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Tag [新作レビュー] 2013.08.27
1106306500.jpg瀬川藤子「屋上の君」


ユーレイでも何でもカンケーないもん
友達だもん
助けてあげるの!!



■転入して3か月。ひとりぼっちの小学生・春菜は、“かなえ”というお姉さんに出会う。「名前しか分からない」と話す彼女は、ずっと小学校の屋上にいる幽霊だった。彼女の本当の姿とは。屋上で待ち続けるものとは。春菜&おじちゃんの凸凹コンビで、かなえの正体を探す旅が始まった!!

 「VIVO!」(→レビュー)などを描かれている瀬川藤子先生のITANでの掲載作でございます。物語はとある小学校で起こります。転入して3か月、未だクラスに馴染めずいじめられている春菜は、ある日屋上で“かなえ”というお姉さんに出会います。制服を着ていて、見るからに年上。自分のことは名前しかわからないという彼女は、なんとこの屋上にずっといる幽霊だったのです。友達のいない春菜は、家で暇そうにしているおじさんを連れ、“かなえ”の正体を探るのですが…というお話。


屋上の君
幽霊というファンタジックな要素を取り込んだお話。ただ幽霊であることについては、そんなに驚きというか、抵抗はなく、割とすんなり受け入れられます。その後、受け入れた後からが、このお話の肝。


 瀬川藤子先生はとにかく「VIVO!」の印象が強烈だったことから、勝手に「現実路線のお話を描く人なんだなぁ」なんて勝手なイメージを抱いていたのですが、「お嫁さんは神様です。」といい本作といい、割とファンタジックな要素を交えながらも物語を描ける漫画家さんなんですね。とはいえベースとなるのはあくまで、現実・日常というのは変わらず。ひとつふたつ不思議な要素はありつつも、描かれるのはそんな世界に生きるその人であり、日々の中での心のつながりであったり。

 本作は、学校でいじめを受けている少女が、幽霊という存在を通して自分の居場所を見つけ、さらにそこから自分の世界を拡げていくという成長譚となっています。そしてそんな彼女の成長を、理解ある大人が見守るという構図。大人と子供が入り交じり、ドタバタしつつも前に進む。また自分の居場所を見つけ、安心出来た段階でやっと周りを見る余裕が出てきて、そしてそれが脅かされようとするときに、頑張る…というのは「VIVO!」にも通じるエッセンスです。そして子供の頑張りも、大人の見守りも、決して押し付けがましい暑苦しさを持っていない。ちゃんと笑いどころも用意して、適度にユルい感じが、変わらず素敵です。


屋上の君1
子供は全力でぶつかる。いつもというわけではなく、ここぞという時に、守りたいものがあったときに、初めて爆発させる。だからこそ、印象的だし、効果的。


 表題作は全3話なので、やや短め。ではありますが、成長物語と友情物語を同居させつつ物語はキッチリと完結しています。てかこれ、実質3人しかキャラクター登場していないんですよね。最低限の登場人物で、お話を工夫して展開するというのは、読み手としても物語を享受しやすくありがたいところです。
 
 表題作のほか、読切りを1編収録。こちらはファンタジックな要素はない、現実路線のお話。こちらも子供の心情を描いたものになるのですが、視点はあくまで大人の女性で、さらに自分を重ねながら子供を見るということで、また他とは一味違ったテイストとなっています。何気に最後、これからの展開を期待させるようなオチだったのが個人的は嬉しかったです。表題作がほんのりあたたかい気分になるようなお話だとしたら、こちらはそれにスッキリ感を加えたような読後感。ネガティブな感情は読み終わりに一切残っておらず、非常に爽やかな気分になれました。


【男性へのガイド】
→瀬川藤子先生の作品は男性にも是非読んでもらいたいところ。子供が話の中心にいるというのは、やはり女性の方がより好みやすいのかもしれませんが。
【感想まとめ】
→瀬川藤子先生を感じられる作品で、読みやすくかつ、読み終わりの感覚が爽やかでした。ゆるい所はゆるく、アツい所はアツくさすがのメリハリだと思います。


作品DATA
■著者:瀬川藤子
■出版社:講談社
■レーベル:KC ITAN
■掲載誌:ITAN
■全1巻
■価格:581円+税


■購入する→Amazon

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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