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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.05.08
1106265663.jpg尾崎あきら「太田川純情ラバーズ」


「緒方なんて全然追いつかないくらいはりきっちゃうよ?
それでもいいの?」
「のぞむところじゃ」



■野球部のエース・緒方くんに一目惚れした山田ひろの。告白するも玉砕すること十数回。野球一筋の緒方くんは、何をしても一向に振り向いてくれる気配なし。それどころか、「つきまとうのをやめて」とまで言われる始末…。それでもひろのは懲りずにアタックし続けるけど…。どこまでも真っ直ぐな、青春ストーリー!!

 尾崎あきら先生の新作でございます。広島の高校を舞台にした、野球少年とそんな彼に恋をしてしまった女の子のお話。物語のヒロイン山田ひろのは、野球部の緒方くんに一目惚れをして以来、何度となくアタックをし続け、玉砕すること十数回…。それでも諦められない彼女は、少しでも振り向いてもらおうと、お弁当を作ったり、お守りのぬいぐるみを作ったりと、あの手この手でアプローチ。けれども野球一筋の緒方くんからしたら、「付き合うってどんなのかわからん」し、何より野球に集中できなくなるのは迷惑…。けれどもひろのの熱い想いに、少しずつ態度を軟化していって…?
 

太田川純情ラバーズ
 「君に届け」の龍といい、「青空エール」の山田くんといい、坊主の野球部員が恋愛対象のキャラとして登場する下地のある集英社別冊マーガレット。本作もレーベルは別マでございます。さすが。相手役の緒方くんは見ためも性格もどちらかというと龍に似たタイプで、寡黙な努力家タイプ。ただ恋愛はちょっと縁遠いというか興味がなく、ただただ野球のことだけを考えているような子。ちなみに野球部の緒方というとあだち充の「ラフ」を思い出しますが、被っているのは才能溢れるピッチャー(ラフの方をピッチャーに分類して良いものか…)というだけで、性格は全然別。
 
 好きすぎて猛アタックを繰り返すヒロインの想いがやがて報われるという、少女漫画の色モノヒロインが登場するテンプレとしてはよく使われるパターン。とはいえ大抵それらは読切りであったりするので、本作のように1巻まるごとって形は結構珍しいかもしれません。ヒロインのひろのはとにかく一本気な性格で、相手のことを想って相手のことにならないことをしてしまう(頼まれてないのに弁当作ったりとか)、ありがた迷惑系の女の子。フラれ続けても決して諦めないその性格は、タチの悪い人とも松岡修造とも受け取れるような…。いや、たぶん自分だったらめっちゃ迷惑でやめて欲しいって思ってしまうのでしょうが、お相手の緒方くんはあんまり動じない性格で、そんな彼女の奇行もある程度受け入れてしまう懐の深さがあったりします(イヤだとは思っている)。



太田川純情ラバーズ1−2
 尾崎先生は「武士道シックスティーン」(→レビュー)でもそうだったのですが、自制出来ない系のヒロインのエネルギーが前面に押し出るタイプの作風で、とにかく勢いよく物語が進んでいって、それがとっても心地よい。いい感じにコミカルで、それが勢い余ってシリアスな場面にも食い込んでしまって感動の涙が薄れるってこともままあるのですが、そこはご愛嬌。噛み合いつつも、噛み合ない慌ただしい二人の関係は実に微笑ましく、読んでいて非常に元気を貰えます。
 
 物語の舞台は広島で、ヒロインは広島東洋カープのファン。そして登場人物もヒロインを除いてカープに所属する(した)選手の名前がついています。相手役の緒方くんをはじめ、堂林に金丸と、カープっぽい名前が。芸が細かいです。キャラクターも広島弁、郷土愛ですねぇ。
 
 単行本には表題作のほか、読切りが一作収録されています。こちらは中学受験に失敗した男の子が、引きこもりのクラスメイトと触れあうことで変化して行くという学園ものなのですが、恋愛色薄めながらこちらも青春の匂いを感じて非常に良かった。尾崎あきら先生の作品は押し並べて好きなのですが、本作も非常に楽しく読むことができました。もっと長期連載とかしてほしいなぁ…。
 

【男性へのガイド】
→恋愛モードなヒロインですから、当然恋愛色は強いのですが、テンポ良く進むので甘さ控えめ。そのため恋愛主体の他作品に比べて読みやすさは出ているのではないかと思います。
【感想まとめ】
→尾崎先生の作品はみんなお気に入りなのですが、本作も面白かったです。一気に読んで元気を貰えました。おすすめで!


作品DATA
■著者:尾崎あきら
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■全1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazon

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コメント

別マのホームページに載っていましたが「オザキアキラ」というカタカナ表記の名前で連載開始みたいです。
ペンネームが変わって作風も路線変更したりするんでしょうか?
登場人物の設定やカラーイラストからガーリッシュな印象を受けましたよ。
From: ~名もなきお * 2013/05/13 01:33 * URL * [Edit] *  top↑
このレビューをよんで、面白そうだなぁと思って買いました。とても私の好きな作風でした。
ほかのレビューも楽しみにしてます。
From: みず * 2013/06/24 11:28 * URL * [Edit] *  top↑

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
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シリウスと繭
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レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
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BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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