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Tag [新作レビュー] 2014.09.12
1106442397.jpg雨宮もえ「オルガの心臓」(1)



姉さんのものだ



■人口臓器の開発が進んだ世界で、世間から身を隠すように暮らすシャルトー姉弟。美しい姉・オルガが作る人工心臓は、革新的なものだった。移植手術を秘密裏に行うオルガとニトだったが、偽の人工心臓の噂が立ち上り始めたことで、二人の背後に見知らぬ影が迫り―――!?愛と命、犠牲とエゴ。秘められた心臓をめぐる物語!

 雨宮もえ先生のITAN連載作です。これが初単行本になるんでしょうか?それでは物語をご紹介しましょう。あらましは冒頭の通り、人工臓器の開発が進んだ近未来的な世界です。そんな世界で、ひっそりと秘密裏に人工心臓の開発・移植を行っているのが、シャルトー姉弟。元々姉のオルガは、都市で人工臓器の研究機関にいたのですが、諸事情によりその立場を奪われ、逃げるようにして今の田舎町で暮らしているのでした。そしてそんな姉にベッタリなのが、弟のニト。過保護とも言えるほどにオルガに依存・溺愛し、二人だけの閉じた世界で日々を送ろうとするきらいがある青年です。そんな日々に変化が訪れたのは、町で偽の人工心臓の噂が出始めたあたりから。警察たちは、その噂の真相を確かめるべく捜査に乗り出すのですが、やがてその手はオルガ達の元にも届こうとします。そんなさなか、ある男が彼らの元を訪ねてくるのですが…というお話。


オルガの心臓
ちょっと異常に仲が良い姉弟。愛し合ってるというよりは、お互いがお互いに極端に心配し合っているというような関係。こんな二人の関係に、だんだんと変化が見られていきます。


 この物語を「○○というジャンルです」と一言で説明するのは少々難しいところ。ファンタジーでもあり、医療ものの側面も持っていたり、姉弟愛を描いた物語でもあり。色々な要素が混じりつつのストーリーとなっている上、明らかにされていない背景があり、そこを隠したままに物語が進むため、どこか掴みきれないままに1巻が終わってしまった感が。全容を明らかにせずに進める場合、それでも読者を引きつけるだけの何かしらの魅力が必要なのですが、インパクトある物語設定・展開ではないので、キャラであり雰囲気であり絵柄でありで推す形となり、割と人を選ぶところがあるかもしれません。個人的な感覚では、やや理屈っぽいやりとりが続くことに加え、この美麗なタッチの絵柄から、初期のあき先生の作品(「オリンポス」やら「アルオスメンテ」やら)を読んだ時の印象に近いものがありました。

 非公式ながら革新的な人工心臓の製造と、それを阻もうとする世界ということで、大きな物語になりそうな舞台設定があると同時に、それと二軸で描かれるのが依存状態にある姉弟の関係という小さな器。どちらも密接に絡みつつの物語展開となるため、最終的には両方とも料理しての着地となりそう。それを初単行本でやろうというのはなかなかチャレンジングではあるのですが、今のところ綻びも見えず凄いです。

 背景が見えない分、オルガもニトもちょいと不気味に映るのですが、そんな中登場するオッサン(意外と若いのでしょうか?)のシマが一番のお気に入りキャラです。あふれるいい人オーラというか。暗くなりがちな物語の中で一人陽気なところとか、いいですよね。恋愛的な絡みも見せてくれたりすると更に良いのですが、、、なんてそこはあまり期待せずにいましょう。

 
【男性へのガイド】
→オルガはいるものの、全体的に女性キャラ成分薄めではあります(いるにはいるものの割と薄幸感漂う)。ITANなのであまり男女という垣根は意識しなくても大丈夫で、設定や絵柄が気に入ったのであれば手に取ってみてはいかがでしょうか。
【感想まとめ】
→1巻時点では掴みきれずではあるのですが、どういう結末になるのかは気になるところで、きっと2巻も購入すると思います、はい。


作品DATA
■著者:雨宮もえ
■出版社:講談社
■レーベル:KC ITAN
■掲載誌:ITAN
■既刊1巻
■価格:


■試し読み:第1話

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