このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] 2009.01.10
町でうわさの天狗の子岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」


3日に一回でいいから
タケル君におはようって言ってもらえるなら
お父さんや瞬ちゃんに迷惑かけても
同じ高校に行きたかったんだもん



■昨日第3巻発売しました。
 ヒロインの秋姫は天狗の娘で、山にすむ天狗の父親とは離れ、下界で人間の母親と暮らしながら中学校に通っていた。天狗の血を引く彼女は、当然後継者として期待されているのだが、本人には全くその気はなく、もっぱら同級生のタケル君のことで頭がいっぱい。中学を卒業したらお山に入って修行をするという言いつけも聞かず、タケル君も通う町から少し離れた高校に入学する。娘の身を案じた天狗の父は、秋姫の幼なじみで、お山で天狗になるため修行を積んでいる瞬を同じ高校に入学させるのだが…。
 
 天狗がごく普通に存在する世界で、天狗の娘が後継者という宿命に抗いながら、ごく普通の女の子として生活することを願うという青春ファンタジー。なんて書くと大層なストーリーのように見えるかもしれませんが、ヒロインが天狗の子というだけで、後は普通の少女マンガです。天狗の子といっても、見た目は全く普通の女の子で、ごく普通に高校に通っています。ただかなりの大食いで、力がとっても強いぐらいで。じゃあ別に天狗の子って設定でなくてもって思われるかもしれませんが、ちゃんと天狗の子ならではのイベントを用意していて、ストーリー中で生かしています。それでも基本は、好きな男の子がいて、どうやって距離を縮めようかっていうオーソドックスな少女マンガのもの。またその描き方がものすごく自然で、あっという間にその世界に引き込まれてしまいます。
 
 岩本ナオさんの作品は、その魅力を説明するのが結構むずかしくて、わかってもらうためにはとりあえず読んでいただきたいというか。3巻では、女の子たちそれぞれの恋がゆっくりと動きだします。だけどそこだけに終始しないのがこのお話の魅力。どうやら瞬ちゃんが今後のキーになってきそうな雰囲気ですねぇ。次巻も楽しみです。


【オトコ向け度:☆☆☆  】
→基本は少女マンガ。それでも男性に読ませてしまう雰囲気を持っているのが岩本作品の特徴。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→「雨無村~」の方が好みなので星4つですが、それでも強くお薦めしたい作品です。でもなんとなく、マンガ読みの人こそが好みそうな作品ではあるんだよなぁ。


作品DATA
■著者:岩本ナオ 作者ブログ→「岩本ブログ」RSS購読してますが面白いですよ
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックスα
■掲載誌:flowers(2007年6月号~連載中)  
■既刊3巻
■定価:各400円+税
■「このマンガがすごい! 2009」オンナ編:第5位

Amazonで購入する

カテゴリ「flowers」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。