
ごちそうさまでしt
おいしかったね
■日高元、20代男子。子供のころ食堂「アサメシマエ」に救われ、料理人の道へ。食堂の閉店を知り、「アサメシマエ」の一人娘・早夜子に店の再開を申し入れるも突き放される。悩んだ元はようやく朝ご飯の意味をみつけ……?土鍋ご飯&白身のスープ、肉ジュワーな生姜焼き入りのピタパン、二日酔いに効く中華粥などなど垂涎のメニューはもちろん、心と体を満たす朝ご飯の物語を収録。
北駒生先生のデビュー単行本になります。「甘々と稲妻」や「いつかティファニーで朝食を」に代表されるよう、ここ最近なんだかご飯マンガや朝ご飯フィーチャーの作品が、なんだか人気。BE・LOVEで料理マンガというとあまり印象がありませんが、果たして本作は定着できるでしょうか。
主人公は20代の料理人・日高元。子供のころに空腹で苦しんでいるところを、食堂「アサメシマエ」を経営する一家に救われ、以来そこの朝ご飯を食べ育ちました。料理人となり数年経った頃、そのアサメシマエの旦那さんが亡くなり、食堂は閉店することに。そこで一悶着ありつつも、アサメシマエを継ぐことになった彼は、朝ご飯を通して様々な人と触れあうことになるのですが…というお話。

美味しいものを食べた時の、この表情。あさごはんから、こういう表情をしたいものです。
非常にオーソドックスなスタイルの料理マンガ。1話完結方式で、そこには悩みを抱えるご近所さんがいて、料理をきっかけにその悩みが解決するというもの。特徴はタイトルにもある通り、料理でも朝ご飯にスポットを当てているという。一応食堂でメニューも固定的ではあるのですが、引き継いで間もないこともあり試行錯誤の段階で、また町の食堂らしく自由度は高めです。登場する料理の方は、場所が場所だけに和食に偏りがちかと思いきや、息子の健康を案ずるお母さん向けにピタパンが登場したりと、意外性もあったりします。
朝ご飯って、学生時代はなかなかそのありがたみがわからなかったりするじゃないですか。高校までは当たり前に出てくるもので、大学で親と離れて暮らしても、別に食べなくても大丈夫じゃん…と。ただ社会人になってみると、痛いほどそのありがたみがわかるという。朝ご飯食べると食べないとじゃ、日中全然違いますし、あとは温かみを感じつつ一日をはじめられる素晴らしさというか。朝ご飯は朝ご飯でも、温かいのが俄然嬉しいのは何故なんでしょうね。そしてこういった料理マンガも、一人暮らしが長引くと余計に心に響くようになるのです…。

料理マンガでは定番の土鍋ご飯。表紙で卵かけご飯をピックアップしているように、意外とシンプルな料理も登場してきます。朝なので、そう手間はかけられないということでしょうか。
主人公の日高元は、女性向け作品としてはどこに訴求してくるのかわからない人物と言いますか、共感性を有無同年代の同性でもなければ、イケメンでもなければ、しっかり者でもないという。むしろ人間的には中途半端な感じで、それが個人的には非常に親しみやすい感じはあります。大きな枠としての物語は、彼の成長と共に、アサメシマエを営んでいた親父さんの娘・早夜子(年上バツイチ子持ち)との関係醸成といったところがありますが、メイン読者はこの早夜子側からの視点で物語を見ているのかも。
【男性へのガイド】
→料理マンガがお好きならば、まず間違いないところです。
【感想まとめ】
→最近料理マンガがやたら沁みてきまして。読むと食欲と元気が湧いてきますね。余計なものを足さず引かずの、安定の朝ご飯マンガでした。
作品DATA
■著者:北駒生
■出版社:講談社
■レーベル:KC BE・LOVE
■掲載誌:BE・LOVE
■既刊1巻
■価格:581円+税
■試し読み:第1話