
このクラブに入れてください!
■西国原宗太は、マスクがないとキョドってしまう寝暗な高校1年生。周りに流され生きてきた宗太だが、彼には譲れない夢があった…。「昔あきらめたフィギュアスケートを、もう一度やりたい!!」その夢を叶えるため、スケートの名門・高南高校(全寮制・男子校)に入学するも、お目当てのフィギュアスケートクラブは別名・変人クラブと呼ばれ、生徒たちから敬遠されていた。オネエなマネージャーにゲイコーチ、天才スケーターはかなりの電波ちゃん…と、奇人だらけの中、宗太の銀盤ライフはどうなるの…?
ソチ五輪が近づきつつある中で、こんな単行本が登場。“銀盤男子”と書いて、「フィギュメン」と読むそうです。というわけで、フィギュアスケートマンガの登場です。スポーツとしてのフィギュアスケートは女性に人気のジャンルという印象がありますが、マンガの題材としても非常に人気があります。ただ多くの作品が、女性主人公であるのに対し、本作は男性が主人公で、競技ジャンルとしては「男子シングル」が扱われます。(小川彌生先生の「銀盤騎士」は男子シングルでしたっけ?)
主人公は人が苦手な男の子。幼い頃にフィギュアスケートをはじめ、そこそこ上手かったのですが、同年齢の男の子たちに「フィギュアなんてオカマみたい」とからかわれ、以来スケートからは離れていました。しかしどうしてもスケートを諦められない彼は、地元から遠く離れたスポーツの名門である高南高校へ入学し、スケートを再びはじめるのでした。やっとスケートを始められたのは良いものの、そこは全寮制の男子校。人が苦手な主人公には厳しい環境です。さらに、入部した先には、オネエ系のマネージャーに、尻をやたら触ってくるゲイのイケメンコーチ、そして他人に全く興味なしな不思議系エースと、変人揃い。対人力の無い主人公は、果たしてこの環境で生き抜くことができるのか…という学園コメディでございます。

フィギュアスケートマンガで、ちゃんとスケートも滑っているのですが、如何せん色もの揃いのキャラ構成となっているため、スポ魂的な風合いはあまりありません。ジャンルとして収まりが良いのは、複数の男子が登場する日常系の部活マンガといった所でしょうか。この手のジャンル誌にはありがちな、女性の好みに応じて様々なタイプのイケメンを用意するアレかと思いきや、イケメンはイケメン揃いなのですが、メインキャラ5人のうち2人がオネエとゲイですからね。ややベクトルが逸れている感はあります(笑)
これだけたくさんの色モノキャラがいながら、意外にもバランスが取れているように感じるのは、ひとえに主人公のキャラの薄さによるものなのでしょう。キャラが薄いというか、前に出ない押しの弱さというか。良い意味でパワーバランスが取れているという。

フィギュアもちゃんとやります。そして解説もしっかり。テレビで見ていても、サルコウだアクセルだフリップだ言われても良くわからんかったので、結構ありがたかったり。
フィギュアものとしては、ブランクのある主人公が、既に国内では有名なチームメイトに追いすがって成長していくというストーリーが描かれそうです。主人公はジャンプこそ得意であるものの、極度の恥ずかしがりやで表現力に乏しいところが課題。素質は一級品のようなので、人との関わりあいの中から、成長のヒントを掴んでゆくのでしょう。
【男性へのガイド】
→女性向けの作りではありますが、こういう設定の作品にしてはクセが強くなく、読みやすくし上がっているのではないでしょうか。
【感想まとめ】
→1巻は役者と舞台が揃ったという感じで、真に盛り上がってくるのはこれからでしょうか。部活と日常の絡め方が上手く、読みやすい作品です。
作品DATA
■著者:衣丘わこ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:ビーズログ
■既刊1巻
■価格:620円+税
■試し読み ※pixivログイン要