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2009.04.02
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川原和子「人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた」


■NTT出版から発売された、川原和子さんの「人生の大切なことはおおむね、マンガがおしえてくれた」を読みました。本書は、主に日経WOMANなどで連載されたマンガ時評をまとめたもので、1作品ごとにスポットを当てながら批評が展開されていきます。

全6章で構成されており、それぞれのテーマは以下のようになっています

第1章:恋愛のお手本はいつも少女マンガ
第2章:家族の問題,楽しくもあり難しくもあり。
第3章:女子の自立とか、自由とか。働くだけが自立じゃない、のかも。
第4章:結婚は恋愛のゴール!?
第5章:マンガの中の「オトコノコ」たち
第6章:ボーイズラブという快楽。

 
■分析・考察が半分で、もう半分は自分の過去と照らし合わせたエピソードで展開。とにかくマンガへの愛が伝わってきます。著者さんがマンガを読みはじめたのが大体30年前ぐらいということで、ピックアップされているマンガ達は大体ここ20年ぐらいの作品になっています。なんとなく著者の"世代"が感じられるラインナップにはなっているのですが、最近の作品もしっかりカバー。抜け目はありません。ちょっとタイトルを挙げると、
 
大和和紀「はいからさんが通る」一條ゆかり「砂の城」
といった往年の名作から、

小川彌生「きみはペット」矢沢あい「NANA」羽海野チカ「ハチミツとクローバー」 
といったメディアミックスでも話題になった最近のヒット作、

有間しのぶ「モンキー・パトロール」秋月りす「OL進化論」
といった4コマ作品群、

あきづき空太「赤髪の白雪姫」(→レビュー),八田鮎子「ひよこロマンチカ★」
といった新人の作品、

中村春菊「純情ロマンチカ」山田ユギ「夢を見るヒマもない」
といったBL作品まで、幅広くカバーされています。


■メジャータイトルとマイナータイトルのバランスも良い感じ。知らない作品もあったので、新たに作品を発掘するのにも使えるかもしれませんね。全体的に、集英社・白泉社の作品が多く、いかにも「少女マンガで育ちましたっ!!」って感じがしました。ラインナップを見るだけで、この人はマンガそのものが好きなんだな、ってことがよ~くわかります。それに反比例するように、小学館系の作品はほとんどありません。恋愛偏重しがちな小学館作品は、世代的にも嗜好的にも合わなかったのでしょう。作中でも、ティーンズラブや恋愛大盛りのストーリーは苦手だと言っていたし。



■さて、著者さんは大体70年代からマンガに入り込むわけですが、当時の少女マンガの流れというのは一体どういった感じだったのでしょうか。その辺も知っているとさらに面白く読めると思うので、ちょっと振り返ってみましょう。
 
 丁度70年代というのは、社会が成熟化を始めるころに当たるのですが、それに合わせるように少女マンガのスタイルも変化していきます。成熟化以前は、運命で結ばれるべきふたりが、様々な障害によって邪魔されるというパターンで、本書でいうと上原きみ子「ロリィの青春」がコレに当たりますかね。そして社会の成熟化が進むと、その障害がディスコミュニケーションに移行していきます。要は、「自ら理想に向かって上昇する」というスタイルから、こんな取り柄のない自分でも、大好きな相手にそのままを承認してもらえる、「ありのままの自分」というモチーフに変わっていきます。それを本書では「乙女ちっく」と読んでいますが、まさに著者は少女マンガが「乙女ちっく」全盛の頃。「こんな私なのに…」と思っていたら、憧れの人から「そんな君が好きなんだよ」と言われて感動みたいな。
 第1章には「恋愛のお手本はいつも少女マンガ」とありますが、この頃の少女マンガはまだ実践で生かせるようなリアルな題材の作品は少なかったはずです。もしイメージそのままに実践したとしたら、きっと実際とのギャップに苦しんだことでしょう(笑)


■だいぶ話は逸れましたが、そろそろまとめ。本書はとにかくマンガ愛が濃縮されてます。女性向けマンガに絞った批評集というのもあまりないので、気になる人は一度手に取ってみてはどうでしょうか?掲載されている作品を知っていれば、「うんうんあるね」とか「おお、そんな見方が」という感想を持つことが出来ますし、知らなければ知らないで、ガイドブックとして活用することも出来ます。世代横断的に良作を集めてあるので、少女マンガガイドとしては申し分ない内容だと思いますよ。
 
 しっかし少女マンガといえば藤本由香里さんの批評が読みたいなぁ、なんて思っていたら、一枚噛んでたんですね、この企画に。さすがです。


■関連リンク
日経WOMAN『恋愛のお手本は、いつも少女マンガ
NTT出版Webマガジン『此れ読まずにナニを読む?
著者ブログ→『マンガラブー


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コメント

はいからさんが通るは大和和紀の作品ではないでしょうか?
From: 市読者 * 2010/05/02 13:11 * URL * [Edit] *  top↑
ご指摘ありがとうございました。訂正させていただきました。
From: いづき@管理人 * 2010/05/05 22:49 * URL * [Edit] *  top↑

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