このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2013.12.17
1106340176.jpgカワハラ恋「今日からオマエは俺の嫁」


だから
俺もお前のモノだから



■帝王学を学ぶ男子生徒を「帝王」、その花嫁候補の女生徒を「姫」と呼び、それぞれ必要な教育を受けさせる名門高校に通う、大企業の跡取り娘・山中こはくは、女生徒で唯一帝王教育を受けている才女だけど、恋愛はからっきし…。とある事情で、免除されていたはずの男女ペアで参加する「夫婦体験授業(性教育含む)」を受けることになったけれど、こはくが一方的にライバル視している才色兼備のサラブレッド・吉野時雨が夫役だと聞き…。

 「カポーン。」(→レビュー)などのカワハラ恋(神田はるか)先生のアヴァルスでの連載作になります。カワハラ恋名義でのアヴァルス連載はこれが初めてでしょうか。前回連載は、記憶が正しければ「オオカミさんと!」(→レビュー)。【追記】「オオカミさんと!」はASUKAでした。失礼しました。
 
 今回の物語は、これまでのちびっ子ヒロインとは異なり、黒髪が麗しい才色兼備の美女が主人公でございます。物語の舞台となるのは、御曹司・ご令嬢が通う名門高校。ここでは男子は帝王学を、女子は花嫁修業をするのが基本となっているのですが、主人公の山中こはくは、大企業の跡取り娘でありまた成績も優秀ということから、女生徒で唯一帝王学を学んでいます(姫修行は免除)。しかしある日、父親が失脚したとの一報が。後ろ盾が何も無くなったこはくは、免除されていた姫修行をすることになり、男女ペアで参加する「夫婦体験授業(性教育含む)」を受けることに。帰る家もないこはくは、こはくが一方的にライバル視している男子・吉野のパートナーとして、彼の家に間借りしながら、カリキュラムを受けることになるのですが…というお話。


今日からオマエは俺の嫁1
普段はキリッとしているこはくですが、吉野の前ではペースを乱されまくりです。


 夢の疑似夫婦ものに、お金持ちという要素をミックスした学園ラブコメディです。ヒロインのこはくは見て分かる通り、勝ち気でプライドの高いツンデレ少女。はい、かわいい。一方の吉野はもの静かで何を考えているかあんまりよくわからない人物です。淡々としたペースでこはくの心の内に入ってくるものだから、こはくはペースを乱されっぱなし。ただでさえライバル視している男の子が相手ということで、ツンツンっぷりにも拍車がかかるってもんです。
 
 カワハラ恋先生の作品は基本的にキャラクター重視で物語が進んで行く印象がありますが、本作もまた然り。1巻完結という制約もあるからでしょうが、割と後半は駆け足で物語がポンポンと展開します。夢オチではないですが、最終回へ向けての唐突な展開にはビックリしました(笑)ただそれを補って余りあるヒロイン・こはくの魅力。
 
今日からオマエは俺の嫁
一応才女って設定なのですが、終始描かれるのは苦手な恋愛方面での素顔なので、どうしてもアホに見える場面が多いという。あとライバル心剥き出しの時も、必死でなんだかアホっぽい。ただそんな表情の数々がかわいらしいんだ。
 
 また一本筋の通った考えを持っているキャラなので、荒波のような展開の中でも、我が物顔で乗り切ってしまっても納得だなと思わせる力強さがあります。もちろんそこには、どんな事態も涼しい顔で乗り切ってしまう吉野の力添えがあるからなのですが。まぁ要するに、二人は良いカップルだということです。


【男性へのガイド】
→こはくの可愛さはきっとわかってくれるのでは。
【感想まとめ】
→魅力的なキャラが縦横無尽に駆け回るコメディ。元気になれます。欲を言えばもうちょっと二人の凸凹なラブラブっぷりを堪能したかった…。


作品DATA
■著者:カワハラ恋
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:アヴァルス
■掲載誌:アヴァルス
■全1巻
■価格:571円+税

カテゴリ「ComicBlade avarus」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。