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Tag [新作レビュー] 2013.11.18
1106318687.jpg野崎ふみこ「ホテルはメイドでできている」(1)


今のあんたに必要なのって
「目標」なんじゃない?



■垣屋多恵、32歳。バツイチ、子供なし。寿退社後、2年で離婚し実家へ出戻り。親が働けとうるさいので、とりあえずアパートでホテルの客室係・ルームメイドとして働き出す。けれどもそこは、彼女が想像もしていなかった世界が…!迷惑なお客様、うるさい同僚のおばさん達に囲まれて、毎日大騒ぎ!目指すは掃除のスペシャリスト!ホテルの縁の下の力持ち!!

 「ホスピめし」(→レビュー)の野崎ふみこ先生の新連載になります。前作は病院食というテーマ性の強い作品となっていましたが、本作も変わったテーマのお仕事もの。今回スポットが当てられるのは、ホテルの部屋の掃除などをする、ルームメイドさんのお話です。確かにホテルを利用はするものの、その世界というのは良く知りません。チェックアウトの時間になると、リネン室あたりでおばさんたちがイソイソと動いているのを目にする程度です。彼女達がどのような勤務体系で、どのような仕事をして、どのようなことを考えているのか。32歳でこの世界に飛び込んだヒロイン・垣屋多恵の視点を通して、描き出して行きます。


ホテルはメイドでできている
ヒロインは32歳ではあるのですが、この世界ではかなり若い方。メインを構成するのは、還暦前後の叔母さん達。若い子は、入ってはくるもののなかなか定着しません。というのも非常にハードな職場であり、また試用期間が半年とやや長め。試用期間が終わってやっと歩合制(1部屋いくらという形)になるのですが、それはでは時給800円と、そこに辿り着くまでに多くが振り落とされます。またおばさん達のいじりにも耐えないといけないというのが、なかなか大変なよう。ヒロインはそんな中、持ち前の心の強さでおばさん達と対等に張り合い、段々とスキルを身につけて行きます。元々掃除も好きだったようで、慣れてくればキツいものの、辛くはないようです。


 ルームメイドの仕事だけではなかなか物語に変化は生まれません。物語を彩り動かすのは、ホテルに訪れる様々なお客さんたち。メイド達の働きぶりによって、泊まる客の満足度は変化しますが、同様に部屋をどのように使われたかで、ルームメイド達のモチベーションも変化、それに一喜一憂するという関係があります。ホテルには本当に様々な人が泊まり、そして時折問題を起こします。ホテルで自殺を図る者、受験生の息子について来た神経質な親、そして別れ話をする男とその愛人。そんなお客たちの問題を、ヒロインが様々な形で相対し心を溶かします。部屋の掃除だけでなく、対話を通した心の掃除・心の整理までするというのが、この物語のイメージといか、やり方。


ホテルはメイドで出来ている1−2
 ヒロインがこうも問題のあるお客さんの心をとらえてしまうのは、彼女自身が色々と経験をし、問題を抱えていたから。バツイチというのは珍しくもないですが、その背景にあるのは、最愛の子供を幼くして亡くしたことから。彼女自身、もちろん出来上がった完全な人間ではありません。けれども苦しみも悲しみも人一倍経験しているからこそわかる事というものもあり、時にそれらを包み隠さずぶつけ、時にその経験から優しく包みこむ。言葉にも説得力があります。

 
 お仕事ものではあるものの、そこには多種多様の人間ドラマが描かれており、タイトルから受けるほど一辺倒な展開とはなっていません。いや、ここまでするのがルームメイドかって言われたらそうではないのですが、でもこういうドラマがあった方が俄然読みやすいし面白いよねっていう。いや、想像していたよりも面白くてビックリでした。


【男性へのガイド】
→ヒロインの年齢層の女性が楽しむ感の強い作品ですが(当たり前ですが)、こういった人間ドラマがお好きな方も一定数いるのでは。ドロドロのないお仕事もの昼ドラ的な。
【感想まとめ】
→何気に良い話で読み込んでしまいました。ヒロインが魅力的というのが一つあるのですが、2巻に行っても全然だれなそうで、何気に続きが気になります。


作品DATA
■著者:野崎ふみこ
■出版社:双葉社
■レーベル:JOUR COMICS
■掲載誌:JOURすてきな主婦たち
■既刊1巻
■価格:619円+税


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かくかくしかじか
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