作品紹介→*新作レビュー* 鳥野しの「オハナホロホロ」
2巻レビュー→先を見て、向き合うと決めた日:鳥野しの「オハナホロホロ」2巻
3巻レビュー→告白と決断と訪れた変化:鳥野しの「オハナホロホロ」3巻
4巻レビュー→辿り着いた“出られない駅”:鳥野しの「オハナホロホロ」4巻
鳥野しの「オハナホロホロ」(5)
でもね麻耶さん
この世界にあるのは
いつだって「結果」だけなんだ
■5巻発売しました。
麻耶はみちるを想っているが、ゆうたの将来を考え、再び“女同士の恋愛関係”となることを拒絶した。麻耶との同居生活はあと半年ほど。そんな折、亡夫・圭一の実家を訪れたみちるは、「ここで暮らさないか」と持ちかけられる。望月からのプロポーズも相まって、みちるの心は揺れ迷う。しかしそんな母の傍らで、ゆうたは麻耶の不在に耐えられなくなり…!?
〜完結してません〜
5巻発売、完結…してません。正直前回の引きといい、裏表紙の煽りといい(「クライマックス」とか書いてある)、完全に5巻で完結するもんだと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。しかしながら見せ場は見せ場。おそらく物語で一番の山場(前回が登りなら、今回は駆け下りるという感じでしょうか)であることは間違いなく、終始どこか緊張感のある空気となっていました。メインとなるのは、前回に引き続き、麻耶の心の揺れ動き。もちろんみちるの側にも思う所は様々あったようですが、みちる自身は

あんまり自分でどうしたいって気持ちがない
ようです。一見自分の生きたいように生きて、周囲を振り回しているように映る彼女ですが、その実、意思の無さゆえに暴走迷走してしまうという感じなのでしょうか。そういえば今回、みちるが離れて暮らすことになったのも、お義母さんからの誘いがあったからでしたね。主体性は、やっぱりないのか。しかしその“ひょんなことから訪れたしばしの離別”が、物語の動きに大きく作用してきます。
離れても、募るのは寂しさや疲ればかり。想いは巡れど、出口は見えません。そして周囲の人間も、そんな彼女の心中を察したのか、次々と彼女の背中を押すのでした。先輩といい、ニコといい、麻耶は本当に人に恵まれていますよね。少しばかり羨ましくもありますが、この人間関係は他でもない麻耶自身が呼び寄せ作り上げたものですから、やっぱりこうあって然るべきものなのかもしれません。
〜子供は理由にしちゃいけない〜
麻耶は最初、ゆうちゃんの将来を考えみちるとの離別を選びましたが、結局はみちるともゆうちゃんともいたいという想いを断ち切ることが出来ませんでした。この手の話では良く登場する、子供のことを考えての決断。自分の経験からなのか、この流れが個人的には結構苦手で。特に「子供のために○○します」的なエクスキューズが殊更苦手だったりするのです。子供のためを考えて別れるのも、子供のためを考えて何か別の道に進むのも、それはどちらも子供にとったら重荷であり、余計なお世話なんじゃないですかね。理由にしてしまうと、意思に関わらず当事者となり、変な責任みたいなものを子供は背負いがちです(その時で無いにせよ、ゆくゆくは)。自分のことすら背負いきれない小さな背中に、それ以上荷物を持たせてはいけないんじゃないかなぁ、と。
だから、ニコが将来を考え悩む麻耶に対し「いつだって結果だけだ」と言い放ったこと、そして麻耶が誰のためでもなく、自分のために決断をしたことは、本当に良かった。なるともわからない将来のゆうたのことを考えて行動するよりも、今のゆうたの想いと、自分の想いを汲んだほうが、そりゃあ幸せってもんです。
〜6巻はどうなる?〜
さて、というわけで5巻はほぼほぼ完結のような状態に落ち着いたわけですが、巻末にもある通り物語は続いていきます。もうこれ以上の事件は起きないような気がするのですが、かといって1巻丸々広げた風呂敷を静かに折り畳むだけなのも退屈です。どうするんでしょうかね。個人的に気になっているのは、望月さんをどうするのか問題。プロポーズまでもして、今回も

こんな良い感じに頑張っていた望月さん。ここまで頑張っているのですから、是非とも幸せになってもらいたいのですが、現時点ではあまり良い画が浮かびません。5巻では、ゆうちゃんの願いと麻耶の願いが一致して、願いの両立という着地となりましたが、望月さんもそういう落とし方できないだろうか。うーん、でもやっぱり男女恋愛となるとそこはハードル高いのか。というわけで、望月さんの動向が気になる6巻なのでした。あ、あとみちると今回ご尊顔を拝むことができた亡夫・圭一さんの馴れ初めとか、その辺も気になりますよね。過去回想とか入ってくるのでしょうか。何はともあれ、あと1巻、楽しみたいと思います。
■購入する→Amazon
2巻レビュー→先を見て、向き合うと決めた日:鳥野しの「オハナホロホロ」2巻
3巻レビュー→告白と決断と訪れた変化:鳥野しの「オハナホロホロ」3巻
4巻レビュー→辿り着いた“出られない駅”:鳥野しの「オハナホロホロ」4巻

