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Tag [新作レビュー] 2014.01.27
1106288587.jpg綾瀬羽美「ハル」


この世界のすべてから


■今より少し未来の、人型ロボットが一緒に暮らす時代の京都。くるみは恋人のハルを飛行機事故で失ってから、押し入れに引きこもってしまった。くるみの祖父・時夫はロボットのQ01(キューイチ)にくるみを救うように依頼する。Q1はハルの姿になり、くるみを元の世界に戻そうと動き出す…。そのうちに知って行く「ハル」の過去とくるみとの関係。お互いをそれぞれ思いやっていた恋人たちの、甘く切なく苦しい日々の話…。

 昨年夏に上映されたオリジナル中編映画のコミカライズ作品です。キャラクター原案は「アオハライド」(→レビュー)や「ストロボエッジ」(→レビュー)を描かれている咲坂伊緒先生ということで、ちょっと話題になったのを覚えています。本作のコミカライズを担当するのは、咲坂先生ではなく、若手作家である綾瀬羽美先生。綾瀬先生にとっては2冊目となる単行本で、デビュー単行本「ディア・マイ・ガーディ」は、このブログでご紹介できてはいないものの、新人さん離れしたこなれ具合に非常に驚かされたのを覚えています(オススメですよ)。
 
 物語の舞台となるのは、近未来の京都。日常生活にロボット達が溶け込んだ世界で、少女・くるみは、恋人のハルを飛行機事故で失って以来、押し入れに引きこもってしまいます。なんとか元の生活に戻そうと、彼女の祖父である時夫は人型ロボットのキューイチに、ハルに扮して彼女の面倒を見るようにお願いします。最初は心を閉ざしていたくるみでしたが、ハル(キューイチ)の一生懸命な姿に触れるうち、段々と心を開くようになる…というラブストーリー。


ハル
くるみに対して話しかけるも、最初はこんな反応。最初から心開いてくれるわけもなく、ハルはルービックキューブに残されたメッセージを読み解きつつ、様々な試みをします。


 原作付きで、しかもキャラクター原案はあの咲坂伊緒先生。どちらも原型から大きく逸脱することはできないという、ある種の制約がある中で物語を描くのは、非常に大変なことだと思います。そんな中、原作との乖離こそ観ていないのでわかりませんが、キャラ造形は確かに咲坂伊緒先生を感じさせるものとなっており、すごいな、というのがまず真っ先に来た感想。

 物語は、生前のハルを知らないキューイチが、くるみの願いごとが書かれたルービックキューブを元に、様々アプローチをするという転がり方。一面ごとに書かれた願いを一つ一つ叶えて行くことで、くるみの、そしてハルのことが段々と分かってゆき、それを通してより絆を深めて行くという流れ。一応ラスト付近に大きめの事件が起こり、さらにそこからひと捻りあるわけですが、ベースはオーソドックスなハートウォーミングストーリーで、取っつきやすく読みやすいです。ちょうど1巻に収まる長さで、詰め込んでいる感もなし。


ハル2
人物描写ですが、ちゃんと咲坂伊緒先生っぽい雰囲気を漂わせた感じじゃないですか?目が、結構良い感じ。


 アニメが標榜しているのは「人とロボットの奇跡の恋を描く劇場中編アニメーション」とのことなのですが、純粋な恋愛ものかというとそういった感じはなく、喪失感を抱えた男女の心の再生物語と言った方が良いかも。根底にあるのは当然“恋愛”ではあるのですが、それはロボットと人間がゼロから作り上げるものではなく、予めあった恋愛感情を掘り起こし再発見するといったアプローチなので、感情に溢れつつもどこか擬似的な感覚は残ります。


【男性へのガイド】
→恋愛ものがお好きな方は、普通に楽しめる内容かと思います。ロボットとはいえ男性視点であり、入り込みやすさも多少あるかと。
【感想まとめ】
→非常に読みやすかったです。全くストーリーを知らなかったので、ロボット出てきたときはビックリしたのですが、描かれるものは心の真ん中にある温かいもの。癒されました。


作品DATA
■著者:綾瀬羽美
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■全1巻
■価格:400円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
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シリウスと繭
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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