作品紹介→*新作レビュー* 鳥野しの「オハナホロホロ」
2巻レビュー→先を見て、向き合うと決めた日:鳥野しの「オハナホロホロ」2巻
3巻レビュー→告白と決断と訪れた変化:鳥野しの「オハナホロホロ」3巻
4巻レビュー→辿り着いた“出られない駅”:鳥野しの「オハナホロホロ」4巻
5巻レビュー→来ない“いつか”ではなく、ここにある“今”:鳥野しの「オハナホロホロ」5巻
鳥野しの「オハナホロホロ」(6)
にーたん
いったらだめ!
■6巻発売、完結しました。
共に歩んでいくことを決めた麻耶とみちる。それを微笑ましく見守るニコだったが、2年前、亡くした恋人・圭一が自分の舞台を観に来たことがきっかけで事故死したと知ってしまう。ショックを受け、ゆうたを連れて姿を消したニコは…?不器用な大人たちの同居グラフィティ、ついに完結!
〜整理の6巻〜
6巻発売、ついに完結しました。1巻目は巻数もついていなくて、まさか続きが出るなんて思ってもいなかったのですが、5年の長きに渡って連載することになりました。正直みちると麻耶の物語としては、5巻で完結していたんです。なので、「なんで6巻までやるの?」というのが正直な感覚だったのですが、6巻を読んで納得。6巻で描かれているエピソードの中心は、ニコ、そして今は亡き圭一の物語となっていました。このもう一人の中心人物の物語をしっかりと描き、そして畳まずして、このお話は完結しないのでした。

確かにこれまで、あまりニコや圭一については語られることはありませんでした。どうしてニコとくっついたのかとか、どうしてニコと分かれてみちるとくっついたのかとか、どうしてそれでもなお二人は仲良く一緒にいるのかとか…。その辺の謎に包まれた部分が、6巻にて全て明らかになります。
〜まさかの火サス展開〜
物語は終始重たくシリアスな展開。色々と触れたいのですが、どれも物語の核心に迫るエピソードなので、なかなか描き辛いですねー。あえて取り上げるとしたら、ニコの行動でしょうか。あらすじ紹介にもある通り、圭一の死について知ったニコは、ゆうちゃんを連れて逃避行。それが電車を使って青森まで行くというものでした。彼はそこから先、竜飛岬にまで行くワケですが、電話から漏れ聞こえた音を頼りに麻耶とみちるはニコの居場所を特定するという。これ、電車で東北→僅かなヒントを元に居場所を特定→岬ってのがまんま2時間ドラマの流れでして、すごいビビったという(笑)

俳優は知らずのうちにそういうベタなルートを辿るものなのでしょうか(たぶん違う)。
ここもすごくシリアスで感動的なシーンなんですけど、そのシチュエーションを意識しちゃうとなんだか急に違った味わいが出て来て、面白かったのです。
〜かなりフクザツなゆうちゃん〜
さて、6巻はもう一人重要な役割を果たす人物が描かれます。それがゆうた。非常に複雑な人間関係が刻まれているこの物語ですが、それらのラインが全てクロスするところに位置しているのが彼なんですよね。彼自身はそれに無自覚だからこそ、マスコット的に物語の中にいれるわけですが、冷静に考えるとかなり複雑。ニコと圭一、さらにみちるの話から察するに、人間の業のようなものが幾重にも重なった結果生まれて来たような子で、その境遇・将来は、複数の人たちの愛に囲まれているとはいえ少し心配でした。
というわけで、この物語で一番ケアされるべきはゆうただと思うんですよ。そして、番外編という位置付けではありますが、鳥野しの先生はそれをしっかりとやってくれた。明るい未来を匂わせて放り投げることをしなかったのは、本当に嬉しかったです。色モノと言ってはあれですが、かなり特殊な人間関係を用いつつも、無駄に使うことなく、きちんと真正面から向き合ってそれぞれに答えを出しきった姿勢は本当に素晴らしいと思います。最後まで、楽しませて頂きました。
2巻レビュー→先を見て、向き合うと決めた日:鳥野しの「オハナホロホロ」2巻
3巻レビュー→告白と決断と訪れた変化:鳥野しの「オハナホロホロ」3巻
4巻レビュー→辿り着いた“出られない駅”:鳥野しの「オハナホロホロ」4巻
5巻レビュー→来ない“いつか”ではなく、ここにある“今”:鳥野しの「オハナホロホロ」5巻

