
皆さん聞いてください
超優等生生徒会長は
真正ドS極道男でした
■高校で隠れオタクライフを満喫していた地味女子・平山。最後尾の席で、日々同人誌作成の内職の日々。平穏な日々が続いていたが、ある日そんな彼女の秘密が、人望厚き生徒会長にバレてしまった!しかも会長の真の姿は、笑顔の似合う爽やかイケメンとは正反対の、鬼畜な極道だったなんて…!「いいのか?バラすぞ、お前の趣味」その一言で、平山の下僕ライフが始まった…!
「あした恋する女の子のための新WEBコミック」とのフレーズで運営されていますCOMICポラリスより、この度5冊の単行本が創刊されました。前身はFlexコミックスフレアになるようです(Wikipediaなんかを見つつ…)。本作はそんな中の1冊で、作者はほずの都先生。元々「となりの極道くん」として同人連載されていた作品のようです。ガンガンに読切り掲載された過去もあるらしく、ご存知の方も結構多いのかもしれませんね。
さて物語ですが、隠れオタクな地味女子・平山が、ひょんなことから人望厚い爽やか生徒会長・九条くんにオタクであることがバレてしまうという所から始まります。それだけならばまだ良かったものの、今度は逆に彼がヤクザ一家の後継者であることを知ってしまいます。それをきっかけに、「バラしたらバラす」と脅され、下僕としての生活がスタート。爽やかとは正反対の鬼畜さに、日々踊らされ続けるのですが…というコメディ。

思いの外テンション高め。会長はやがてアホ要素が強くなってくるのですが、ヒロイン平山さんがボケからツッコミまで自由度の高い動きをしてくれるので、それでもちゃんと引き締まりネタが成り立つというバランス感。
一見爽やかな人気者ながらヘタレでアホな相手役の男の子。そしてそんな彼に勉強で上回り、貧乏からかちょっと浮世離れした性格のヒロイン。ヒロインのことを男の子はライバルとして意識するが、一方のヒロインは彼のことなど眼中にない。そんな設定に加え、このキャラ造形、さらに一方の名前が「九条」というところから、「ラストゲーム」(→レビュー)インスパイアな匂いを感じていたのですが、こちらの方がスタートは先なんですよね。また、設定・キャラ造形こそ似た感じではあるものの、あちらが恋愛要素たっぷりであるのに対し、こちらは恋愛要素は殆どなく、徹底してコメディを貫きます。
本作の紹介にあたって特筆しておきたいのが、台詞・ネタの多さでしょうか。とにかく1ページあたりの文章量が多いので、最後まで読切るのに時間がかかります。かなりの読み応え。そう言う場合、後半にかけて得てして食傷気味になってきたりするものなのですが、個人的な感覚ではそういったことはなく、最後まで満足感たっぷりに読切ってしまいました。

この二人の他にも個性的な脇役達が登場します。イチオシは九条くんの従姉妹で美少女の亜子ちゃん。とにかく九条くんに対してめっぽう強いのですが、彼女が登場することで、ヒロイン・平山が一時ばかり九条くんより優位に立てるという。物語に良い形での動きが生まれます。
一応触れ込み的にはラブコメという扱いらしいのですが、今のところラブに倒れる気配は殆どなし。こういうのはアホな会長が恋愛感情に気づいてくれないと進展しないものですが、未だライバル&下僕という視座でしか相手を捉えられていないので、まだまだ道は長そうです…。
【男性へのガイド】
→ガンガンでも掲載ということですから、男性でも全然OKかと。というかたぶんこのレーベルは男性も取り込むぐらいのスタンスでいるんじゃないかと。
【感想まとめ】
→どこか飛んだ設定のあるキャラ達の個性をベースに回すコメディは、古き良きりぼんのギャグ枠的な匂いも感じられて、懐かしさと共に安心感を覚えつつ読み進めることができます。面白かった。オススメです。
表紙の表記が「会長くん」となっていますが、これ誤植みたいですね。正しくは「会長クン」です。
作品DATA
■著者:ほずの都
■出版社:フレックスコミックス
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:COMIC ポラリス
■既刊1巻
■価格:600円+税
■試し読み:第1話(PC)/第1話(スマホ)
2話目以降