作品紹介→君にまた会えたこの奇跡を、新たな軌跡に変えて:咲坂伊緒「アオハライド」1巻
2巻レビュー→変わった君にドキッとした:咲坂伊緒「アオハライド」2巻
3巻レビュー→こんなの絶対好きになる:咲坂伊緒「アオハライド」3巻
4巻レビュー→過去も含めて今の君:咲坂伊緒「アオハライド」4巻
5巻レビュー→付き合うまであと1ミリのドキドキ感:咲坂伊緒「アオハライド」5巻
6巻レビュー→一番の盛り上がりと一番のモヤモヤ:咲坂伊緒「アオハライド」6巻
7巻レビュー→恋することはいつも難しい:咲坂伊緒「アオハライド」7巻
作者他作品紹介→今 伝えたい この想い:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」10巻
咲坂伊緒「アオハライド」(8)
いつまでも洸を好きでいると思ったら
大間違いだから!
■8巻発売しました。
唯を選んだ洸への気持ちに区切りをつけようと「好き」という言葉を伝える双葉。冬馬は双葉への気持ちを行動に移し、積極的に近づいてくる。洸は、双葉を拒絶したものの、自分の気持ちのやり場に苦悩する…。
〜ジャブ程度の失恋〜
8巻発売です。前回ついに、好きだと伝えることを決意した双葉。8巻に入り早々に、行動に移します。しかもそれが、思っていた以上にサラッとしたものだったからビックリ。

好きと伝えた後のサッパリ感
もう本当に事務的なやりとり。そして、振られた後にモノローグなし。大体少女漫画の大事なシーンには、大げさなくらい細切れのモノローグが数ページに渡って書かれるって相場が決まってるんですよ!(暴言)こんなのは、ジャブです、ジャブ。全然本番感のない告白に、ちょいとビックリしたのでした。ま、既に見えていたことではあるのですが。ただ、明確に「付き合えない」と言われるのは、やっぱりそれなりにダメージあるんじゃないかなぁとか。
〜ビシッと言った小湊〜
さて、それからしばらく経ち、二人の仲は平行線のまま。そんな状況に動いたのは、どちらでもなく、小湊くんでした。もうね、これ以上ない言葉を洸に向かって言い放ってくれるわけですよ。

無理矢理同調すんな
そういう楽の仕方すんな
これ、結構踏み込む発言なのでなかなかできないんですよね。それでも洸の事を想ってのこの発言ですから、この男相当洸のこと好きだぞ、と(笑)このブログを読んでいる方は度々目にしているのかもしれませんが(もしかしたら本作の過去レビューでも書いてるかも)、個人的に同じ傷を持つ者同士のカップリングってのが苦手でして。同じ傷を持つ(同じステージにいる)相手というのは、境遇からして非常に相手の気持ちがわかりやすく同調しやすいのですが、得てして互いに依存し合って、そこから抜け出せなくなることが多い印象があります。心理学でいう「逆転位」的なものなのでしょうが、なんていうか、不健全。だからこそ、そういう二人はくっつかず、逆にそういう傷を持っていない違うステージの人に引っぱり上げてもらいたい。
今回の小湊の発言は、そこにズバッと切り込んでいったわけですが、もう「よく言ってくれた!」という感じで惚れそうになりました(笑)さらにそこからの、保健室での一件が個人的には理想的なシチュエーションですごく良かったのです。

俺がすげぇしんどい気持ちになってんのに
おかまいなしに自分のケガの手当てし始めたんだよね あいつ
それ見たらさ
俺 めちゃくちゃホッとしたんだよね
これがまさに、同じ傷を持たない別のステージにいる人間が、その人のことを引っぱり上げてくれるフローになるわけですね。
〜相も変わらず苛つきが(笑)〜
斯くして自分の気持ちに整理がついた洸。これまで避けていた、双葉へのアプローチを再開します。しかしもう後はありません。既に印象は最悪で、さらに冬馬くんが双葉に猛アプローチ中。だからこそ、神社で再び起きた奇跡を、何としても活かして欲しかった。
あの時彼が言うべきだったのは、「やだ」なんて一言ではなくて、「好き」という一言だったはずなのです。双葉だって言えたあの言葉。これまでの不信を全て拭い去ってくれる、魔法の言葉。それを洸は言えなかった。いや、言えなかったのか。そりゃあ、双葉に「ばかにしないでよ」って言われちゃいますって。こういう間の悪さが、今回だけじゃなく、今までの洸にはあるんですよね。だから見ていて苛つく部分がある。度重なる幸運な偶然を、全て臆病さと慎重さで潰してしまっている感。双葉も驚くほどに臆病な女の子ですが(だって周りの目を気にして自分の気持ちを圧し殺して敢えてガサツに行動したりする子ですよ)、今回やっと自分の気持ちをさらけ出して、相手の元に飛び込んでいきました。一方洸は、そういうアプローチが一切できていない。さてこんな劣勢の中、洸はどうやって挽回していくのか。9巻に注目です。
あ、あと同時収録の読切りがあるのですが、それ凄く面白かったです。相手を追いかけることから始まり、最後こちらが追いかけることで終わるという、シンプルで「ストロボ・エッジ」にも通じるメソッドのお話。思春期らしい清々しい疾走感を感じられる、素敵なお話でした。
2巻レビュー→変わった君にドキッとした:咲坂伊緒「アオハライド」2巻
3巻レビュー→こんなの絶対好きになる:咲坂伊緒「アオハライド」3巻
4巻レビュー→過去も含めて今の君:咲坂伊緒「アオハライド」4巻
5巻レビュー→付き合うまであと1ミリのドキドキ感:咲坂伊緒「アオハライド」5巻
6巻レビュー→一番の盛り上がりと一番のモヤモヤ:咲坂伊緒「アオハライド」6巻
7巻レビュー→恋することはいつも難しい:咲坂伊緒「アオハライド」7巻
作者他作品紹介→今 伝えたい この想い:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」10巻

