千葉コズエ「ひとりぼっちはさみしくて」(1)
七原
オレとふたりで
プロのミュージシャン
目指さないか?■詞を書くのが好きな詞央は、地味で、いつもひとりぼっちだった。ところがある日、屋上で詞を書いているところを、憧れの直に見られ、さらには自分が歌手になりたいということまで知られてしまう。しかし直は、詞央のことをからかうことはせず、それどころか真剣な眼差しで「歌ってみせて」と言ってくる。勇気を振り絞り、歌う詞央。そして、その歌を聴いた直は
直に歌の実力を認められた詞央は、その後直に誘われ、一緒にミュージシャンを目指すことに。しかし両者とも両親との折り合いが悪く、認めてもらえません。しかしそれでも夢を諦められないふたりは、親にだまって上京、オーディションを受けることにします。歌手になりたい夢を持ちつつも、内気な性格からそれを押し殺してきたヒロインが、自由に生きる直と関わることで、夢を実現していくというサスセスストーリーです。一応恋愛と平行する形で夢が描かれていますが、どちらかというとメインは夢のほう。ここまで真っ当に夢を追いかける作品は今時珍しい気がします。

これも読めば分かるクサいシーン。でもキザではない。そこが良いところなんだと思います。
千葉コズエさんに関しては、前作の短編集のレビューの際に、「とにかくクサい。ならばむしろクサさを前面に押し出して欲しい!」という旨を書いたのですが、いやぁ期待を裏切りません。帯には「胸にしみる、心がふるえる、歌詞と台詞がギューっと詰まってます!」とありますが、確かにいろいろな意味で心震えますよ、コレは。とにかく読んでいて恥ずかしくなるようなクサい台詞や行動のオンパレード、だがそれが良い。特に歌詞なんてね、文字のみなのでモノローグとさほど変わらんはずなのに、歌ってる状況を想像しちゃうとなんでかものすごく恥ずかしくなってくるから不思議。
短編集を読んだ時点で、正直連載なんてどうなの?と思っていました。しかし、いざ蓋を開けてみれば、あれ、意外と面白い。夢に向かって共に歩む男女というモチーフが、千葉コズエ先生の作風にがっちり合ったのでしょう。オススメはできませんが、読んでいて恥ずかしくなるような台詞やキャラに溺れたいという方には、この上ない作品だと思います。
【オトコ向け度:☆ 】→人によるのでは。でも基本男性には向かないかなぁ。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】→いろいろな意味で印象に残る作品でした。個人的に期待。次も買います。
作品DATA■著者:千葉コズエ
■出版社:小学館
■レーベル:少コミフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('08年第22号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税