宮城理子「ミカド・ボーイ」(1)
は…
初接吻をしてしまった…■昭和十二年四月。一人の少年が、この国の運命を左右するかもしれない大事件に巻き込まれようとしていた。事件は、本編の主人公・柴田英人の登校途中に起こった。美少女が何者かに襲われている場面に遭遇したのだ。正義感の強い英人少年の前に、再び現れる例の美少女。彼女を追い、英人は、とある雑居ビルに迷い込んでしまう。待ち構えていたのは「神田商会」と銘打った、いかにも怪しい会社であった。そこで英人少年は、「帝国少年諜報部」にスカウトされるのだが…。
お久しぶりです。ぼちぼちレビューを再開していきます。さて、本日ご紹介するのは、宮城理子先生の「ミカド☆ボーイ」でございます。宮城先生と言えばドラマ化もされた「メイちゃんの執事」で有名ですが、「メイちゃん〜」は一区切りついたところで休載となっており(一応いつか再開するとは宣言されています)、本作は実質新連載となります。
物語の舞台となるのは、昭和初期の日本。一般の家庭に育ちながら、成績優秀で運動神経も抜群であるため一般特待生として中学校に入学した柴田英人少年が、本作の主人公になります。物語の導入は、冒頭に書いてある通り(詳細に書かれすぎていてビビる)。非常に高い能力を持った少年が、何やら怪しげな組織に所属させられ、次々と降ってくる指令をこなしていくというお話。

所属するのは、帝国少年諜報部。どこからか依頼される(のかそうじゃないのかもわからん)指令を受け、少年達が諜報員として動く。英人は“3号”。そしてこの少年が、“2号”。可愛い顔で、女装もお手のもの。正体不明で非常に食えないキャラクターです。こんな格好しちゃうあたり、割と自由というか、当時の時代設定は細かい所までは気にしない感じ。
典型的な巻き込まれ型の物語。少々ぶっ飛んだ舞台設定といい、非常にマーガレットらしい作品ですね。謎の組織「帝国少年諜報部」というのは、恐らく結構重要な役割を担っている組織かと思われるのですが、1巻ではその全容は明らかにならず。ちなみになぜ少年かというと、学校組織に潜り込みやすいから。英人は中学校に通っているのですが、当時中学に通えるのはエリート中のエリートで、家柄の良い子供達がたくさん。要人の息子などもおり、割と身近な場所でミッションが発生したりするのです。そのため、学校と諜報という一見結びつかない二つが、上手いこと噛み合って物語が転がっていく。宮城先生の作品らしくテンポも非常に良いため、サクサクと楽しく読むことができます。
リアリティなんてものは皆無なのですが、その分好きに舞台設定をして、キャラ設定をして、それらを好きに動かすことで、結果エンターテイメント性はマシマシ。正直全容が明かされていない上に設定もわりとゆるめに映るので、ストーリーなんてあってないようなものなのですが、それでも惹き付けられるのは、テンポの良さと散りばめられるネタの面白さによるものなのでしょうか。正直コメディという枠でもないし、ただただ純粋なエンターテイメントだとしか。この勢いがあれば、いつまでも転がせそうな気もします。
中学生という年齢設定、またキャラ配置的に恋愛に転がりそうな感はないのですが、英人と銀(2号)とのショタBLネタ的なものがあり、ここは是非とも継続して欲しいところです。
【男性へのガイド】→少年達が織り成すコメディなので、キャラ萌えできる女性の方がやはり。ショタ好きには割と需要があるのかも。
【感想まとめ】→これを実績のない漫画家さんとかがやったら大けがするのだと思うのですが、紙一重で面白い作品に仕上っているというのは宮城先生の成せる業というところでしょうか。作品よりも、宮城先生の手腕に驚かされる一作でした。
作品DATA■著者:宮城理子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税
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