いつまでも洸を好きでいると思ったら
大間違いだから!
■8巻発売しました。
唯を選んだ洸への気持ちに区切りをつけようと「好き」という言葉を伝える双葉。冬馬は双葉への気持ちを行動に移し、積極的に近づいてくる。洸は、双葉を拒絶したものの、自分の気持ちのやり場に苦悩する…。
〜ジャブ程度の失恋〜
8巻発売です。前回ついに、好きだと伝えることを決意した双葉。8巻に入り早々に、行動に移します。しかもそれが、思っていた以上にサラッとしたものだったからビックリ。

好きと伝えた後のサッパリ感
もう本当に事務的なやりとり。そして、振られた後にモノローグなし。大体少女漫画の大事なシーンには、大げさなくらい細切れのモノローグが数ページに渡って書かれるって相場が決まってるんですよ!(暴言)こんなのは、ジャブです、ジャブ。全然本番感のない告白に、ちょいとビックリしたのでした。ま、既に見えていたことではあるのですが。ただ、明確に「付き合えない」と言われるのは、やっぱりそれなりにダメージあるんじゃないかなぁとか。
〜ビシッと言った小湊〜
さて、それからしばらく経ち、二人の仲は平行線のまま。そんな状況に動いたのは、どちらでもなく、小湊くんでした。もうね、これ以上ない言葉を洸に向かって言い放ってくれるわけですよ。

無理矢理同調すんな
そういう楽の仕方すんな
これ、結構踏み込む発言なのでなかなかできないんですよね。それでも洸の事を想ってのこの発言ですから、この男相当洸のこと好きだぞ、と(笑)このブログを読んでいる方は度々目にしているのかもしれませんが(もしかしたら本作の過去レビューでも書いてるかも)、個人的に同じ傷を持つ者同士のカップリングってのが苦手でして。同じ傷を持つ(同じステージにいる)相手というのは、境遇からして非常に相手の気持ちがわかりやすく同調しやすいのですが、得てして互いに依存し合って、そこから抜け出せなくなることが多い印象があります。心理学でいう「逆転位」的なものなのでしょうが、なんていうか、不健全。だからこそ、そういう二人はくっつかず、逆にそういう傷を持っていない違うステージの人に引っぱり上げてもらいたい。
今回の小湊の発言は、そこにズバッと切り込んでいったわけですが、もう「よく言ってくれた!」という感じで惚れそうになりました(笑)さらにそこからの、保健室での一件が個人的には理想的なシチュエーションですごく良かったのです。

俺がすげぇしんどい気持ちになってんのに
おかまいなしに自分のケガの手当てし始めたんだよね あいつ
それ見たらさ
俺 めちゃくちゃホッとしたんだよね
これがまさに、同じ傷を持たない別のステージにいる人間が、その人のことを引っぱり上げてくれるフローになるわけですね。
〜相も変わらず苛つきが(笑)〜
斯くして自分の気持ちに整理がついた洸。これまで避けていた、双葉へのアプローチを再開します。しかしもう後はありません。既に印象は最悪で、さらに冬馬くんが双葉に猛アプローチ中。だからこそ、神社で再び起きた奇跡を、何としても活かして欲しかった。
あの時彼が言うべきだったのは、「やだ」なんて一言ではなくて、「好き」という一言だったはずなのです。双葉だって言えたあの言葉。これまでの不信を全て拭い去ってくれる、魔法の言葉。それを洸は言えなかった。いや、言えなかったのか。そりゃあ、双葉に「ばかにしないでよ」って言われちゃいますって。こういう間の悪さが、今回だけじゃなく、今までの洸にはあるんですよね。だから見ていて苛つく部分がある。度重なる幸運な偶然を、全て臆病さと慎重さで潰してしまっている感。双葉も驚くほどに臆病な女の子ですが(だって周りの目を気にして自分の気持ちを圧し殺して敢えてガサツに行動したりする子ですよ)、今回やっと自分の気持ちをさらけ出して、相手の元に飛び込んでいきました。一方洸は、そういうアプローチが一切できていない。さてこんな劣勢の中、洸はどうやって挽回していくのか。9巻に注目です。
あ、あと同時収録の読切りがあるのですが、それ凄く面白かったです。相手を追いかけることから始まり、最後こちらが追いかけることで終わるという、シンプルで「ストロボ・エッジ」にも通じるメソッドのお話。思春期らしい清々しい疾走感を感じられる、素敵なお話でした。