
全部巻き込んで
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■21巻発売しました。
畳の上の挑戦者たちが夢を追う、名人戦・クイーン戦予選。誰しもが特別な想いで臨んだこの日、千早は修学旅行先の京都にいた。大切な友人と恩師がくれた、もう一つの夢を叶えるために…。一方、体調不良を理由に姿を見せずにいた太一、そして新は、東西の予選会場へ。努力、希望、信念。それぞれが描く未来への道とは…。
〜太一の自分探しの旅〜
「千早に勝つ」という宣言をしたものの、結局千早に敗れてしまった太一。ここで勢いも途絶えるかと思いきや、むしろそれを経て、太一の「勝利」「強さ」への想いは一層強くなったように感じられました。修学旅行を蹴っての、意地の東日本予選への出場。初めて見せた自分勝手な行動は、彼の執念が前面に押し出ているようで、非常に好感が持てました。そして勝ち進む太一。この中で太一が想っていたのは

自分じゃなくなりたい
でも 自分になりたい
果てしない、自分探しの旅です。まさか太一が、かるたを通して自分の姿というものを模索するようになるとは。そしてかるたで自分の姿を描くためには、かるたの型がなければなりません。そして太一のスタイルと言えば…

守りがるた
守りがるたが段々と型にはまってきた太一。準決勝、苦境に立たされながらも、守りがるたで徐々に挽回していきます。かつての太一にはなかったような粘り強さ。このまま勝つかと思わせておいて、最後は“ちはや”に泣きました。またしても立ちはだかった、“ちはや”。ちはやに泣き、あと一枚届かなかった、この土壇場でのついていない感じがいかにも太一らしい。しかし運命戦の“ちはや”を逃したこの状況、直後の「運命戦は運命戦じゃない」という先生の言葉(運命の札は自ら引き寄せるものという意?)も相まって、「太一これ、ちはや逃すんじゃねえか」感が…(笑)一方新は2枚差で西日本大会優勝。ただちはやの札は逃しているんですよね。まだ、まだ首の皮一枚つながってますよ太一さん!しっかり並々ならぬ気迫で臨んで、2回連続で予選でやられたら結構精神的にくるものがありますよね。
そうそう、今回新が太一を強く意識していたんですよね。20巻の時点で「なんで俺がそこにいないんだ」なんて思っていたりしたのですが、21巻では…

ここまで言うか
ついに出た「邪魔」という言葉。そこからの自虐がまた、真面目な彼らしいところ。お互いに意識し出したところで、直接対決というのを見てみたかったところですが、それはまだお預け。太一としては、新か千早に勝てないと、物語的に成就できない感があるので、頑張って欲しいですね。新が相手だとなかなか勝ち目はないのかもしれませんが、今回の先生のお願いによる、仮想・新の試みは、彼にちょっとの攻略のヒントを与えてくれるかもしれません。
〜先生の考えは千早にも染みついているのでしょう〜
東日本予選を勝ち抜いたのは、原田先生でした。これまでどれだけ強いのか、あまり真剣に描かれる事のなかった先生ですが、ここに来て本気を。そして新との対戦で、より鮮明にその強さというものが描かれるのではないでしょうか。原田先生といえば攻めがるた信条という印象ですが、もう一つ、みんなで勝ち抜きたいという強い想いを持っているようでした。

私は
白波会のみんなに助けられて戦いたいんだ
助けられたほうが強くなれるんだ!!
この考え方は、ちはやにもしっかりと受け継がれているようで。だからこそ、彼女は時に個人戦を犠牲にしてまでも、団体戦に懸けていたのでしょう。そして、幾度となく仲間に助けられた彼女は、今こうしてここまで強くなってきました。今度は、ちはやが助ける番。皆の期待と助けを背負って、原田先生は挑戦者決定戦に臨みます。女子も、男子も、どちらの戦いも熱くならないわけがない、22巻が楽しみです。
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