
そんなあなたが欲しいと思った
この手で守ってやりたくなった
■下町で花売りをするエスターは、母を亡くし、双子の兄とも離れ離れ…。
「いつも笑顔でいれば、素敵な王子さまが現れるわ」
そんな母の言葉を支えにしていたある日、
エスターのもとにヴァレンタイン伯爵が現れ、「貴女は今日から私の花嫁です」と…!?
しかし、伯爵には別の顔も…!?
半吸血鬼のシンデレラストーリー!!
「花と悪魔」(→レビュー)の音久無先生の新連載になります。今回も安定のファンタジー作品。主人公は、早くに親を亡くし下町で貧乏ながらも明るく暮らしている少女・エスター。つい最近、一緒に暮らしていた双子の兄も養子となり、今は一人で生活しています。そんな彼女の前に、ある日いきなりイケメンの伯爵が現れ「貴女は今日から私の花嫁です」なんて言ってくる。甘い言葉に乗せられ、ホイホイとお城についていくと、やはりそこには裏がありました。イケメン伯爵の本業はヴァンパイアハンターで、エスターは半分ヴァンパイアの血が流れる半吸血鬼。人間社会に紛れ込むヴァンパイアを見分ける能力を持つエスターの能力を仕事で利用しようと、結婚を申し込んだのでした。そんな背景はありつつも、結婚は結婚。愛なんてこれっぽっちもないところからの、新婚生活が始まったのでした…。
半吸血鬼は血を吸わないかというとそんなことはなく、その本能に目覚めてしまうと人を襲うこともあるそうな。そんな一見相対する二人が関係を築いていく物語ということで、なんとなく「花と悪魔」の関係性を連想させます。ただしあちらが人間愛的なところが出発点であったのに対し、こちらは結婚スタートということで、恋愛特化の物語となります。

伯爵はエスターを利用するという前提はあるものの、しっかりと夫婦としての関係は築いていこうという考えはもっており、良好な関係醸成に前向き。しかし一方のエスターは、初回に背景を脅され気味にカミングアウトされているため、伯爵にそんな気持ちがあるなんてことは露知らず、あまり積極的に良好な関係を築こうとはしません。そんな気持ちのすれ違いがひとつ、微笑ましいポイント。
ヴァンパイアハンターの仕事が物語を転がすメインとなるので、割とアクションは多め。そして何かにつけてエスターは危険な目に遭いがちで、都度伯爵が守ってくれるという、「ヒーローに守られるお姫様」的なシチュエーションがお好きな方にはかなりおあつらえ向きな内容になっているかと思います。
【男性へのガイド】
→典型的な王子様とお姫様的なストーリーですので、そういったものが好きな方には良いのではと思います。
【感想まとめ】
→「花と悪魔」の幻影を見たのは私だけではないはず。それを差し置いても、安定して楽しめるファンタジー作品だと思いました。個人的に伯爵のキャラも好きです。
作品DATA
■著者:音久無
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:花とゆめ
■既刊1巻
■価格:429+税
■試し読み:第一話