作品紹介→*新作レビュー*紺野キタ「つづきはまた明日」
2巻レビュー→行き交う想いに優しく包まれて…:紺野キタ「つづきはまた明日」2巻
3巻レビュー→すこやかに育つこどもの美しさよ:紺野キタ「つづきはまた明日」3巻
関連作品レビュー→「SALVA ME」/「日曜日に生まれた子供」/「夜の童話」
紺野キタ「つづきはまた明日」(4) 
どうかこの子たちが
この先もずっと
毎日 健やかな朝を迎えることができますように…
■4巻発売、完結しました。
父子家庭に暮らす藤沢杳と清は、父と叔母の里佳子に見守られ健やかに成長する。隣の家に原田家が越してきて、ちょうど一年。“あの日”と同じく沈丁花の咲く季節が訪れ…。杳と清、二人の日常を綴ったほのぼのストーリー、完結巻!!
〜完結です〜
4巻発売、完結しました。だいたい1年に1冊づつ、非常にゆっくりとした刊行ペース巻数を重ね、このたび完結。子供達は健やかに成長し、日々は続いていくので、どこまでも続いていくような感覚もあったのですが、これにて物語は終了です。最終巻だからといって、何か大きな感動的なエピソードが登場するわけでもなく、いつものようにそこにある日常が、今回も描かれていました。
〜男の子らしくて、男の子らしくない杳〜
まず印象に残ったエピソードは、バレンタインの一件でしょうか。普段はとっても大人っぽい杳ですが、バレンタインでは普通の男の子っぽい一面を覗かせてくれました。全く期待していなかったのに、不意に好きな子からチョコを頂くというサプライズに見舞われた杳。なんだか大人っぽい反応をするのかと思いきや、もの凄く舞い上がっていました。清と一緒に食べてね、と言われたにも関わらず、チョコ欲しさから清をプリンで買収、独り占めを画策します。しかも嬉しすぎてずっと食べずに取っておくという。このときばかりは出来た兄ではなく、ごくごく普通の男の子という感じがして、すごく可愛らしかったです。しかしそこで終わらないのが杳。ホワイトデーのお返しにと…

手作りケーキを作ろうとする。しかも何度も練習。
うわお、めっちゃ重い。手作りってあたりが如何にも杳っぽいですし、さらに何度も何度も挑戦するってあたりも杳っぽい。真面目さゆえの行動なのでしょうが、さすがにこれはリカコから咎められたようです。結局クッキーに落ち着きましたが、それでも手作りクッキーってすごくないですか。そしてその後のオチ、なんだか結局ついていないというか、それでも彼の評価は上がっているのですが、そこじゃないんだよ感が、いかにも長男という感じがして良いですね。
〜「また明日」という言葉の尊さ〜
さて、今回は二人の母が亡くなった直後のお話が描かれました。母が亡くなった原因は、交通事故。子育てが一段落したら、いずれ時間も持て余すようになるから、その時に旅行に行こうなんて話をしていた矢先の訃報。その際に、父の想いを切り取ったであろうモノローグは、非常に印象に残るものでした。
今日の、そして明日の尊さを、改めて思い知らされます。何の気なしに言う「また明日」という言葉。それは単なる挨拶ではなく、“その人が明日を無事迎えられますように”というような、祈りに似た気持ちも少しばかり込められているのかもしれません。少なくとも、父親から子供達に向けられる言葉には、間違いなくそういった想いが込められているのではないのかな、と。だからこそ、当たり前のように迎えられた今日、明日がこんなにも愛おしい。母親を亡くした二人に、父親が願ったのは、母の死から早く立ち直って欲しいということではありませんでした。

願ったのは、ごく当たり前の日常。
ともすればその痛みも、日常の一部になる。ちょこちょこと挟まれる、なんてことない日常のエピソードも、この物語では意味があるもの。健やかに子供が育っている、何よりのエピソードです。
この作品を読んだことで、私ももう少し日々を大切に生きてみようかな、と思ったのでした。日々仕事で消化しているような平日も、心の持ちようでちょっとは変わって見えるかもしれませんね。それでもやっぱり、月曜日は憂鬱ですけれど(笑)
■購入する→Amazon
2巻レビュー→行き交う想いに優しく包まれて…:紺野キタ「つづきはまた明日」2巻
3巻レビュー→すこやかに育つこどもの美しさよ:紺野キタ「つづきはまた明日」3巻
関連作品レビュー→「SALVA ME」/「日曜日に生まれた子供」/「夜の童話」

