田村由美「猫mix幻奇譚とらじ」
さぁ 行くぞ
とらじ
息子を捜すのだ■昨日、第2巻発売しました。
知能を持ち、大群を率いて町や村を襲い、作物を喰らい、建物を喰らい、そして人を喰らうねずみ。知能を持つねずみが現れて以来、人間はねずみと闘い続けている。7勇者の一人として最前線で闘い続けるパイ・ヤンは、戦果をあげた褒美として故郷へ1年間帰ることを認められる。3年ぶりに会う息子の成長を楽しみに家路につくが、故郷はねずみに襲われ壊滅状態になっていた。家に息子と妻の姿はなく、子供の猫mix・とらじがいるだけだった。猫mixとは、「魔法のねずみ」によってただの猫から半人型に変えられたもの。とらじによると、妻は数年前に家を出ていき、息子は魔法のねずみにさらわれたという。いなくなった妻と息子を捜すため、パイ・ヤンはとらじを連れて旅に出た。
勇者と猫mixが、息子を捜す旅に出るファンタジー作品。パイ・ヤンは長らく最前線で闘っていたために家に帰ることもままならず、さらわれた息子の姿がわからない。唯一の手がかりは、息子の姿と匂いがわかるとらじだけ。しかし肝心のとらじは、まだ子供なので状況をよくわかっておらず切迫感もナシ。それゆえにパイ・ヤンをイライラさせたりするわけだけど、パイ・ヤンは猫mixの扱い方がよくわからないためについつい怒鳴ってしまう。基本は息子捜しの旅というRPG的な話運びですが、パイ・ヤンととらじがどう心を通じ合わせていくかという要素もひとつの見所。数多く登場する動物mixたち、そしてねずみたちにもそれぞれ単純でない世界があって、物語に深みを与えます。
田村由美先生のマンガは、どれも舞台設定がすごく練り込まれていて、読んでいてとても気持ちがよいです。この作品の売りはなんといってもとらじのかわいらしさなんですが、2巻ではその魅力がさらに発揮されています。パイ・ヤンとの距離もだんだん近くなってきたかな。3巻が楽しみです。
【オトコ向け度:☆☆☆☆☆】→田村由美先生のファンタジーは、男性向けの作品をあわせても上位に来る面白さだと思います。わかりやすい、けど浅くない。ファンタジー好きだけど、クラシカルな少女漫画絵だからと敬遠した方は、騙されたと思って一度読んでみてください。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】→「BASARA」「7SEEDS」という大作があるので、それと比較してしまうとここまでかな。それでも十分面白いですが。
作品DATA■著者:田村由美
■出版社:小学館
■レーベル:flowersフラワーコミックスα
■掲載誌:flowers(2005年2月号/10月号ふろく,2007年1月号),flowers増刊凛花(初号~連載中)
■既刊2巻
■定価:各400円+税
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