作品紹介→東村アキコのルーツが赤裸々に:東村アキコ「かくかくしかじか」1巻
東村アキコ「かくかくしかじか」(2)
私はまだもがいてる途中だよ
いつまでたっても
あの時のままだよ
■2巻発売しました。
日高先生にしごかれて、美大受験を乗り切った明子。夢に近づくはずが…?少女マンガ家を夢見たあの頃を描く、セキララ、青春記、煩悶の第二章!!!!
〜2巻発売です〜
2巻発売しました。年末年始のまとめ記事で、本作を継続作の1位にしたのですが、2巻がこのタイミングで発売ですよ。1巻では日高先生にしごかれる地獄の受験生時代が描かれておりましたが、2巻では大学に合格してからの生活が描かれていきます。
見事美大に合格し、金沢で大学生活をスタートさせた明子。あれだけ大変な受験期を過ごし合格したというのに、合格した途端に絵がかけなくなってしまいます。描こうという気は、多少はあった。けれども、彼女を誘惑するものは、逃げ道は、それ以上にありすぎたようです。はい、大学生にありがちな、遊びに走るパターンです。
ここからは怒濤のだらけた大学生活が描かれる形に。自分自身もそうでしたが、この頃って時間だけはたくさんあるので、色々考えることは多いんですよね。なので、ネタには事欠かない。ただやっぱり動きはなくて、うじうじと絵に向き合わない様子は、やや冗長でそしてこの気持ちがわかるからこそ、重苦しい。金沢ということで、日高先生と会う機会が減りエピソードが減ったというのもありそうで、1巻ほどのキレの良さは成りを潜めたような印象がありました。やっぱり日高先生やごっちゃんみたいな、ぶっ飛んだキャラがいてこそなんでしょうか。
〜後悔を描くことで消化すること〜
とはいえこのパートは物語上必要不可欠なもの。この物語を、日高先生への感謝と、そして後悔を描くものだとするのであれば、あれだけ懸命に受験期に指導してくれたにも関わらず、堕落して絵を描かずにいる大学生活というのは、一番の“後悔”パートになるわけで。1巻でも似たようなエピソードはありましたが、基本的には日高先生に従い、辛さが先行するような内容。翻って2巻では、離れているがゆえの裏切り、逃げみたいなエピソードが放り込まれて来るようになりました。特に印象的だったのは、先生がわざわざ金沢に来てくれた時のエピソード。来てくれたにも関わらず、嫌いなわけでもないけれど、見られてしまうのは恥ずかしいし、鬱陶しい…そのため、ろくに話もせずに

こんなことを
先生は家に泊まったものの、結局明子は彼氏の家に泊まり、家には先生が一緒に飲もうと持ってきたであろう焼酎だけが。こういう時、いつも後悔するんですよね。

そしてこうなる。
私も実家の両親とは多少折り合いが悪く、たまに会っても鬱陶しく思ってついつい悪い雰囲気にしてしまったりして、そのたびに後悔するんですよね。離れて暮らしている以上、そうこの先会う回数も多くない。東京で、故郷で会うたびに「今回こそは」と思って会うのですが、それでも不思議なもので、まだ自分が子どもだからなのか、イヤな言葉を言ってしまったり不機嫌になったりすることがしばしば。それじゃあいかんと、ちょうど一昨日、この作品を読んだ後に父親に東京で会ったのですが、父親のリクエストに応えて、行きたい居酒屋に一緒についていき、さらには長年の夢であったキャバクラに親子で行って参りましたよ。これまで頑なに拒否していたのですが、行ってしまえば恥ずかしさはあれど、それなりに楽しいもので、少しは親孝行になったかな、なんて。
それこそ、今恩返しできる人であれば次がありますが、そうでない人であればそれは後悔として自分の中で残り続けます。どうしたって、自分の中で消化していくしかないのですが、一つこういう形でその後悔を発露・消化できるというのは、すごく素敵なことだと思います。こうして自分の中に燻っていたものを、マンガに描いて吐き出すことで、少しは楽になるし、衆目に晒されることで相応の辱めを受けて納得して消化できるし。
〜私の感受性がないだけなのか、よみとれなかったもの〜
さて、今回も面白さと切なさが入り交じる内容となっていたのですが、作者の語りパートで、ちょっと意図がわからなかったシーンが。それが学園祭から、自分のその後を語ることになったシーンでの、下記の言葉
私の感受性がないのか、なんで彼女がここで悔しいと感じたのか、ちょっとわからなかったのです。ごっちゃんのことを描いたことなのか、それともやっと大きなお金が振り込まれた時間的な話なのか、また他のことなのか。前後の文脈からちょっと読み取れなかったので、そのストレートな感情の発露と相まって、余計に印象に残っていまして。この先その意味がわかってくるものなのか、それとももうここで完結している話なのか。ともあれ、3巻が気になるところ。楽しみに待ちたいと思います。
■購入する→Amazon

