東屋めめ「リコーダーとランドセル」1巻
「初恋を国家権力に
引き裂かれた
「なんだってー!?」
■宮川あつみ、高校２年生。身長は140センチないくらい。宮川あつし、小学５年生。身長は180センチ。どう見たって歳の離れた兄妹にしか見えない姉弟の、楽しくも、普通だったらまずありえない日常を4コマにしてお送りします！
みんな背が低い宮川家の中で、唯一身長180センチという長身を誇る長男・あつし。しかも彼、まだ小学５年生で、現在もすくすく発育中。当然彼にあう子供服などあるわけなく、着ているのはもっぱらお隣のお兄さんから頂いた、流行落ちのおさがり。それがまた見事に似合うもんだから、周囲の人たちはその見ためだけで振り回されます。そんなあつしの姉があつみ。身長が低く小学生にしか見られない彼女ですが、ある程度あつしを掌握する術を心得ており、なんだかんだで上手くバランスを取って生活しています。逞しい…。
この存在感。「ピューと吹く！ジャガー」に出てきそう。
表紙だけ見ると完全に変態なわけですが、ああ見えて小学５年生です。あんなのが小学生の輪の中にいたらそりゃあ浮きます。誘拐犯だ不審者だ、と通報されることは日常茶飯事。彼の担任（男が苦手）も困惑し、あつみの友達は弟だともつゆ知らず憧れてしまったり…。そんな風に、知らず知らずのうちに周囲を振り回しているあつしくんですが、見ためとは裏腹に中身はいたって普通の男子小学生。虫やおもちゃに興味があって、好きな相手も同級生。とはいえその想いには気づいてもらえず…。とにかく身長が高い小学生という設定を存分に活用した4コマになっています。
個人的にはあつみの友達で、思わずあつしに恋してしまった沙夜が好き。アンジャッシュばりの食い違いの演出。スゴいです。完全に日常系ではあるのだけれど、なぜか非日常の匂いがする作品。それはネタの展開故なのでしょうが、ここまでとなるとなかなか無いような気がします。
【オトコ向け度：☆☆ 】
→ネタの方向は女性寄り。でも男性でも全然いけると思いますよ。
【私的お薦め度：☆☆☆ 】
→さてこのままどこまでいけるのか。案外どこまででも行けそうですが。１本にネタを絞った、非日常系の日常4コマ。楽しく読めた作品でした。
作品DATA
■著者：東屋めめ
■出版社：竹書房
■レーベル：BAMBOO COMICS
■掲載誌：まんがくらぶオリジナル(2007年10月号～連載中)
■既刊１巻
■価格：648円＋税
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