にーたん
いったらだめ!
■6巻発売、完結しました。
共に歩んでいくことを決めた麻耶とみちる。それを微笑ましく見守るニコだったが、2年前、亡くした恋人・圭一が自分の舞台を観に来たことがきっかけで事故死したと知ってしまう。ショックを受け、ゆうたを連れて姿を消したニコは…?不器用な大人たちの同居グラフィティ、ついに完結!
〜整理の6巻〜
6巻発売、ついに完結しました。1巻目は巻数もついていなくて、まさか続きが出るなんて思ってもいなかったのですが、5年の長きに渡って連載することになりました。正直みちると麻耶の物語としては、5巻で完結していたんです。なので、「なんで6巻までやるの?」というのが正直な感覚だったのですが、6巻を読んで納得。6巻で描かれているエピソードの中心は、ニコ、そして今は亡き圭一の物語となっていました。このもう一人の中心人物の物語をしっかりと描き、そして畳まずして、このお話は完結しないのでした。

確かにこれまで、あまりニコや圭一については語られることはありませんでした。どうしてニコとくっついたのかとか、どうしてニコと分かれてみちるとくっついたのかとか、どうしてそれでもなお二人は仲良く一緒にいるのかとか…。その辺の謎に包まれた部分が、6巻にて全て明らかになります。
〜まさかの火サス展開〜
物語は終始重たくシリアスな展開。色々と触れたいのですが、どれも物語の核心に迫るエピソードなので、なかなか描き辛いですねー。あえて取り上げるとしたら、ニコの行動でしょうか。あらすじ紹介にもある通り、圭一の死について知ったニコは、ゆうちゃんを連れて逃避行。それが電車を使って青森まで行くというものでした。彼はそこから先、竜飛岬にまで行くワケですが、電話から漏れ聞こえた音を頼りに麻耶とみちるはニコの居場所を特定するという。これ、電車で東北→僅かなヒントを元に居場所を特定→岬ってのがまんま2時間ドラマの流れでして、すごいビビったという(笑)

俳優は知らずのうちにそういうベタなルートを辿るものなのでしょうか(たぶん違う)。
ここもすごくシリアスで感動的なシーンなんですけど、そのシチュエーションを意識しちゃうとなんだか急に違った味わいが出て来て、面白かったのです。
〜かなりフクザツなゆうちゃん〜
さて、6巻はもう一人重要な役割を果たす人物が描かれます。それがゆうた。非常に複雑な人間関係が刻まれているこの物語ですが、それらのラインが全てクロスするところに位置しているのが彼なんですよね。彼自身はそれに無自覚だからこそ、マスコット的に物語の中にいれるわけですが、冷静に考えるとかなり複雑。ニコと圭一、さらにみちるの話から察するに、人間の業のようなものが幾重にも重なった結果生まれて来たような子で、その境遇・将来は、複数の人たちの愛に囲まれているとはいえ少し心配でした。
というわけで、この物語で一番ケアされるべきはゆうただと思うんですよ。そして、番外編という位置付けではありますが、鳥野しの先生はそれをしっかりとやってくれた。明るい未来を匂わせて放り投げることをしなかったのは、本当に嬉しかったです。色モノと言ってはあれですが、かなり特殊な人間関係を用いつつも、無駄に使うことなく、きちんと真正面から向き合ってそれぞれに答えを出しきった姿勢は本当に素晴らしいと思います。最後まで、楽しませて頂きました。