私はまだもがいてる途中だよ
いつまでたっても
あの時のままだよ
■2巻発売しました。
日高先生にしごかれて、美大受験を乗り切った明子。夢に近づくはずが…?少女マンガ家を夢見たあの頃を描く、セキララ、青春記、煩悶の第二章!!!!
〜2巻発売です〜
2巻発売しました。年末年始のまとめ記事で、本作を継続作の1位にしたのですが、2巻がこのタイミングで発売ですよ。1巻では日高先生にしごかれる地獄の受験生時代が描かれておりましたが、2巻では大学に合格してからの生活が描かれていきます。
見事美大に合格し、金沢で大学生活をスタートさせた明子。あれだけ大変な受験期を過ごし合格したというのに、合格した途端に絵がかけなくなってしまいます。描こうという気は、多少はあった。けれども、彼女を誘惑するものは、逃げ道は、それ以上にありすぎたようです。はい、大学生にありがちな、遊びに走るパターンです。
ここからは怒濤のだらけた大学生活が描かれる形に。自分自身もそうでしたが、この頃って時間だけはたくさんあるので、色々考えることは多いんですよね。なので、ネタには事欠かない。ただやっぱり動きはなくて、うじうじと絵に向き合わない様子は、やや冗長でそしてこの気持ちがわかるからこそ、重苦しい。金沢ということで、日高先生と会う機会が減りエピソードが減ったというのもありそうで、1巻ほどのキレの良さは成りを潜めたような印象がありました。やっぱり日高先生やごっちゃんみたいな、ぶっ飛んだキャラがいてこそなんでしょうか。
〜後悔を描くことで消化すること〜
とはいえこのパートは物語上必要不可欠なもの。この物語を、日高先生への感謝と、そして後悔を描くものだとするのであれば、あれだけ懸命に受験期に指導してくれたにも関わらず、堕落して絵を描かずにいる大学生活というのは、一番の“後悔”パートになるわけで。1巻でも似たようなエピソードはありましたが、基本的には日高先生に従い、辛さが先行するような内容。翻って2巻では、離れているがゆえの裏切り、逃げみたいなエピソードが放り込まれて来るようになりました。特に印象的だったのは、先生がわざわざ金沢に来てくれた時のエピソード。来てくれたにも関わらず、嫌いなわけでもないけれど、見られてしまうのは恥ずかしいし、鬱陶しい…そのため、ろくに話もせずに

こんなことを
先生は家に泊まったものの、結局明子は彼氏の家に泊まり、家には先生が一緒に飲もうと持ってきたであろう焼酎だけが。こういう時、いつも後悔するんですよね。

そしてこうなる。
私も実家の両親とは多少折り合いが悪く、たまに会っても鬱陶しく思ってついつい悪い雰囲気にしてしまったりして、そのたびに後悔するんですよね。離れて暮らしている以上、そうこの先会う回数も多くない。東京で、故郷で会うたびに「今回こそは」と思って会うのですが、それでも不思議なもので、まだ自分が子どもだからなのか、イヤな言葉を言ってしまったり不機嫌になったりすることがしばしば。それじゃあいかんと、ちょうど一昨日、この作品を読んだ後に父親に東京で会ったのですが、父親のリクエストに応えて、行きたい居酒屋に一緒についていき、さらには長年の夢であったキャバクラに親子で行って参りましたよ。これまで頑なに拒否していたのですが、行ってしまえば恥ずかしさはあれど、それなりに楽しいもので、少しは親孝行になったかな、なんて。
それこそ、今恩返しできる人であれば次がありますが、そうでない人であればそれは後悔として自分の中で残り続けます。どうしたって、自分の中で消化していくしかないのですが、一つこういう形でその後悔を発露・消化できるというのは、すごく素敵なことだと思います。こうして自分の中に燻っていたものを、マンガに描いて吐き出すことで、少しは楽になるし、衆目に晒されることで相応の辱めを受けて納得して消化できるし。
〜私の感受性がないだけなのか、よみとれなかったもの〜
さて、今回も面白さと切なさが入り交じる内容となっていたのですが、作者の語りパートで、ちょっと意図がわからなかったシーンが。それが学園祭から、自分のその後を語ることになったシーンでの、下記の言葉
10年目くらいに子供のことを描いたマンガがポンっと売れて
私の口座に大きなお金が振り込まれた時
私は悔しくて悔しくて
しばらくそこから動けなかった
私の口座に大きなお金が振り込まれた時
私は悔しくて悔しくて
しばらくそこから動けなかった
私の感受性がないのか、なんで彼女がここで悔しいと感じたのか、ちょっとわからなかったのです。ごっちゃんのことを描いたことなのか、それともやっと大きなお金が振り込まれた時間的な話なのか、また他のことなのか。前後の文脈からちょっと読み取れなかったので、そのストレートな感情の発露と相まって、余計に印象に残っていまして。この先その意味がわかってくるものなのか、それとももうここで完結している話なのか。ともあれ、3巻が気になるところ。楽しみに待ちたいと思います。
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