どうかこの子たちが
この先もずっと
毎日 健やかな朝を迎えることができますように…
■4巻発売、完結しました。
父子家庭に暮らす藤沢杳と清は、父と叔母の里佳子に見守られ健やかに成長する。隣の家に原田家が越してきて、ちょうど一年。“あの日”と同じく沈丁花の咲く季節が訪れ…。杳と清、二人の日常を綴ったほのぼのストーリー、完結巻!!
〜完結です〜
4巻発売、完結しました。だいたい1年に1冊づつ、非常にゆっくりとした刊行ペース巻数を重ね、このたび完結。子供達は健やかに成長し、日々は続いていくので、どこまでも続いていくような感覚もあったのですが、これにて物語は終了です。最終巻だからといって、何か大きな感動的なエピソードが登場するわけでもなく、いつものようにそこにある日常が、今回も描かれていました。
〜男の子らしくて、男の子らしくない杳〜
まず印象に残ったエピソードは、バレンタインの一件でしょうか。普段はとっても大人っぽい杳ですが、バレンタインでは普通の男の子っぽい一面を覗かせてくれました。全く期待していなかったのに、不意に好きな子からチョコを頂くというサプライズに見舞われた杳。なんだか大人っぽい反応をするのかと思いきや、もの凄く舞い上がっていました。清と一緒に食べてね、と言われたにも関わらず、チョコ欲しさから清をプリンで買収、独り占めを画策します。しかも嬉しすぎてずっと食べずに取っておくという。このときばかりは出来た兄ではなく、ごくごく普通の男の子という感じがして、すごく可愛らしかったです。しかしそこで終わらないのが杳。ホワイトデーのお返しにと…

手作りケーキを作ろうとする。しかも何度も練習。
うわお、めっちゃ重い。手作りってあたりが如何にも杳っぽいですし、さらに何度も何度も挑戦するってあたりも杳っぽい。真面目さゆえの行動なのでしょうが、さすがにこれはリカコから咎められたようです。結局クッキーに落ち着きましたが、それでも手作りクッキーってすごくないですか。そしてその後のオチ、なんだか結局ついていないというか、それでも彼の評価は上がっているのですが、そこじゃないんだよ感が、いかにも長男という感じがして良いですね。
〜「また明日」という言葉の尊さ〜
さて、今回は二人の母が亡くなった直後のお話が描かれました。母が亡くなった原因は、交通事故。子育てが一段落したら、いずれ時間も持て余すようになるから、その時に旅行に行こうなんて話をしていた矢先の訃報。その際に、父の想いを切り取ったであろうモノローグは、非常に印象に残るものでした。
今日という日はいつだって
“あした”を積み重ねたその先にある
“あした”を積み重ねたその先にある
今日の、そして明日の尊さを、改めて思い知らされます。何の気なしに言う「また明日」という言葉。それは単なる挨拶ではなく、“その人が明日を無事迎えられますように”というような、祈りに似た気持ちも少しばかり込められているのかもしれません。少なくとも、父親から子供達に向けられる言葉には、間違いなくそういった想いが込められているのではないのかな、と。だからこそ、当たり前のように迎えられた今日、明日がこんなにも愛おしい。母親を亡くした二人に、父親が願ったのは、母の死から早く立ち直って欲しいということではありませんでした。

願ったのは、ごく当たり前の日常。
ともすればその痛みも、日常の一部になる。ちょこちょこと挟まれる、なんてことない日常のエピソードも、この物語では意味があるもの。健やかに子供が育っている、何よりのエピソードです。
この作品を読んだことで、私ももう少し日々を大切に生きてみようかな、と思ったのでした。日々仕事で消化しているような平日も、心の持ちようでちょっとは変わって見えるかもしれませんね。それでもやっぱり、月曜日は憂鬱ですけれど(笑)
■購入する→Amazon