
ほおづえついた手とか
ちょっと神経質そうな眉とか
薄茶色の瞳
君が好き
■新装完全版発売、それと同時に完結しました。いやはや、7年近く経ってやっとですか。
最初はただ、手が好きだと思った。名前も知らない、学校も違う。そんなアイスホッケー部の男の子に目を奪われたスミレ。やがて友達のおせっかいによって、彼のことを知るようになる。彼の名前は牧村大地。アイスホッケーの強豪校M高で部活に励む同い年で、写真屋さんの息子。1つ知れば、もっと知りたくなってくる、近づきたくなってくる、そして、気持ちを伝えたくなってくる…。一目惚れから始まった、すみれの恋の行方は…!?
未完の傑作ついに完結。完全版となってやっとですよ。「僕等がいた」の休載が長引いている現状、絶対にこちらの完結はないだろうと考えていたので、こうやって形だけでも終わりになったてのは嬉しいですね。さてストーリーのほうはと言いますと、ヒロイン・すみれが、他校のアイスホッケー部員・牧村くんに一目惚れするというところからお話が始まります。やがて友達のおせっかいによって、無理やりアプローチさせられることになるのですが、全く知らない女の子に絡まれるのは牧村くんとしては良い迷惑。それに、彼には想いを寄せる幼なじみの存在が。彼の想いが通じるかどうかは関係なく、すみれの恋は報われることはありません。相手が好きだという気持ち、もっと知りたいという気持ち、そして、想いが届かないとわかったときの気持ち…。その全てを、美しく詩的に紡いでいきます。

単純な"切なさ"とは違う不思議な感情を感じさせる。
この作品ではヒロインが半ばストーカーの様になるんですが(笑)それをそこまで怖いとか気持ち悪いって感じさせないんですよね。それが小畑先生のすごい所で、ヒロインの心情を見事に描き出して、読み手にシンクロさせてしまう。それによって、多少身勝手な行動も、「恋心ゆえ」という所に落とし込んでしまうという。また突っ走るというよりは、要所要所でブレーキをかけながら恋愛に対峙していくという姿勢も影響しているかもしれません。なんにせよ読み手を引き込む力がハンパないです。ただし恋愛観が一致すれば、の話ですけど。
さて、完全版ということで一応完結という形になったのですが、正直私は納得はしてません。というのも、作品としてこれはダメだろ…ということをしてしまっているからなんですが、それに関しては後のレビュー(→書きました!小畑友紀「スミレはブルー」レビュー続編)で書きます。でも、でも、やっぱりなんだかんだで面白いんだよなぁ…。
【オトコ向け度:☆☆☆ 】
→小畑作品は男女云々ではなく個々人の恋愛観次第かと。私の友人でも、「僕等がいた」信者が男女共にいますし、一方でキライだと言う女友達もいたりするので。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→作品としての完成度だけで言えば、とある一点のせいで最低です。しかし、それさえ気にしなければ、これは名作。とにかく読み手を引きつける力がハンパない。悔しいけれど、これだけ夢中で読んでおいてオススメしないのは失礼かな、と。
作品DATA
■著者:小畑友紀
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:別冊少女コミック('01年8月号~'02年4月号)
■全2巻
■価格:各419円+税