でもね麻耶さん
この世界にあるのは
いつだって「結果」だけなんだ
■5巻発売しました。
麻耶はみちるを想っているが、ゆうたの将来を考え、再び“女同士の恋愛関係”となることを拒絶した。麻耶との同居生活はあと半年ほど。そんな折、亡夫・圭一の実家を訪れたみちるは、「ここで暮らさないか」と持ちかけられる。望月からのプロポーズも相まって、みちるの心は揺れ迷う。しかしそんな母の傍らで、ゆうたは麻耶の不在に耐えられなくなり…!?
〜完結してません〜
5巻発売、完結…してません。正直前回の引きといい、裏表紙の煽りといい(「クライマックス」とか書いてある)、完全に5巻で完結するもんだと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。しかしながら見せ場は見せ場。おそらく物語で一番の山場(前回が登りなら、今回は駆け下りるという感じでしょうか)であることは間違いなく、終始どこか緊張感のある空気となっていました。メインとなるのは、前回に引き続き、麻耶の心の揺れ動き。もちろんみちるの側にも思う所は様々あったようですが、みちる自身は

あんまり自分でどうしたいって気持ちがない
ようです。一見自分の生きたいように生きて、周囲を振り回しているように映る彼女ですが、その実、意思の無さゆえに暴走迷走してしまうという感じなのでしょうか。そういえば今回、みちるが離れて暮らすことになったのも、お義母さんからの誘いがあったからでしたね。主体性は、やっぱりないのか。しかしその“ひょんなことから訪れたしばしの離別”が、物語の動きに大きく作用してきます。
離れても、募るのは寂しさや疲ればかり。想いは巡れど、出口は見えません。そして周囲の人間も、そんな彼女の心中を察したのか、次々と彼女の背中を押すのでした。先輩といい、ニコといい、麻耶は本当に人に恵まれていますよね。少しばかり羨ましくもありますが、この人間関係は他でもない麻耶自身が呼び寄せ作り上げたものですから、やっぱりこうあって然るべきものなのかもしれません。
〜子供は理由にしちゃいけない〜
麻耶は最初、ゆうちゃんの将来を考えみちるとの離別を選びましたが、結局はみちるともゆうちゃんともいたいという想いを断ち切ることが出来ませんでした。この手の話では良く登場する、子供のことを考えての決断。自分の経験からなのか、この流れが個人的には結構苦手で。特に「子供のために○○します」的なエクスキューズが殊更苦手だったりするのです。子供のためを考えて別れるのも、子供のためを考えて何か別の道に進むのも、それはどちらも子供にとったら重荷であり、余計なお世話なんじゃないですかね。理由にしてしまうと、意思に関わらず当事者となり、変な責任みたいなものを子供は背負いがちです(その時で無いにせよ、ゆくゆくは)。自分のことすら背負いきれない小さな背中に、それ以上荷物を持たせてはいけないんじゃないかなぁ、と。
だから、ニコが将来を考え悩む麻耶に対し「いつだって結果だけだ」と言い放ったこと、そして麻耶が誰のためでもなく、自分のために決断をしたことは、本当に良かった。なるともわからない将来のゆうたのことを考えて行動するよりも、今のゆうたの想いと、自分の想いを汲んだほうが、そりゃあ幸せってもんです。
〜6巻はどうなる?〜
さて、というわけで5巻はほぼほぼ完結のような状態に落ち着いたわけですが、巻末にもある通り物語は続いていきます。もうこれ以上の事件は起きないような気がするのですが、かといって1巻丸々広げた風呂敷を静かに折り畳むだけなのも退屈です。どうするんでしょうかね。個人的に気になっているのは、望月さんをどうするのか問題。プロポーズまでもして、今回も

こんな良い感じに頑張っていた望月さん。ここまで頑張っているのですから、是非とも幸せになってもらいたいのですが、現時点ではあまり良い画が浮かびません。5巻では、ゆうちゃんの願いと麻耶の願いが一致して、願いの両立という着地となりましたが、望月さんもそういう落とし方できないだろうか。うーん、でもやっぱり男女恋愛となるとそこはハードル高いのか。というわけで、望月さんの動向が気になる6巻なのでした。あ、あとみちると今回ご尊顔を拝むことができた亡夫・圭一さんの馴れ初めとか、その辺も気になりますよね。過去回想とか入ってくるのでしょうか。何はともあれ、あと1巻、楽しみたいと思います。
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