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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.09.02
1106306558.jpg小森羊仔「青い鱗と砂の街」(1)


はじめて会ったはずの
その男の子は
何故か少し懐かしくて
潮のにおいがしました



■あの夏、人魚が私を助けてくれた…。
 新学期を前に、父親とふたりで海辺の小さな街に引っ越してきた時子。波の音を聞きながら、彼女の脳裏には海で人魚に助けられた、おぼろげな記憶が甦っていた…。転校生として不安な新学期を迎えた時子だが、クラスの男子たちに転校の理由を問いつめられ、母親のことを思い出し泣いてします。しかし、鳴海が“辛い記憶は、海の底に閉じこめる想像をすればいい”と励ましてくれた。そして時子は、新しい街での生活に希望を持ちはじめ…。
  
 「シリウスと繭」(→レビュー)の小森羊仔先生の新連載作でございます。今度の作品タイトルも、なんだか凝った感じがして素敵ですね。前作は高校生の男女の出会いを描いた恋物語となっていましたが、今回は小学生の女の子が主人公となります。家庭の事情で、父親と二人、母の実家で暮らすことになった時子。海と山に囲まれた静かなこの田舎街に訪れるは、4歳の頃に訪れて以来。朧げな記憶の中に、唯一ハッキリと残るのは、この海で溺れて人魚に助けられたこと。「もう一度会えないかな…」儚い願いを抱えながら、彼女はこの街で新たな生活をスタートさせます。新しいクラス、新しい友達、新しい居場所…様々な出会いと想いが交錯し、時子はひとつひとつ大人になっていきます。


青い鱗と砂の街
人魚に助けられた記憶がある時子。この街には「人魚が見れる」という噂話が存在しているため、時子はより一層人魚に会いたいと願うように。


 前作「シリウスと繭」は受験期の少年少女の初恋のあれこれがつまっており、読んでいて非常に甘酸っぱい感覚に包まれたのですが、本作は小学生ということもあり、恋愛要素はさほどでもありません。恋愛も一要素ではありますが、思春期の一人の少女の成長記ということで、その他の部分もたっぷりと描かれます。
 
 ヒロインの時子が転校してきた理由は、母親が浮気をして家を出ていってしまったため、父親が「ここなら母が戻ってくるかも」と母の故郷にいることを決めたからでした。6年生という、非常に多感な時期での転校で、時子自身の気持ちも決して穏やかではありません。普段は平然としているけれど、ちょっとしたきっかけで、涙が流れてくる。そんなアンバランスな精神状態の彼女の支えとなるのは、家族であり、新しい土地で出会った友達であり、4歳の時の人魚に助けられた思い出であり…。
 
 こういった背景があるからか、時子は他の同世代の子達よりも少し大人びています。そんな彼女と波長が会うのが、引越初日に出会った同じクラスの男の子・鳴海くん。
 

青い鱗と砂の街1
 彼もまた、この歳でとある出来事により心に傷を抱えており、どこか大人びている感が。見ている感じからすると、恐らく今後この二人が恋仲になっていきそうな予感。どこか大人びた二人の小学生が、クラスメイト達と離れたところで理解しあい、段々と想いを強めていくという感じは、どこか「秒速5センチメートル」を想起させました。ああいった雰囲気が好きな方は、本作も結構気に入るんじゃないのかなぁ、とか。
 

 「人魚」というファンタジックな要素が落とし込まれていますが、恐らくファンタジー作品とはならないと予想。現実の、小さな世界で物語は回っていくと思われます。前作もそうでしたが、今回もまた全体的な雰囲気が良いんですよね。海辺の静かで神秘的な感じとか、かといって決してキレイな感情・思い出ばかりでないところとか、特別な場所で、特別な時間が流れている感じがするというか。

 物語の主要登場人物に共通しているのは、過去の想いに囚われ、それを追い求めているということ。ヒロインの時子は、4歳の時に出会った人魚のことが。父親は、自分の元を離れていった妻(時子の母親のことを)。そして、鳴海くんは、兄のことを。それぞれが追い求めるものが、やがて物語が進むと共につながりを持ってくるはず。どのようにつながり、物語が動いていくのか、非常に楽しみです。
 

【男性へのガイド】
→極端に恋愛に偏ってもいないですし、雰囲気も良く、こういう作品が好きな方は結構いるんじゃないかと思います。
【感想まとめ】
→前作とはまた違った風合いの作品ながら、静かに引き込む魅力は健在。2巻での展開も非常に気になるところで、本作ももちろんオススメでございます。


作品DATA
■著者:小森羊仔
■出版社:集英社
■レーベル:オフィスYOUコミックス
■掲載誌:YOU
■既刊1巻
■価格:419円+税


試し読み(第1話)

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