物語の幕が開く    

 突然海賊にさらわれ、大海賊の末裔であり、「トランプ」であるなどと言われ混乱するアルトだったが、個性的な面々が揃う海賊達の中に、自分の居場所を見つけていきます。すでに船にはトランプが二人。スペードの船長ジオに、ハートのマリー。トランプはそれぞれ特殊な体質を持っており、それが良い方向に働くこともあれば悪い方向に働くこともある。ちなみにアルトはチャージマンという体質で、パワーを一気に爆発させるかわりにエネルギーがすぐに切れるという性質を持ちます。またトランプ以外の面々も個性的な性格で、物語に彩りを添えます。


trump.jpg
突然さらわれ、よろしくされてしまうアルト。


 伝説の海賊の財宝へ繋がるということで、頻繁に危険にさらされるアルト。多くの人間が欲望から財宝を狙うわけですが、ジオは別の目的から。全てを終わらせるため。財宝があるために、海賊間での抗争が激化。その状況を憂いだジオは、全てを終わらせるためにこの旅に出ます。またアルトは、全く知らなかった自分のルーツを知るために、旅に出発。クルー達と関わっていき、自分の居場所を見つけていきます。
 
 1巻から登場人物が多いですが、描き分けはきっちり出来ているので問題はナシ。財宝という目的も明確になっているので、先々も安心して読んでいけそう。これといった目新しさはないものの、冒険ものが好きな方であれば十分に楽しめる内容になっていると思います。
 ちなみに表記はTRAMPとありますが、カードゲームのトランプのスペルはTRUMP。作者さん曰く、Aという文字を入れたかったからだとか。


【オトコ向け度:☆☆☆☆☆】
→少年誌で連載していても違和感ない内容。カワイイ女の子キャラもいますし。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→目標が明確で、物語も淀みなく展開。この手の話が好きな方なら。


作品DATA
■著者:藤原ゆう
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:WARD(平成20年No.2~連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税

カテゴリ「WARD」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。