
馬村はやっぱり
せっけんの匂いがした
■10巻発売しました。
馬村からの突然の告白に、すずめが悩んで悩んで出した答えは……“大切に思ってくれる人を、幸せにしてあげたい”。そう進んで行こうと思った矢先に獅子尾と再会して…?
〜ついにキター!!!〜
10巻発売しております。9巻ラスト、リーチかかった形での幕切れでしたが、期待通り早々に“アガリ”となりました!すずめが自分の今持っている想いを馬村に伝え、馬村は…

今まで以上に大切にする
よろしくお願いします
いやー、おめでとう!本当におめでとう!!これまで腐ることなくひたむきに、自分なりのやり方ですずめを想ってきた馬村が、こうして幸せになってくれて、本当に嬉しいです。しかしこの馬村の言葉。これまで以上に大切にされたら、どうなっちゃうんだろうって感じですよね。これまでもとにかくすずめ第一主義的というか、大切に大切にしてきた感が強いので、いざ“彼氏”という枠に収まったとき、どんな優しさを見せてくれるのか。。。なんという期待感と安心感。こういう言葉をかけてあげられる(表向きだけでなく、内面も伴った形で)男になりたいものです。
〜僕は君のもの〜
さて、斯くして「すずめの彼氏」となった馬村。ふわふわした気分で学校に向かいます。高揚感に包まれているであろう中、すずめに貰ったヘッドフォンで聴いていたのは、Jason Mrazの「I'm Yours」でした。洋楽とか聴くんですね、馬村は。この曲、Billboard 100への連続チャートインの最長記録を持っていたりするので、割と知っている方も多いかと思います。タイトルを直訳するならば、「僕は君のもの」。馬村の心情を表しているのでしょうか。歌詞を見ると相手への想いを綴ったラブソングというよりも、もうちょっと広いスケールで唄われているもので、なんだかこう、馬村がものすごく大きな心の持ち主であるように見えてきてしまいます。
私もこの曲、好きでiPodに入っているのですが、晴れた日に歩きながら聴きたくなるような気持ちの良い曲ですよね。
さて、というわけで中盤は付き合いたてのフレッシュさと恥ずかしさ全開でお送りするわけですが、個人的にこういうお気に入りカップルのこういうシーンが一番の大好物でして。もうこういう状態だけで5巻くらい続いて欲しい(願望)。今回特に破壊力があったのは…

これ
もう、最初に何思ったかって「馬村死んじゃう!死んじゃう!」と。口に出してましたから「死ぬ。死ぬ。」て。すずめって時折こういう不意打ちをしてくるんですが、これがいい具合に馬村の反応を引き出してくれるのですよね。改めてニヤニヤが止まらないっていう。それに叔父さんにもちゃんと気に入られてるしね、前途は明るいです。
〜獅子尾サン…〜
なーんて、すべてが上手く動いていたように見えたのも束の間、この男が波乱を起こしてきます。はい、獅子尾ですよ、獅子尾。前回のレビューで「不安」と書いていたのですが、その予感がなんとなく現実味を帯びてきたと言いますか…。
正直なところ、「余計なことしてんじゃねーよ」感がすごかった。いやー、確かに彼単体で考えればこの行動はすべきだったのかもしれないのですが、物語全体で見た時にどうだろう。彼が辿ろうとしている道筋は、失敗して学ぶっていう割とありがちな成長ルートで、もちろん必要な行動ではあるのですが、それを年下の生徒相手にやるってのはどうなの、と。ましてやその子は、傷を抱え、迷いつつも立ち直ろうとしている子供なんですから。相手も、タイミングも誤っているようなモヤモヤ感がすごいあるのですよね。元カノは獅子尾のことを「ガキ」だと諭すわけですが、それにしてもこれはあまりにガキすぎるというか。ガキと言えど、すずめや馬村から見たら獅子尾は「大人」であって「教師」なわけで、だったら最低限大人としての振る舞いをして欲しいのですよ。ガキだと言うのなら、こっぴどくフラれて成長すればいいのだ…なんてのは暴言すぎますかね。しかし印象悪いのは確かだと思うんだけどな。これどっちに転んでも、場を片付けるのが大変そう。
とはいえ馬村&すずめの関係が固まりきっていない段階でこの牽制を入れるというのは、状況をひっくり返す上ではこの上ないタイミングで、これでまた状況はわからなくなってきました。馬村はかわいそうですが、まだまだ安心感のあるドキドキを胸いっぱい楽しむ時期は遠いようです。
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